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お盆の大渋滞は本当に減ったのか?20年間のデータで調べてみた

この時期、テレビを付けていると高速道路の渋滞情報を目にします。
私の実家は宮城県なので、この時期は渋滞情報を気にしながら出発時間を検討します。しかし最近思うのは、かつてと比べて酷い渋滞が少なくなったということです。
以前は数十キロの渋滞に巻き込まれ、通常の倍以上の時間を掛けて帰省したり、渋滞中のトイレを気にしたりすることがもっと多かった気がします。
 
果たしてこの感覚は合っているのでしょうか。
そこで、NEXCOが公表しているデータをもとに、2005年から2025年までのお盆と年末年始について、「10km以上の渋滞」と「30km以上の渋滞」が何回発生したのかを調べてみました。
なお、各年の集計期間はNEXCOがその年の「お盆期間」「年末年始期間」として設定した公式期間を使用しています。そのため集計日数には多少の違いがあります。
 
【図1:30km以上の「大渋滞」はどう変わったか】

こうして20年間の推移を見ると、渋滞回数にはかなり大きな変動があったことが分かります。
特に目立つのが2009年前後と2020~2021年です。
2009年3月から2011年6月にかけては、景気刺激策の一環としてETC車を対象とした地方部の休日料金「上限1,000円」が実施され、高速道路の利用が大きく増えました。
一方、2020年から2021年は新型コロナウイルスの影響で帰省や旅行そのものが控えられ、渋滞回数が極端に減っています。
また、この20年間には新東名高速道路、新名神高速道路、圏央道などが順次開通・延伸しました。同じ方面へ向かう交通を複数のルートに分散できる「ダブルネットワーク化」が進んだことも、渋滞の変化に影響していると考えられます。
 
そこでコロナ禍の特殊要因を除くため、コロナ前5年間の2015~2019年と、直近3年間の2023~2025年を比較してみました。
 
【図2:2015~2019年平均と2023~2025年平均の比較】

この比較がなかなか興味深い結果になりました。
お盆の10km以上の渋滞は、2015~2019年の平均490回から、2023~2025年には354回となり、約28%減っています。
さらに30km以上の大渋滞に限ると、平均39.4回から18.0回となり、約54%も減っています。
つまり、私が感じていた「昔ほど酷い渋滞を見なくなった」という感覚は、少なくともお盆についてはデータでもかなり裏付けられました。
 
一方で意外だったのが年末年始です。
同じ期間を比較すると、10km以上の渋滞は179回から195回へ約9%増加。30km以上についても6.4回から8.7回へ増えています。
つまり、「日本人が帰省しなくなったから渋滞が減った」という単純な話ではなさそうです。
 
お盆と年末年始の違いを考えると、一つの要因として考えられるのが夏休みの分散化です。
以前と比べると、夏季休暇をお盆に一斉取得するのではなく、7月から9月の間で自由に取得できる企業も増えています。
昔ながらのお盆には親戚が集まり、お墓参りをするという家庭も多いと思います。一方、そうした慣習があまりない家庭であれば、家族旅行をするにしても、料金が高く混雑するお盆を避けたいと考えるのは自然です。
さらに、高速道路網そのものの整備や渋滞対策、繁忙期の料金施策などによって、特定の日・特定の道路に交通が集中しにくくなっていることも考えられます。
 
今回調べる前は、私は「コロナ禍をきっかけに、実家へ帰省するという慣習そのものが薄れた家庭が増えたのではないか」と考えていました。
しかしデータを見る限り、その仮説だけでは説明できません。
お盆の大渋滞は明らかに減っている一方で、年末年始の渋滞は減っていないからです。
社会の変化によって、帰省や旅行の時期が以前より分散するようになったことや、高速道路そのものが進化したことなど、いくつもの要因が重なっているのでしょう。
いずれにしても、昔のような30km、40km、50kmという大渋滞が減っているのであれば、帰省する側にとってはありがたいことです。
 
年に数回、実家に帰省して家族や親戚、昔からの友人と会うことは、人生を豊かにするうえで大切な時間だと思います。
帰省にはお金も掛かりますし、移動も面倒です。
しかし、「面倒だから」と人に会う機会を少しずつ手放していると、気が付かないうちに人生の大切なものまで失ってしまうかもしれません。
人と人との繋がりが弱くなっていると言われる時代だからこそ、お盆や正月という「人に会うきっかけ」を大切にしたいものです。
 
※データはNEXCO東日本・NEXCO中日本・NEXCO西日本が公表した各年のお盆・年末年始の交通状況をもとに集計。年によって公式集計期間の日数は異なります。

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