【じーじは見た!】後編:政府がアホやから鉄造っとられへんわ ~ 第2回 産業構造審議会 イノベーション・環境分科会 排出量取引制度小委員会 製造業ベンチマーク検討ワーキンググループを見てみた ~
Z世代応援団、未来世代応援のじーじです!
さて、今回は、排出量取引制度小委員会 製造業ベンチマーク検討ワーキンググループの第2回会合の資料を見て、鉄鋼業界の置かれた厳しい状況を確認しています。
本編は後編です。前編から読んでいただくと話が繋がります。
4️⃣ 電炉業界の悲痛な叫び
電炉は高炉に比べてCO2排出量が少ないので、鉄鋼業界としてもその割合を増やしていきたいのですが、希望に反して生産量がどんどん減っています。
スクラップ&ビルドのビルドがないので、需要創造が起こらず、また公共事業のインフラ劣化更新投資もせずに道路を陥没させている日本政府の予算措置では、鉄の内需を刺激しようがありません。
一方、民間企業の民間投資は海外ばかりで、国内では工場閉鎖が相次いでも新設はなく、電炉の粗鋼生産量は減り続けているのです。

生産能力をフルに生産した場合の効率と違って生産量が落ちてしまうとエネルギー効率が下がり、エネルギー原単位が悪くなります。つまり、CO2排出原単位(鉄1トン造るのに排出するCO2量)も下がるどころか上がっており、悪化しているのです。
今の日本は、工場が閉鎖されたら、即座に解体して、スクラップ&ビルドで直ぐに新しい工場を建設する程製造業に元気がなく、国内製造業の衰退が進行中なのです。
⚫電炉業は資源循環型鉄づくりの一翼を担う業界として、鉄スクラップのリサイクルを通じて カーボンニュートラル実現に向け、大きな使命と責任を担っている。
⚫具体的には超高温による不純物の確実な分解除去、原料配合管理、そして、高度な製鋼技術に支えられ、鉄スクラップをクリーンな鋼材へと再生している。
⚫電炉業は発生品のリサイクル率が高いプロセスであり、具体的には、電気炉スラグは路盤材に、 ダストは亜鉛回収に活躍している。
⚫電炉業は最新の技術を導入していくことで、CO2排出削減に努めている
きれいごとだけを言う有識者や決められたことを粛々と進める官僚に対して、鉄鋼業界からは、こんなことを考慮してくれよと訴えています。
1)建設需要の停滞等に起因する粗鋼生産量の減少によるエネルギー原単位の悪化を考慮していただけないですか?
・・・つまり、鉄のスクラップが国内から出てこない中で需要も伸びず、生産したくても電炉の稼働率が上がらずに困っている。更に産業競争力を弱くするような基準を決めないでほしいという訳です。
2)上流工程については、省エネ法でも採用しているLFプロセス有無の補正を要望したい、下流工程については省エネ法では品種別ベンチマークを採用しているものの同一品種でも製造プロセス が違う等の問題がある為、その点を考慮していただけないですか?
・・・LFプロセス(Ladle Furnace)は、鋼づくりの最終仕上げを担う炉外精錬のひとつで高品質な鋼に仕上げるための工程です。高級な鉄鋼製品ほど電力を食うので、それをやめざるを得ないような基準づくりはやめてほしいという悲痛な叫びです。
3)市況(例えばスクラップ単価など)による変動要素を指標に使用しないでいただけないですか?
・・・とにかく、日本国内で物をつくるという仕事の価値をどんどん低くしてきたのが与党政治でした。物づくりを海外にシフトしてきたのは工業製品に限らず農産品にも言えることです。本当に今となっては票の取りまとめの司令塔ではなく、政策の司令塔となる賢い政治家がほしいです。
5️⃣ 鉄鋼連盟の悲痛な叫び
1)日本だけを厳しい基準にして輸入品には大甘では、日本の鉄鋼産業だけがダメージを被るので公平に扱ってほしいです。
⚫既に産業の電力/エネルギーコストの点で国際的な競争条件にビハインドがある中、特に市場がグローバル化している。 業種においてETSにより追加的な競争条件の悪化が加われば、外需(素材の場合は直接輸出のみならず間接輸出も)獲得は不可能となる。加えて、中長期的に人口減要因で内需が縮小するという構造要因も含めると、国内での生産は縮小せざるを得ない。
※ETS:排出権取引
2)グリーン鉄の需要拡大策をとってほしいです。
・・・日本の鉄鋼業界だけが頑張ってもグリーン鉄はコストが高い訳で、それを民間に丸投げしたのでは、企業は自己防衛本能で安い輸入鉄に切り換えてしまいます。せめて政府による優先的調達や政府による購入支援などによるグリーン鉄の需要拡大策を実施してほしいという悲痛な叫びです。
3)高炉からの一貫生産の重要性をよく理解してほしいものです。
上工程で発生する副生ガスは、製鉄所内のプロセス燃料や自家発燃料として利用されているほか、共同火力などにも外販され有効活用されている。バウンダリー内外を問わず副生ガスの利用は重要なCO2削減対策であり、こうした対策を徹底した結果、日本は世界最高水準のエネルギー効率を達成していることから、各社の実態を十分に踏まえつつ、これを阻害しない制度設計に留意頂きたい。
・自家発は製鉄所向けの特定供給を担う。共同火力は、鉄鋼会社と旧一電のJVオンサイト発電会社であり、製鉄所の副生ガスを主燃料とし、製鉄所向け特定供給と卸供給を担う
・自家発型の製鉄所と共同火力型の製鉄所が混在しており、そこで使用する副生ガスのカウント方法はベンチマークの公平性に大きな影響を与えることから、こうした点について配慮いただきたい。
6️⃣ 鉄鋼連盟の悲痛な叫びをまとめると
・先行してETSを導入したEUでは、本年3月に鉄鋼金属アクションプランを公表し、域内の炭素集約度が高い産業に対し て、ETSの間接コスト補償(電気料金を通じて転嫁された炭素コスト)を一層進める等、産業保護に舵を切った。
・裏返せば行き過ぎた温暖化対策による域内産業への弊害が顕在化したため、ETSの外で弥縫策を取る行動と見られるが、この点は先行事例からの教訓と受け止めるべき。
• 3月19日、欧州委員会は鉄鋼業界における短期から中期にかけての包括的な「鉄鋼・金属行動計画」を発表。
• 行動計画の6つの柱の内、「クリーンで手頃な価格のエネルギーの安定確保」において、鉄鋼業のようなエネルギー集約産業に対する電気料金の優遇措置の利用を推奨するような記載あり。
グローバル経済で生かされてきた日本と同じように、ユーロという域内共通通貨を始め、グローバル経済のルールづくりを牽引してきたEUですら、米中の動きをみながら弥縫策(びほうさく)と言われようが、自分たちだけが頑張っても環境も経済も良くならないので、軌道修正をしてきている訳です。
それなのに日本の政治家は、何をしているんでしょうか?
まとめは一言です。
「政府がアホやから鉄造っとられへんわ」
早く賢い政治家にバトンタッチしないと日本は本当に駄目になります。
頑張れZ世代!
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