ラジオ体操が盛んな都道府県はどこ?全国ランキングから見えた地域コミュニティの力
今週は愛媛県で、お客さま企業の経営計画策定合宿を行いました。早朝にウォーキングを兼ねて松山城へ向かうと、昔懐かしいラジオ体操が行われていました。せっかくなので、集まっていた常連の皆さんに交じって参加。朝からしっかり全身を伸ばし、気持ちよく一日をスタートすることができました。
翌朝は、宿泊していた道後温泉の街を散策していると、またもラジオ体操の会場を発見。二日連続でラジオ体操をしたのは、小学生以来です。
子どもの頃の夏休みは、ラジオ体操で友達と合流し、そのままカブトムシやクワガタを採りに行ったり、プールへ行く約束をしたりしていました。スマートフォンもSNSもなかった時代、ラジオ体操は子どもたちにとって大切な「集合場所」であり、地域のコミュニティだったのだと思います。
令和の夏休みから消えつつある「集まる場所」
先日の日本経済新聞では、夏休みに自宅で留守番をすることがある小学生は半数を超え、友達と遊ばない子どもも約4割に上ると紹介されていました。共働き家庭の増加に加え、猛暑によって屋外で遊ぶこと自体が難しくなっています。
全国ラジオ体操連盟によると、ラジオ体操も「地域の担い手の高齢化や酷暑、騒音問題などにより減少している」といいます。運営には負担がかかりますし、毎朝6時30分から音を流すことも、生活スタイルが多様化した現在では簡単ではありません。
ラジオ体操の開催には地域差があるのか
今回、愛媛県で二日連続してラジオ体操に参加したことをきっかけに、ラジオ体操の開催状況に地域差があるのか調べてみました。全国ラジオ体操連盟に登録されている会場数を都道府県別に集計したものです。
※会場登録は任意であり、実際の全会場を網羅した統計ではありません。以下は「登録会場数」の比較です。
都道府県別・登録会場数ランキング

登録会場数では、東京都が437会場で1位。静岡県287会場、北海道253会場と続きます。人口の多い地域ほど会場数も多くなりやすい一方、鳥取県は1会場、島根県は2会場で、山陰地方の少なさが目立ちます。
人口10万人当たり・登録会場数ランキング

人口当たりで見ると、静岡県が8.14会場で圧倒的な1位となりました。2位は北海道、3位は和歌山県、そして愛媛県は4位です。私が二日間続けてラジオ体操の会場に出会ったのは、単なる偶然ではなかったのかもしれません。
全体を見ると、北海道は例外として、山陰や東北など雪の多い地域には下位の県が比較的多く見えます。冬場の積雪や路面凍結で屋外活動を続けにくいことは、一つの要因かもしれません。ただし、北海道が2位、山形県が11位であることを考えると、気候だけでは説明できません。行政や地域団体による運営・登録の仕組みも大きく影響していると考えられます。
全国1位・静岡県を支える焼津市の仕組み
静岡県がなぜ突出しているのか調べてみると、焼津市では行政と地域が一体となってラジオ体操を推進していることが分かりました。
焼津市では、市内約63会場で毎朝ラジオ体操が行われ、参加者は約1,500人とされています。各会場に責任者が置かれ、地域単位で日常的に運営されています。
特徴的なのが、参加回数を記録し、節目ごとに表彰する仕組みです。100回、200回、300回、500回、700回に加え、焼津にちなんだ「812(やいづ)回」、さらに1,000回でオリジナルワッペンが交付されます。1,000回、2,000回など、長期間参加した人は市の大会でも表彰されます。
また、親子ラジオ体操会の開催や指導者の育成など、行政が新しい参加者を呼び込み、活動を次世代へ引き継ぐための支援も行っています。単に「ラジオ体操を続けましょう」と呼びかけるのではなく、続けたくなる仕組みと、続けられる運営体制を整えているのです。
わずか数分が、人と人をつなぐ
地域のコミュニティが強いからラジオ体操が続くのか、それともラジオ体操があるからコミュニティが強くなるのか。その順番は分かりません。
ただ、朝のわずか数分でも、世代を超えて人が顔を合わせ、挨拶を交わす機会が地域に残っていることには大きな価値があります。ラジオ体操は単なる運動ではなく、人と人をつなぐ小さな社会インフラなのかもしれません。
