【読書感想文】村田沙耶香さんの『消滅世界』の洗脳
またまた村田沙耶香さんの本をご紹介します。
前回は、長編の『世界99』(上)(下)を記事にしました。
村田さんは、常に常識をうたがって、独自の世界を作り出しています。
村田沙耶香さんの小説『消滅世界』のあらすじを簡潔に説明します。
一言で言うと
「セックスによる生殖」が過去のものとなり、家族の形が劇的に変化した近未来を描いた衝撃作です。
あらすじ
セックスが「不要」になった世界
舞台は、人工授精による出産が当たり前になった日本。かつての「男女が愛し合い、セックスをして子供を産む」という行為は、今や「不潔で野蛮な古い習慣」とされています。人々は家族という形は維持しつつも、性愛と生殖を完全に切り離して生きています。主人公・雨音(あまね)の葛藤
主人公の雨音は、人工授精で生まれた世代です。彼女は夫と「清潔な夫婦関係」を築いていますが、かつて「恋愛結婚」をした母親から、古い時代の価値観(性愛への執着)を聞かされて育ったため、今の世界のあり方にどこか違和感を抱いています。「家族」さえも消滅していく実験都市
物語の舞台は、さらに過激な社会実験が行われている千葉県へと移ります。そこでは「夫婦」という枠組みすら廃止されようとしていました。街全体が巨大な「繁殖施設」のようになり、効率的に子供を産み育てるための新しいシステムが導入されます。「正常」とは何かを問いかける
雨音は、変わりゆく世界の中で「本当の愛」や「家族の形」を模索します。しかし、彼女がたどり着くのは、私たちが信じている「普通」が根底から覆されるような、驚愕の結末です。
この作品のポイント
「普通」の逆転: 私たちが当たり前だと思っている「恋愛して結婚する」という行為が、この世界では「異常」や「気持ち悪い」とされます。その価値観の逆転が鮮烈です。
究極のシステム化: 人間が「個人の感情」よりも「種の保存」のためのシステムとして機能していく様子が、淡々と、かつ不気味に描かれています。
村田沙耶香さんらしい「正常と異常の境界線」を激しく揺さぶる一冊です。
人生に正解がないように、恋愛感情にも正常と異常の境界はない、それを突き詰めると、見たこともない世界が出来あがります。
ネタバレになるので、どんな世界かは、読んでみてくださいね。
どうやって、世界と折り合いをつけるのか?
そういう視点から、この本を読んでみました。
なぜなら、私も常にこの世界での立ち位置に迷いながら生きているからです。
4つの視点で考えます。
①「洗脳されていない自分」なんて、いない
この作品の中で、印象に残ったのは、洗脳という言葉です。
「洗脳されてない脳なんて、この世の中に存在するの?」
この言葉を見たとき、少しドキッとしました。
強い言い方だけれど、完全に否定することもできない気がしたからです。
私たちは生まれた瞬間から、洗脳されています。
家族の価値観、学校教育、社会の常識、年齢や立場への期待に囲まれて育ちます。
自分だけで一から考えることは不可能です。
考える材料の多くは、どこかから受け取ったものです。
「何にも影響されていない自分」
そんな存在は、もしかしたら幻想なのかもしれません。
②この世界の正解を求めない
洗脳されているか、いないか。
恋愛を信じるか、否定するか。
社会が正しいと決めたことを、どこまで受け入れるのか。
考え出すときりがありません。
でも、考えているあいだにも、日常は進んでいきます。
ちゃんとしていなきゃ
間違えないようにしなきゃ
正しく生きなきゃ
そう思えば思うほど、
社会で生活するのが息苦しくなってくることがあります。
正解を求めているときゅうくつになります。
押しつけられた理想よりも、自分の気持ちを優先したい。
「どう生きるか」よりも、
「どうすれば壊れずにいられるか」。
そんなふうに、生きるための考え方が少し変わってきました。
③noteを書くことで、答えを探せる
そんな私にとって、noteを書く時間はたいせつです。
結論が出ていなくてもいい。
考えが途中でもいい。
迷っている自分のままでも、書いていい。
誰かの正解に合わせなくてもいいじゃない。
立派な言葉を並べなくても、平気。
そのとき感じていることを、そのまま置いておける場所。
noteを書くことで、自分なりの正解を作ればいいのかも。
そう考えることで、私は「正しくあろう」とする力から、少し自由になれます。
自分の気持ちを書くことで、呼吸が楽になるのです。
④書くことで「自分の形」を作っていく
記事一本一本は、未完成かもしれません。
考えが揺れている日も多いです。
それでも、書き続けているうちに、気がつきます。
「私はこういうことに引っかかる人間なんだな」
「こういう考え方は、どうやら手放せないらしい」
そんな輪郭が、少しずつ見えてきました。
この世界に完全に自由な場所はありません。
世間の常識に洗脳されない自分には、一生なれないかもしれません。
でも書くことで、この世界の中に自分なりの立ち位置を作ることはできるのです。
noteは、私にとって
この世界に合わせすぎないで生きるための、
小さな、でも確かな足場です。
もしあなたも、社会に合わせることに
どこか息苦しさを感じているとしたら。
「正しく生きる」ことにこだわらなくて大丈夫。
まず「書いてみる」を選択すると、ラクになるかもしれません。
きれいじゃなくても正解でなくても大丈夫。
書くこと自体が、あなたの形なのです。
自分なりの形が作れるnoteという場所があって良かった、と今は思っています。
*この記事はAmazonアソシエイトに参加しています。

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