俳句作品③
「非常に私的な後世に遺したい俳句アンソロジー」第3弾です。
小晦日君を惜しむと夜も青き 高橋睦郎
(こつごもりきみをおしむとよもあおき)
2004年12月30日、田中裕明は逝去した。享年45歳。
掲句は高橋睦郎の悼句である。
睦郎は、裕明の若い頃からその才を愛してきた。
裕明の主宰誌「ゆう」に次のような弔辞を送った。
裕明さん
驚き、悲しみ、途方に暮れています。
日本の詩歌の、日本語の将来のための、最も大切な存在を、私たちは喪いました。
あなたは、やさしく、あたたかく、悠揚迫らず、しかも毅然と姿勢正しい、言葉の闘士でした。この突然の欠落に耐え、私たちが遅々とした歩を再開するには、すこしく時間がかかります。変わらぬ温顔をもって、日本語と私たちをお見守りください。
とりあえず、三句を捧げます。
小晦(こつごもり)青澄むは音無かりけり
小晦君を惜しむと夜も青き
星一つ加へしづかや年送る
平成十七年元朝
年長の心の弟子 高橋睦郎
裕明没後、たくさんの俳人が悼句を捧げたが、20年の時を経て、この句がいちばん心に残る。
「惜しむ」の一語が、ほんとうの気持ちだからだろう。そして当時の俳人たちの誰もがこの思いをもっていたからだろう。
高橋睦郎は、もともと挽歌に優れている。詩人の最も重要な資質だろう。
※写真は冬なお青々とした歯朶。
