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数字が語る安全保障のリアル:世界の軍事負担推移と日本が知るべき「相対的立ち位置」

2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻や、長期化の様相を呈している中東情勢など、世界各地で戦争や紛争が続いています。日本でも、中国・北朝鮮・ロシアなど周辺国の軍事力強化を背景に、防衛力強化を盛り込んだ安全保障関連3文書が2022年に閣議決定され、防衛費が大幅に増加しています。
 
防衛費の増加には様々な意見があると思いますが、まずは客観的に、現在の日本の軍事費(防衛費)が世界の中でどのような位置にあるのかを調べてみました。

SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)のデータから作成

現在、日本の軍事費(防衛費)はSIPRIの2025年(暦年)ベースで見ると、ドルベースで世界10位、GDP比では1.4%となっています。(※日本政府の2025年度当初予算ベースではGDP比約1.6%ですが、SIPRIとは算定方法が異なります。)
2016年から2025年の伸びを見ると、安保三文書の策定なども背景に、+60.9%と大幅に増えています。欧州各国の伸びも顕著で、ロシアによるウクライナ侵攻などを受け、各国が軍事力の増強に動いていることが分かります。その中でも特筆すべきなのがウクライナです。2016年比で+1500%、約16倍となり、GDP比でも39.6%と突出した数字になっています。
SIPRI基準では、2025年の世界全体の軍事費は世界GDPの2.5%に相当します。日本は1.4%で、経済規模に対する軍事費の比率は世界全体の水準を下回っています。2026年度予算では1.9%と更に増加していますが、それでも世界水準よりは低位です。

世界全体では軍事費が増加していることが分かりますが、歴史的に見るとどうなのでしょうか。IMFに、各国の防衛費GDP比の世界平均を1946年から追ったデータがあったので調べてみました。以下は、その推移です。

こうして見ると、長期トレンドでは軍事費のGDP比は低下してきましたが、この数年で反転していることが分かります。朝鮮戦争期や冷戦期には高い水準が続いた一方、冷戦終結後には各国がGDPに対する軍事費の比率を大きく下げていることが見て取れます。
冷戦終結後には「平和の配当」という言葉が使われました。軍事費(国防費)の削減によって生まれた財政的な余力を、経済の立て直しや社会福祉、教育、インフラ投資などの民生分野に回すことで得られる経済的な利益や恩恵を指します。世界情勢の緊張が緩和されれば、国民生活を豊かにする分野へ、より多くの資金を振り向けることができるわけです。
 
ちなみに、IMFの資料は1946年以降でしたが、第二次世界大戦中はどうだったのでしょうか。Mark Harrison氏の "The Economics of World War II: Six Great Powers in International Comparison"(Cambridge University Press)に主要国のデータがあったので、そこから作成してみました。

当時の日本はピーク時にGDP比76%もの軍事費を投入していました。他の主要国を見ても、当時の戦時経済がいかに極端な状況だったかが分かります。
 
防衛費の増額には様々な意見があると思います。戦時下にある国々の様子を報道で見るたびに心が痛みます。また、前述した「平和の配当」のように、同じ安全保障水準を維持しながら世界各国が軍事費を削減できれば、その分を国民生活を豊かにする分野に振り向けることができます。一方で、各国が軍事費を増やす中、一国だけが防衛力を削減すればよいとも言い切れません。自国の平和を維持するために必要な軍事費は、周辺国を含めた国際情勢との相対的な関係で考える必要があります。
まずは、日本が世界の中でどのような立ち位置にあるのかを知ることが大事だと思います。

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