【じーじは見た!】後編:出版産業における返品削減研究会を見てみた!
Z世代応援団、未来世代応援のじーじです。
今回は、「出版産業における返品削減研究会 とりまとめ」を確認しています。
本編は後編です。前編から読んでいただけると嬉しいです。
4️⃣ 現状の課題整理
返本率低減に向けての課題を大きく分けて3つの論点で整理しています。
1)データ連携(DX)ができていない。
2)製造・流通の最適化ができていない。
3)書店の稼ぐ力が弱い。
そりゃそうですよね。出版・取次業界が個社個別最適を目指して書店を定価販売の返本フリーでしばりつけてきたのですから、25年前の佐野眞一さんの指摘から結局課題は何も変わっていないのです。

この図を個社個別最適で回していこうとしても駄目です。既にKindle(アマゾン)が実現しているのだから、日本の出版産業が目指すなら全体最適しかないんだけどね。

取次のトーハンは、アマゾンが変えてしまった本の流通イノベーションの中でもがいています。
ドイツでは業界統一書籍データベースを個社のものではなく、みんなで活用する非競争分野として標準化を進めています。
そのドイツの事例をトーハンが資料で示しています。
しかし、トーハンが、それをどういう気持ちで示しているのかが問題で、結局、個社個別最適での顧客抱え込み志向から抜け出せていないのなら町の本屋さんは復活しないでしょう。

紀伊国屋書店のような大手書店であれば、自社システムを磨いて売上を上げ、返品を減らして利益を上げる、そんなオペレーションも可能でしょうが、町の小さな本屋さんも同じことをしろと言われてもできないですよね。
5️⃣ 各社の取組と方向性
とりまとめのタイトルに「各社の」とあるように、まず、課題認識に対する個社個別の取組み事例を見て、今後の官民のすすむべき方向性をまとめるという流れです。
1)データ連携(DX)をどうしていくべきか
2)製造・流通の最適化をどうしていくべきか
3)書店の稼ぐ力をどうやってあげていくのか
1)のデータ連携(DX)に関しては、アマゾンに対抗しようとしたところで、日本の場合、個社の資本投入量では無理です。
プラットフォームとは、自社だけが得をするという思考で顧客をロックインするだけを考えていたのでは共通基盤になり得ません。
日本の企業個社任せではプラットフォームは生まれません。なぜならば、アマゾンに対抗できるだけの資本力がないからです。
日本企業個社が牽引するプラットフォームは現れないのです。
経済産業省では、書店におけるRFIDの導入効果実証『デジタル技術を活用した書店の流通改革プロジェクト』を令和6年度補正JLOX+補助金の支援で全国19書店で実証実験を実施したそうですが、広がらないでしょうね。
こんなことに予算使って「本」が売れますか?
「返本」はRFIDで減りますか?
そこが問題じゃないでしょ。
2)の製造・流通の最適化に関してもやっぱり個社個別最適の取組みから脱皮ができていません。
例えば、「出版社と書店間での直取引や直送、書店起点の発注に基づく製造や、書店間で在庫情報等を集約し、共同販売、仕入れ強化の取組を行うなど、返品削減につながる書店独自の工夫がみられる。引き続き書店独自の工夫を続けながらも、データ連携等はサプライチェーンを横断し取り組んで行く必要がある。」と書いてあるように「相互連携の必要性」を指摘している段階であり、アマゾンの3周遅れです。
3)書店の稼ぐ力をどうやってあげていくのかに関しては、BP(ベストプラクティス)を紹介するので個社個別に「やっとけー」といういつもの日本の丸投げ行政方程式です。
【株式会社大田丸は、株式会社大垣書店を中心に、全国の地域に深く根差した書店同士が、 連携、協力することで、地方書店が「知の拠点」としてその地域での役割を果たし続けることを目的に設立。地方書店(12書店128店舗)の商品販売実績、在庫情報を、大田丸が web システム上で集約し、契約出版社へ日毎に自動公開する取組を地方書店の連携で実施している。個店では届かない潜在需要を広域連携で可視化、共通フォーマットで出版社へ提供し、地方書店の協働によるデータの活用と情報インフラの整備を行っている。これにより、データに基づき書店側が主体的に仕掛け、確実に「仕入れて売り切る」基盤ができ、協働による商流が確立されること、確実な入荷を出版社へ担保し、販売機会を最大化している。】
素晴らしい事例ですが、大田丸への投資がアマゾンを凌駕するDXにつながると考えているのだったら、頭お花畑です。
6️⃣ 今後の官民の具体的取組
こうやって見てくると、大体結論の予測がつきます。
民に対して「まとめを参考に各社で頑張れ」「やっとけー」の丸投げ+補助金でしょう。違いますか?
ここでは「官」の取組みに注目しましょう。
まずは業界インフラとしてのデータ整備が重要であり、そのためのRFIDの導入について、官としても支援していく。さらに、書店活性化プランに記載の取組を着実に進めていく。
・ RFID導入支援実証で確認された効果を踏まえ、書店でのRFID活用を後押しするため、RFID関連機器については、「中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)」の対象として位置づけ、導入に伴う費用負担の軽減を図っている。2026年2月には万引き防止ゲートが製品登録され、26年3月末に書店等の申請が可能となった。今後も対象となる機器の拡大に向けて順次組合せ登録を進めていく。こうした仕組みを活用することで、書店におけるRFID導入を引き続き支援していく。
・ RFID導入効果実証事業結果の活用普及 METI ジャーナル等での周知、地方書店への普及方法を検討する。
・ その他書店で活用できる中小企業支援策の周知等支援施策ガイドの周知、METIジャーナル記事掲載等継続周知を実施し、自治体との連携を含めた書店活性化策を検討する。
言えることは、こんなとりまとめでは、GAFAMには勝てないし、紙の本の販売は減り続け、町の本屋さんの閉店は止まらないということです。
とにかく頑なに変えない中小企業基本法と地方自治法ですが、電報と郵送というコミュニケーション手段であった昭和行政の根本を変えたくない方々によるマネジメントが続く限り、改革を拒絶しつづけ、再販価格制度については一切手をつけない提言に留まります。
そんな有識者会議の提言でどこまで紙の「本」を守っていけるのでしょうか?
ちょっとがっかりしたとりまとめでした。
頑張れZ世代!
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