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🎧針を落とせば、いつかの風景 Pt. 11〜『Led Zeppelin II』で鳴り響くロックの心臓音

ここは、とある街の音楽好きが自然と集まる喫茶店「フォックストロット」。
UKロックを愛するマスター・カズヒコのもと、駆け出しの銅版画家アミ、そして中学時代からの親友で音楽雑誌ライターのユキヒロが、ときおり立ち寄っては、レコードとコーヒーを肴に静かで熱い音楽談義を繰り広げている。


レッド・ツェッペリン 『Led Zeppelin II』 (1969年)


轟音の幕開け

アミ「マスター、今日はどんなレコードを出してくれるんですか?」
カズヒコ「今日はこれだよ。レッド・ツェッペリンのセカンド、『Led Zeppelin II』。1969年に出たアルバムだ。」
ユキヒロ「お、いいね。ファーストで一気に注目を浴びて、ツェッペリンの名前を世に知らしめた直後の作品だ。あの時代の勢いがそのまま刻まれてる。」
アミ「ジャケット、兵士みたいな人たちが並んでますね。なんだか古い写真をコラージュした感じ?」
カズヒコ「そうそう。第一次世界大戦の飛行隊をモチーフにしてる。そこにツェッペリンのメンバーや、マネージャーの顔を合成してあってね。シンプルだけどインパクトあるだろ。」
ユキヒロ「音の方も、まさに“飛行機雲”を描くような勢いだ。冒頭の『Whole Lotta Love』、あのリフを聴いただけで世界中のロック少年がしびれたもんだよ。」
アミ「“ジャンジャジャジャン、ジャジャジャン”ってやつですね! 聴いたことあります。確かに迫力ある!」
カズヒコ「あれはジミー・ペイジのギターリフの代表作だな。そこにロバート・プラントのシャウトが重なって、もう誰にも真似できない世界になった。」
ユキヒロ「しかも真ん中で入るサイケデリックな音響処理。あれは当時の最新の録音技術を駆使した実験でね。アメリカツアーの合間に各地のスタジオで録音したから、音も荒削りだけどライブ感に溢れてる。」
アミ「そうなんだ。計算されてるというより、勢いそのまま録った感じなんですね。」
カズヒコ「その荒々しさがいいんだよ。ツェッペリンの魅力は、“未完成の迫力”だからな。」

ブルースの継承と未来への道

ユキヒロ「このアルバムは、ブルースの伝統をしっかり受け継いでるのも大きい。『The Lemon Song』とか、『Bring It On Home』とか、元はアメリカ南部のブルースが土台になってる。」
アミ「へえ、ブルースってもっと渋いイメージでした。でも、こんなにハードで力強く変わるんですね。」
カズヒコ「それをロックに変換したのがツェッペリンの凄ささ。単なるコピーじゃなく、エネルギーを増幅して未来につなげた。だから今聴いても古びないんだ。」
ユキヒロ「『Heartbreaker』のギターソロ、あれも衝撃的だった。突然リズムが止まって、ペイジのソロが炸裂する。ああいう構成は当時ほとんど前例がなかった。」
アミ「確かに、不意打ちみたいでびっくりします。ライブでやったら盛り上がりそう!」
カズヒコ「実際にライブでの定番になったんだ。あのアルバムから、彼らは“スタジアム級のバンド”に育っていった。小さなクラブから一気に世界の頂点に。」
ユキヒロ「それに、このアルバムでツェッペリンが“ブルースの継承者”だけじゃなく、“新しいロックの創造者”として認められたんだ。後に続くハードロックやヘヴィメタルの礎を築いた作品だよ。」
アミ「じゃあ、今のバンドにも影響を与えてるんですね。」
カズヒコ「もちろんさ。リフ主体のハードロックっていう形は、ここから定着したといってもいい。70年代以降のロックはみんな、このアルバムを通過してる。」
ユキヒロ「それだけに“II”は、単なるセカンドアルバムじゃなくて、時代を決定づけた証拠品みたいなものだな。」
アミ「なるほど……。ツェッペリンって、ただカッコいいだけじゃなくて、歴史を変えたんですね。」
カズヒコ「アミ、いいこと言うな。ロックは単なる娯楽じゃなくて、文化のうねりなんだ。その波の真ん中に、この『Led Zeppelin II』がある。」
ユキヒロ「そして俺たちは、いまだにその波の余韻を楽しんでるってわけさ。」
アミ「じゃあ、次は『III』も聴いてみたいです!」 


次回作・・・

ルー・リード「トランスフォーマー」 (1972年)

■登場人物

  • カズヒコ:52歳。喫茶店「フォックストロット」のマスター。UKロックに詳しく、レコードコレクター。

  • アミ:26歳。ウェイトレス兼、駆け出しの銅版画家。美大卒で個展開催が夢。音楽はマスターの影響で興味を持ち始めた。

  • ユキヒロ:52歳。音楽雑誌のライターでカズヒコの中学時代からの親友。店にふらりと現れてはブラックコーヒーを飲む。

※喫茶店「フォックストロット」の名前は、ジェネシスの同名アルバムに由来。
 

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