Call of revolution 第3話

〇スラム地区

 マウロ、自宅に向かって帰っていると目の前を赤いトラックが通りすぎる。
 荷台に乗った、目出し帽をかぶった男たちと目が合う。
 気にせず行こうとすると、トラックから男たちが降りてきて囲まれる。

マウロ「何だよ、あんたら」
 いきなり後頭部を殴りつけられ、地面に正座させられる。
DNICの兵士「DNIC(国家犯罪捜査部)だ。 おとなしくしてろ」
マウロ「待て、ぼくはギャングのメンバーじゃない」
DNICの兵士「どうだかな。 それならなんで俺たちと目が合ったとき、動揺してたんだ?」
マウロ「それは……」
母「ちょっと、やめて! うちの息子に何をしているの?」
 母、兵士たちをかき分けて息子のもとに駆け寄る。
母「大丈夫? 怪我は?」
 殴られた後頭部から血が流れていることに気づく。
母「まあ大変……」
マウロ「平気だよ」
 母、振り返って兵士たちをにらみつける。
母「何を勘違いしたのか知らないけれど、うちの息子はギャングとは一切関係ないわ。 
それにあんたたち、国民の税金で活動してるくせに……恥を知ることね」
DNICの兵士「クソったれが。 行くぞ」
 兵士たち、トラックに乗り込んで立ち去る。
 マウロ、母親と抱き合う。

×  ×  ×

 母親と並んで歩きながら会話。
母親「これから一人で街を歩くときはくれぐれも用心して。 そうじゃないとギャングのメンバーじゃないかって疑われるから」
マウロ「ああ、分かったけど……それよりもあいつら一体何なんだ?」
母親「DNIC(国家犯罪捜査部)よ。 大統領が首都の治安維持活動を強化するために、新設されたの。 ニュースで見なかった?
 マウロ、首を振る。
母親「そう、まあ、とにかく気を付けて。 あいつらギャングと同じくらい冷酷で容赦がないって噂だから。 この前も人違いで連行された青年が一週間後に目隠しされた死体で見つかったそうよ」

 家の前につく。
 マウロ、母親から鍵を受け取って扉を開けようとする。
 だがそこで、扉がすでに開いていることに気づく。
マウロ「母さん、買い物に出たとき、鍵を閉め忘れた可能性は?」
 母、首を振る。
マウロ「ちょっとそこで待ってて。 中を見てくる」
 母親を外で待たせて、中に入る。

〇自宅・リビング

 マウロ、テレビがついていることに気づく。そのままリビングに足を踏み入れた瞬間、横から突然誰かに組み伏せられる。抵抗しようともがくと、さらに複数人が出てきて、押さえつけられる。
 マウロ「おい、ここはぼくの家だぞ! なんなんだよ、お前ら」
 M・B「まあ落ち着けって、ぼうや」
  マウロ、声のする方に顔を向ける。玄関前の廊下に母親が立っている。
  その背後に銃を持ったM・Bがいて、笑っている。
 マウロ「なんで、あんたがここにいる……指名手配中だろ」
 M・B「ああ。 まったくどこもかしこもサツであふれてやがる」
  M・B、マウロの母親に銃口をつきつける。
 M・B「なあ、マウロ。 俺たちをこの家に匿ってくれよ。 いいだろ?」
 マウロ「ふざけるな。 あんたのせいで、ペペは……ぼくの友達は死んだんだ」
  M・B、睨むマウロをあざ笑う。周りいるギャングたちが同調して笑う。
 M・B「なるほど。 友達思いなのはいいことだ。だがな、正直に思っていることを言いすぎると、時に大損こくことだってあるんだぜ」
  M・B、マウロの母親の足を撃つ。
  悲鳴を挙げて、床に崩れ落ちる母親。
 マウロ「おい、やめろ!」
  とびかかろうとするマウロを周りのギャングたちが取り押さえる。
 M・B「ほら、どうする? 俺たちに家を提供するのか、しないのか、どっちなんだ?」
 マウロ「……分かった。 でもその前に母さんを安全な場所に移す。 それが条件だ」
 M・B「いいだろう」

×  ×  ×

〇教会

 マウロ、血だらけの母親をおぶったまま牧師を呼ぶ。
マウロ「アンドレイ! アンドレイ牧師!」
 何事か、とアンドレイが出てくる。マウロたちの様子を見て、慌てて駆け寄る。
アンドレイ「何があった?」
マウロ、母親を苦しむ母親を支えながら、牧師に「母さんを頼む。 ルシアによろしく」と伝えて車に乗り込む。
   マウロが走り去ったあと、その後をギャングの車がついていく。

〇自宅

 M・B、ルシアが出した本のせいで世論が傾き、政府による「ギャング狩り」が本格化したと怒りをあらわにする。また本の内容にふれ、かつてのギャングのメンバーに裏切者がいて、そいつを探すのを手伝えとマウロに迫る。

  ×   ×  ×

 マウロ、ルシアにしばらくの間、外を出歩かない方がいいと警告する。(自分が何とかするからそれまで教会に匿ってもらうように言う)
 そのあと家に戻り、自室のベッドに隠してあった銃を取り出そうとするが、そこに銃はない。すると後ろから『探し物か』とM・Bが現れる。

  ×   ×   ×

M・Bに銃で脅され、拷問を受ける。(手の指を一本一本ハンマーでつぶされる)
 だがマウロはルシアの居所を吐かず、見かねたM・Bは彼を殺そうとするが、そこにDNICの部隊が押し寄せる。射殺されるM・B。マウロは保護される。

〇病院

 病院で目覚めるマウロ。ルシアからM・Bが逮捕されたと聞き、安心。だが自分の両手の指がもう動かないことに気づき、絶望。(小説が書けない)
けれどルシアにあなたの代わりに、私が書く。あなたの言葉を残さず書き留めると言われ、奮い立つ。そこから1週間でマウロの証言をもとにしたノンフィクション作品が完成。
 作品は賞を受賞。ルシアの提案でマウロは出来事の当事者として授賞式の壇上に立ち、スピーチすることに。

〇授賞式の会場

 迎えた授賞式。ルシアとともに壇上に立ったマウロは自分の生い立ちとこれまでのこと、そして世界に向けて『この世界から貧困と暴力をなくそう』と訴えかけ、拍手喝さいを浴びる。

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