イギリスでの結婚式、そして16回戦のゴルフ……
とある東京のリビングにて】
娘:「お父さん、私、結婚するの」
父親:「うわあああああああ!」(歓喜、涙、そして誇らしさ!)
娘:「それでね、イギリスの田舎にある何百年も前の教会で、伝統的なホワイトウェディングを挙げたいの」
父親:「うわあああああああ!」(パニック、絶望、そして頭の中で飛び交う航空券の計算!)
〜数秒後〜
父親:「……あ、あああああ!」(父親の顔に、じわじわと輝かしい笑みが広がる。彼の頭の中:ゴルフ!よし!キタ!大当りだ!)
かつて日本の伝統的な結婚式といえば、厳かな神前式で白無垢や紋付袴をまとい、格式高いルールに則って行われるのが当たり前でした。しかし現代、多くの日本の花嫁たちが神社ではなく、パスポートを手に取っています。彼女たちの夢は、イギリスののどかな田舎にある、何百年もの歴史を刻んだ教会での「おとぎ話のようなホワイトウェディング」です。
一見すると、これは単なる贅沢でロマンチックな思いつきのように思えるかもしれません。しかし、この異文化トレンドの裏側には、映画への憧れ、驚くべき経済的合理性、そして「花嫁の父」が抜け目なく見つけ出した、ある特別なスポーツの抜け道が隠されているのです。
映画がもたらした「4つの結婚式」の青写真
イギリスの教会での結婚式に対する強い憧れは、偶然生まれたものではありません。それは何十年にもわたる洋画のスクリーンによって形作られてきました。
映画『フォー・ウェディング』などの名作は、歴史ある石造りのチャペル、青々とした村の芝生、そして古き良き魅力に満ちた、最高にロマンチックなイギリスの姿を日本の観客に植え付けました。東京や大阪の都市部で育った花嫁にとって、ホテルの敷地内に建てられた最新の「キリスト教風チャペル」で、45分刻みのスケジュールに沿って流れ作業のように行われる国内の挙式は、どこかビジネスライクに映ります。だからこそ、本物のイギリスの教区教会(パリッシュ・チャーチ)に立つことは、映画のスクリーンにそのまま足を踏み入れるような特別な体験なのです。何百年もの歴史を持つステンドグラスと、高くそびえる石造りのアーチを背景にすれば、純白のウェディングドレスは文字通りシネマティックに映えます。
出世なんて知るか!究極の「ゴルフ逃避行」
ここで、先ほどのお父さんの「大当り(ジャックポット)の瞬間」に話を戻しましょう。
日本の会社組織という、プレッシャーの強い硬直した文化の中で働く典型的なビジネスマン(サラリーマン)にとって、日本でのゴルフは純粋な趣味というよりも、上司の機嫌を取るための「接待ツール」という側面が強くなりがちです。ティータイムを確保するだけでも数ヶ月前からの計画が必要ですし、日本のコースでは前半の9ホールと後半の9ホールの間に、クラブハウスのレストランでの「強制的な1時間休憩(ランチタイム)」が挟まれます。そのため、たった1ラウンド回るだけでも、神経を使う接待を含めて7時間近く拘束されるのが当たり前です。
しかし、彼らがイングランド、スコットランド、あるいはウェールズの地に降り立った瞬間、その企業戦士としてのストレスは一瞬で消え去ります。「出世なんて知るか!」――彼らは今、純粋にゴルフを愛する一人のゴルファーとしてここにいるのです。
お父さんはすぐに気づきます。女性陣がドレスのフィッティングやヘアメイクのリハーサルで何時間も拘束されている間、自分は世界最高峰の伝説的なフェアウェイへと脱出できることに。イギリスのゴルフ場では、ふらっと行って、サクッと18ホールを4時間未満で回り、お昼前には戻ってくることができます。さらに、イギリスの夏の夜は長く、夜10時近くまで明るいのです。お父さんにとってこれは単なる親族の結婚式ではありません。「家族の義務」という大義名分の裏に隠された、会社の人間関係から100%解放された「16回戦のガチのゴルフツアー」なのです。
経済的な大どんでん返し:実はこっちの方が安い?
「イギリスでの結婚式」という現象における最大の皮肉は、すべての請求書を合算したとき、イギリスの田舎の教会へ逃避行する方が、日本国内で式を挙げるよりも遥かに安上がりになることが多いという点です。
日本での伝統的な結婚式は、社会的な義理が絡み合う、非常にお金のかかるイベントです。親戚だけでなく、会社の役員、上司、同僚など80〜100人ものゲストを招待し、豪華な披露宴を催すことが期待されます。都心の高級式場のレンタル料、引き出物の準備、手の込んだケータリングなどを合わせると、日本の結婚式の平均費用は簡単に300万〜400万円を超えてしまいます。
一方、イギリスの静かな田舎町での挙式を選べば、周囲に角を立てることなく「ゲストを親族のみに絞る」という大義名分が立ちます。さらに、本物の英国国教会の教区教会で結婚式を挙げるための法的な基本費用は、わずか530〜650ポンド(約10万〜13万円)程度です。
会社の付き合いによる大量のゲストや、都市部の式場プレミアムをすべてカットすることで、花嫁はおとぎ話のような式を挙げられ、お父さんは夢のゴルフ休暇を勝ち取り、銀行の口座残高も守られます。イギリスの美しい田舎へのロマンチックな逃避行は、ただ美しいだけでなく、極めて合理的な「最高の引き算」だったのです。
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