現場AIとの付き合い方、その先へ──現場GPTs構想という発想
「信頼できる相棒」は、勝手にはできあがらない。 試して、誤解して、修正して──その先に見えてきた、“現場で使えるAI”の具体像。
第6弾では、AIとの信頼関係を築くための5つの習慣(確認・共有・訂正・記録・許容)を通じて、AIを“相棒”として扱うための基本姿勢を整理しました。 今回はその続編として、「では、次にどのようにAIと付き合い、何を形にしていくのか?」という視点で考えてみました。
私はまだGPTs(ChatGPTsのカスタムAI)を自分で作る知識はありません。 けれども、長年現場で感じてきた「こういうときに相談できたら」「この情報を簡単に呼び出せたら」といったニーズは、まさに“現場GPTs”という構想に繋がっていくものでした。
現場GPTs構想の中身とは
現場でAIと付き合う5つの習慣
確認する:「なぜこの答えになったのか」をAIに説明させる
共有する:「自分が何を求めているか」をAIに明示する
訂正する:間違いがあれば、必ず“正しい指示”を再入力する
記録する:良い回答プロンプトは保存し、再利用する
許容する:「AIは万能ではない」ことを前提に使う
この5つの習慣を実践することで、「対話によってAIは成長する」という実感が得られました。
現場GPTsの活用例
【現場技術者・施工管理者】
現場で必要な安全指示の作成支援(例:作業前ミーティング用)
工事概要・手順を自然言語で記述 → チェックリスト化
工程遅れや気象条件などへの即時対応アドバイス
【技術教育・安全担当者】
新人指導用の「対話型マニュアル」としての活用
危険予知(KY)訓練をAIとの対話で補完
作業日報や振り返り報告の構成支援
【経営者・中小企業の技術責任者】
自社での知見を蓄積し、誰でも使える業務AIを作成
業務標準化の第一歩としてのAI導入モデル構築
「このくらいまでAIに任せられる」という判断基準の形成
現場GPTsは、単なるQ&Aツールではありません。 「どのように使うか」「どこまで任せるか」「何を人が補完するか」を問い続けながら、共に成長していく“相棒型AI”です。
機能例:現場GPTsが目指す姿
現場名・作業内容を入力すると、安全指示や工程注意点を自動生成
「鉄筋のかぶり厚さは?」と聞けば基準値と事例を返してくれる
過去の類似工事の課題・注意点をプロンプトで再利用
作業日報や点検報告のフォーマットを自然文から生成
新人教育の“対話マニュアル”としても活用
以下に、現場支援の一例として「サイレントパイラーによる鋼矢板打設工事」の現場画像と、それに対応するプロンプトYAML構文例を示します。
🖼 画像例:
YAMLプロンプト例(英語版)
input:
project_name: "Steel Sheet Pile Press-in for Riverbank Reinforcement"
machine_spec: "Silent Piler (GIKEN ECO 700)"
site_conditions:
- Construction along a river
- Low noise and vibration required
- Limited working space
- Tidal fluctuations present
materials_used:
- Steel sheet piles: L=12m, width 400mm, thickness 6mm
task_purpose: "Prepare a safety briefing sheet before morning meeting"
output:
- Due to tidal fluctuations, clarify work hours and establish continuous monitoring.
- During crane operations, restrict access within the swing radius and clearly assign a signal person.
- To ensure press-in accuracy, check verticality of sheet piles with levels or laser equipment and record every 10 sheets.YAMLプロンプト例(日本語版)
input:
工事名: "護岸補強工事における鋼矢板圧入作業"
機械仕様: "サイレントパイラー(GIKEN ECO 700)"
現場条件:
- 河川沿いでの施工
- 振動・騒音の抑制が求められる
- 限られた作業スペース
- 潮位変動あり
使用部材:
- 鋼矢板:L=12m、幅400mm、厚さ6mm
作業目的: "作業前の安全指示書作成(朝礼用)"
output:
- 潮位変動により作業足場が水没する恐れがあるため、施工時間帯を明確化し、常時監視体制を整える。
- クレーン作業時は旋回半径内に他作業員を立ち入らせず、合図者を明確に配置すること。
- 圧入精度を確保するため、鋼矢板の垂直性を水平器・光波で確認し、10枚ごとに管理記録を取る。このように、実際の作業シーンに即したプロンプトを構築することで、読者が自身の現場に合わせたカスタマイズGPTsを作り始めるきっかけになります。(プロンプトは日本語で、それを英文にAIが変換する------まだAIは日本語には弱い)
まとめと次回予告
現場でAIを“相棒”として使いこなすには、習慣と対話、そして少しの工夫が必要です。
GPTsというツールは、まだ発展途上でありながらも、使い手次第でどこまでも進化します。 今後は、実際の現場データや手順書、安全基準などを組み込んだ“実務支援型GPTs”の方向性を探りながら、誰もが簡単に現場の知恵を活かせる仕組みづくりに挑戦していきたいと思います。
現場での安全指示は、色んなデーターが必要です。工事の施工計画書、労基法、作業手順書、現場の環境状況などか必要で、これらを総合して、初めて明日の朝の作業からの安全指示が出せるのです。
次回(第8弾)では、「現場GPTsを具体的に作る」ための初歩──プロンプトの作り方やGPTsの設計イメージを共有しながら、読者の皆さんと一緒に“使える土木AI”を考えていけたらと思っています。
