捨てられない服を手放すには
実家に滞在している私のミッションは、母の服を片づけること。
妹からは、ゴミ袋いっぱいになるまで服を捨てるように指令が出ている。
モノを捨てられない高齢者は多い。母もその一人。
引き出しを開けようとすると、なぜか裏が白い不要な紙がぎっしり入っていて、スムーズに動かない。
メモ用紙に使うと言うけれど、量が多すぎる。
十年分の紙袋が洗濯機の横につまっていて、ホコリをかぶっていた。
どんなに綺麗な包装紙でも、十年以上とっておくと、黄ばんで使いものにならなくなることを私は学んだ。
洗面台の下から出てきたタオルの量! 100枚以上はあったと思う。
そのうち半分はシミがついていて、洗濯してから雑巾にした。
母は人生の先輩として、私に老後の断捨離の大切さを伝えるために、これだけのモノを溜め続けてきたのだと解釈している。
いわゆる反面教師か。母の溜めたモノの多さを目の当たりにして、自分でも瓶詰めの植物は使う分だけに減らそう、と反省した。
私にとって捨てられない宝物も、他の人から見たらゴミ。私の死後みんなが困るということは、あり得る。
黄ばんだ紙類は惜しげもなく捨てられるので、まだ良い。
服には思い出があるので、もう着ないことがわかっていても、捨てるまでには多くの関門がある。
妹が就職したとき、母がデパートで買ったブラウスも三十年以上とってある。
母の記憶の中では、高かったが良いもの。思いきって買ったものだから、いまだに捨てられない。
うん、わかった、私が着ればいいのね?
迷いが断ち切れない服はうちで引き取ることになる。
誰かが着ると思えば、手放せるらしい。
そういう服が三十着ほどクローゼットから出てきた。
一着ずつ確認。
これは? お友だちからもらって、何回か着た。まだ傷んでない。自分は着ないが、誰かに着てほしい。
このシャツは? 綿100%で肌ざわりが良い。サイズが窮屈になって、もう着ることはないが、捨てがたい。
一通り確認して、全部は引き取れないけど、半分くらい持って帰ることに。
私、たぶん、もう一生服は買わなくていい。
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