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スパイ大作戦:家電争奪戦(ミッション・家電・ハンター)

【指令:ブリーフィング】
時は1966年。東京は戦後復興のエネルギーに満ち溢れていた。細い黒タイを締め、重いブリーフケースを提げたサラリーマン、佐藤さんがアパートの扉を開ける。低めの木製テーブルの上には、オープンリール式のテープレコーダーが置かれていた。彼が再生ボタンを押す。

「こんばんは、佐藤さん。君の任務は、ボーナス商戦が終わる前に『三種の神器』を確保することだ。もし値切り交渉に失敗しても、当局(妻)は君の予算について一切関知しない。このテープは5秒後に自動的に消滅する。……幸運を祈る」

機械から一筋の煙が立ち昇る。佐藤さんはセイコー5で時間を確認した。狩りの時間だ。

【潜入:秋葉原の攻防】
秋葉原の電気街はネオンのジャングルだ。佐藤さんは、燦然と輝く東芝カラーテレビの前に立っていた。洗濯機の影から店員が姿を現す。

「お客様、お買い上げですか? それとも、ただ眺めているだけでしょうか?」

佐藤さんは瞬き一つしない。「画質はハッキリ見えるが……この価格はどうだ。目に染みて、涙が出てくる……痛いな」

店員は取引の匂いを察知した。「10パーセント引きではいかがでしょう?」

佐藤さんは眼鏡を直し、鼻で笑った。「10パーセント? 私を馬鹿にしているのか。私が求めているのは『最高の取引』だ。君は、テレビ番組『ズバリ!当てましょう』の司会者か何かか? 違うだろう? ならば、もっと安くできるはずだ。もっと、ずっとだ」

【最終決戦:現金こそが王様】
店員はパニックに陥り、奥からマネージャーを呼んできた。「ラスボス」の登場だ。マネージャーは金色のタイピンを整えながら、すりガラスのオフィスから出てきた。

「おやおや、佐藤さん。我々を襲撃(レイド)するおつもりですか? 在庫を略奪しに海賊船から降りてきたようだ」マネージャーが目を細める。「私が魔法の杖を振って、タダ同然にする魔法使いに見えますかな?」

「ああ、見えるよ」佐藤さんは無表情に答えた。「カラーテレビを10パーセント引きにしろ。そして、冷蔵庫食器洗い機を無料で付けろ」

マネージャーが息を呑む。「冷蔵庫までも!? 無茶を仰る!」

佐藤さんは身を乗り出し、機密事項を囁くような低音で言った。「……**現金(キャッシュ)**なら、いくら引ける?」

マネージャーの動きが止まる。そして、ゆっくりと笑みが広がった。「佐藤さん……話が分かる。やはり、現金こそが王様(キング)だ」

【勝利:任務完了】
交渉は成立した。「伝説の家電ハンター」は、箱ではなく、盗み出したマイクロフィルムのように大切に納品書をポケットに忍ばせ、帰宅した。

「イーグルは着陸した」彼は妻に告げる。「明日の夜明けとともに、トラックが来る」

【フィナーレ】
場面は一転する。ハードボイルドな影の世界は消え、1960年代のバラエティ番組のような鮮やかなテクニカラーの世界へ。ステージの中央には、黄金のラメスーツに身を包んだ佐藤さんが立っている。最新のカラーテレビと冷蔵庫に挟まれ、彼はカメラに向かって最高にセンセーショナルな笑顔でウインクを決める。

画面いっぱいに、レトロな赤い文字が浮かび上がる。

任務完了

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