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【コラム】JAŸ-Zに学ぶ「いつだって総合力勝負」の姿勢

(注:本記事は2026/5/31に更新しました。)

X (旧Twitter)、IG、TTで出題したJAY-Zのリスニング問題を見てみましょう。問題部分の解答は返信やコメントに載せているので、そちらをチェックしてくださいね。

今回注目したいのは問題の部分ではなく、その前の0:31からの部分です。ジェイ・Z(JAŸ-Z)がこう言っています。

I don't know if I love that. I don't know if it's helpful to our growth.

Exclusive: Jay-Z Breaks His Silence—“We Played Enough Defense, 2026 is All Offense” - YouTube

1文目はいいでしょう。「…かどうか」という意味のif節の用法は以下の動画でも扱っているので、まだの方はチェックしてみてください。ここでは[if I love that]が名詞節で、don't knowの目的語になっています。

で、今回特に着目したいのがourgrowthなんですね。発音記号で表すと[áuər][gróuθ]です。しかし、前者についていえば、JAŸの発音を聞いていると[r]要素はあまり感じられませんね。後者も[θ]と発音されているようにはとても聞こえません。

それもそのはず、 いわゆる黒人英語(AAVE)においては、語末の[r]がしばしば脱落し、語末の[θ]がしばしば[f]で代用されるからなんです。

ですので、そういうことを知っておくことはリスニングにおいて大事です。が、ここでもう一つ強調しておきたいのが、いつだって総合力勝負だということです。

今回、ourにおける[r]とgrowthにおける[θ]が聞き取れなかったとして、2文目をディクテーションするとどうなるでしょうか?

I don't know if it's helpful to outgrow.

outgrowは動詞で「(成長して)…を追い抜く」といった意味です。通例他動詞として用いられますが、あえて目的語を省略して「(一般的に)何かを追い抜くという行為に意味があるかわからない」という意味で言っているのだとすれば、まあ意味は通りますね。しかし、前段で「音楽での競争は好きだ(I love the sparring and the music you get)」と言っていることを踏まえると、競争自体を否定するような発言は合わないですね。このように文脈を手がかりに聞き取ったそのままの英語を脳内で修正するといったプロセスは、じつはリスニングにおいて非常に重要です。

あるいは、growthは聞き取れたけれどもourが聞き取れず、以下のように聞き取ったとしましょう。

I don't know if it's helpful to out growth.

まず、helpfulは「役に立つ」という意味の形容詞です。helpful to …の形で「…にとって役に立つ」という意味になります。…にくるのは名詞、そしてgrowthはどう考えても名詞ですね。名詞を修飾するの形容詞しかないはずで、するとここではoutがgrowthを修飾する形容詞ということになりますが、そんなことあります? たぶんないですよね(※)。というわけで、outをourに修正し意味の通る文にできます。このように、文法・語法の知識を手がかりに聞き取ったそのままの英語を脳内で修正するといったプロセスも、リスニングにおいて非常に重要です。なお、じつはoutgrowthという名詞もあるのですが、これは「必然的結果」「副産物」などといった意味で、これもまたこの文脈では不適ですし、その意味の場合、それを修飾する形容詞句とともに使われるはずです。

※ 厳密に言えば、outが形容詞として前から名詞を修飾することは、ありえます! しかし、使われる場面がかなり限定されているので、通常はその可能性を棄却してしまって大丈夫です。

もちろん、文脈を手がかりに聞き取ったものを修正する場合でも、文法・語法の知識を手がかりに聞き取ったものを修正する場合でも、上に日本語で書いたようなことをいちいちぜんぶ考えてそうするのではなく、実際の場面はもっと感覚的・肉体的です。最近頭良さそうな人たちがよく使う言い回しを借りるならば、身体性を伴うものです(ダメだ、笑ってしまう)。英語というのは実技科目ですから。いずれにしても、4技能のいずれにおいても、己の全てを総動員するという姿勢は忘れずに持っていたいものです。

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