見出し画像

中心に立たなかった者たち#4

成功論ではなく「なぜか同じ方向に進めなかった人」のための記録です

第4話:森の中に立っていた者たち


1.株杉の森にて

株杉の森に立ったとき、私は不思議な感覚を覚えた。

一本の幹ではない。

切られ、断たれ、それでもなお、根元から複数の幹が立ち上がる。

正統の一本にならなかった木。

それは敗北の姿ではなかった。むしろ、切られたことで形を変え、別の強さを得た美しい存在だった。

その姿を見たとき、ある種の既視感があった。

2.惹かれし者たちの肖像

昔から、なぜか惹かれてきた人物たちがいる。

説明はうまくできなかった。でも、森の中で、ようやく理解した。

私は「中心に立った英雄」ではなく、「中心に残らなかった存在」に強く惹かれていたのだと。

たとえば、ルパン三世

彼は王にならない。支配もしない。

しかし、常に物語の核心にいる。

たとえば、北条時輔

鎌倉幕府の中枢に連なる血筋でありながら、歴史の中心には残らなかった人物。

たとえば、シャア・アズナブル

理想を語りながら、どの体制にも定着しなかった存在。

彼らは敗者ではない。彼らは“継がなかった”だけだ。

中心に座ることを選ばなかった、あるいは選べなかった者たちだ。

そして私は気づいた。

会社で浮き、未来を語り、仮面をつけた自分もまた、一本の幹にならなかった存在なのだと。

株杉のように。

切られたからこそ、別の形で美しく立ち上がる。

3.外れし者の道

正統から外れた位置に立つ者は、中心を奪うのではない。

ただ、別の方向に伸びていく。

森の中で、私はようやく理解した。

継がなかった者たちは、消えたのではない。

それぞれの場所で、静かに立ち続けていただけなのだ。

第5話につづく。

:tokisuke


いいなと思ったら応援しよう!

tokisuke よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!