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SCMって何する仕事?食品メーカーで5年やって見えたこと

はじめに

「SCMって何の略?」と聞かれて、すぐ答えられる人はそう多くない。

Supply Chain Management——サプライチェーンマネジメント。

日本語にすると「供給連鎖管理」だけど、正直これだけ聞いても何をやる仕事かわからないと思う。

僕は新卒で食品メーカーに入り、SCM部門に配属されてから約5年間、需給管理や在庫適正化の仕事をしてきた。

就活のときは正直「SCM」なんて言葉すら知らなかったし、配属されたときも「何するの?」という状態だった。

今回は、SCMに興味がある人、SCM部門に配属されたばかりの人、あるいは転職先の候補として気になっている人に向けて、僕が現場で見てきた「SCMのリアル」を書いてみる。

SCMを一言でいうと「届けるまでの全部」

おおまかに言うと、SCMは「原材料の調達から、お客さんの手元に届くまでの流れ全体を管理する仕事」だ。

食品メーカーの場合はこういう流れになる。

原材料を調達する → 工場で作る → 倉庫に保管する → 出荷する → 届く

この一連の流れのどこかで詰まると、商品が届かない。逆にどこかで作りすぎると、在庫が余って廃棄になる。

SCMの仕事は、この流れを最適化すること。簡単そうに聞こえるかもしれないけど、これが本当に難しい。

実際に何をやっているのか

サプライチェーンを最適化するために、具体的にどんな業務があるのか。

SCMの業務は大きく「需給業務」「物流業務」の2つに分かれる。僕が経験した範囲で、それぞれ書いてみる。

【需給業務】— 「いつ、何を、どれだけ作るか」を決める

需給業務は、SCMの"司令塔"だ。数字とにらめっこしながら、モノの在庫をコントロールする。

① 需要予測(どれくらい売れるかを読む)

来月、来週、あるいは明日、どの商品がどれくらい売れるのかを予測する。予測が外れると、作りすぎて在庫が余るか、足りなくて欠品する。どちらも会社にとっては大きな損失になる。

営業が持ってくる受注見込み、過去の販売データ、季節の傾向、販促の予定——いろんな情報を組み合わせて「たぶんこれくらい売れる」という数字を作る。

正直に言うと、予測は必ず外れる。100%当たる予測なんて存在しない。大事なのは「どれくらい外れるか」を把握して、外れたときにリカバリーできる体制を作っておくことだ。

② 在庫管理(多すぎず、少なすぎず)

倉庫にある在庫を適正な水準に保つ仕事。

在庫が多すぎれば保管コストがかかるし、食品なら賞味期限切れのリスクもある。少なすぎれば欠品して、取引先に迷惑をかける。

「じゃあ適正在庫ってどれくらい?」という問いに答えるのが、在庫管理の本質だ。勿論、需給予測が「どれくらい外れるか」によって、適正在庫は変化する。

安全在庫の計算、在庫回転率のモニタリング、滞留在庫の洗い出し。地味だけど、これをサボると倉庫がパンクしたり、突然欠品したりする。

③ 生産計画調整

各工場の生産計画数量を調整する仕事。

適正在庫を保持する為に、各工場でどの商品をいつどれだけ生産するかを調整する必要がある。勿論、①需給予測が外れた分、製造を調整することも必須である。

細かくいうと原材料発注などもあるが、主に需給担当は、「どの商品を、いつ、どれだけ作るか」の最適解を探る。日々数字と睨めっこしながら、柔軟に対応していく力が必要になる。

【物流業務】— 「どうやって届けるか」の仕組みを構築する

物流業務は、SCMの"フィールドプレイヤー"だ。需給が決めた「量」と「タイミング」で、実際にモノを動かす仕組みを構築する。

④ 輸配送管理(届ける手段を組み立てる)

工場や倉庫から出荷された商品を、取引先や消費者のもとへ届けるまでの輸送を管理する仕事。

トラックの配車手配、配送ルートの最適化、輸送コストの管理——地味に見えるけど、ここの効率が物流コスト全体を左右する。

最近では、輸送距離の上限やドライバー不足の問題もあり、「届けたくても届けられない」という事態が現実に起きている。

⑤ 倉庫管理(保管と入出荷のオペレーション)

倉庫内でのモノの受け入れ、保管、ピッキング、出荷のオペレーションを管理する仕事。

在庫管理が「量をコントロールする頭脳」なら、倉庫管理は「実際にモノを動かす現場」だ。ロケーション管理(どこに何を置くか)、先入れ先出し(FIFO)の徹底、棚卸しの精度——現場のオペレーション品質がそのまま在庫精度に直結する。

倉庫管理システムを使っている会社もあれば、まだ紙やExcelで管理している会社もある。このあたりのシステム化・効率化も、物流業務の重要なテーマだ。

需給と物流は表裏一体

ここまで分けて書いたけど、実際の現場ではこの2つは切り離せない。

需給がどんなに正確な計画を立てても、物流が回らなければモノは届かない。物流がどんなに効率的でも、需給の計画がズレていれば無駄な輸送が発生する。

SCMが面白いのは、この両方を見渡せるポジションだからこそ、全体最適を考えられるところだと思う。

SCMの仕事で一番大変だったこと

5年やってきた中で一番きつかったのは、「正解がない中で判断し続けること」だった。

需要予測は外れるのが前提。在庫の適正水準も、条件が変われば変わる。生産計画の調整も、何を優先するかで答えが変わる。

しかも、判断の結果がすぐには見えない。今月の在庫調整が正しかったかどうかは、来月にならないとわからない。

それでも毎日、限られた情報の中で「今はこうすべきだ」と決めて動かなきゃいけない。

これはSCMに限らず、仕事の本質なのかもしれないけど、SCMは特に「不確実な状況で意思決定する」場面が多い仕事だと感じている。

SCMの仕事で一番面白かったこと

逆に一番面白いと感じたのは、「仕組みを作って、数字が変わる瞬間」だ。

たとえば、Excelで予測精度をトラッキングする仕組みを作ったら、チーム全体の精度意識が変わって、実際にMAPE(予測誤差の指標)が下がった。

在庫の可視化ダッシュボードを作ったら、今まで気づかなかった滞留在庫が見えて、廃棄ロスが減った。

自分が作った「仕組み」が現場に定着して、目に見える改善につながる。この感覚は、SCMの仕事ならではだと思う。

SCMに向いている人

5年やってみて思う、SCMに向いている人の特徴は3つ。

数字に抵抗がない人。 毎日Excelやシステムの数字を見る仕事なので、数字を見ること自体が苦痛だときつい。ただし「数学が得意」である必要はない。

白黒つかない状況に耐えられる人。 さっき書いた通り、SCMには正解がないことが多い。「60%の確信で判断して動く」ことに抵抗がない人は向いている。

調整ごとが嫌いじゃない人。 営業、工場、物流、仕入先——いろんな部門と毎日やりとりする。コミュニケーションの量は多い。ただし、社交的である必要はなくて、「論理的に説明して合意を取る」タイプのコミュニケーションが中心だ。

SCMのキャリアは広がるのか

これは僕自身も考えてきたテーマなので、正直に書く。

結論から言うと、SCMの経験は汎用性が高い

需要予測はデータ分析の素養につながる。在庫管理はコスト管理の考え方が身につく。調整業務はプロジェクトマネジメントのスキルになる。

業界を変えても「モノの流れを管理する」という本質は同じなので、食品メーカーでの経験が、たとえば自動車部品やアパレル、ECの物流にも応用できる。

また、英語ができるとキャリアの幅が一気に広がる。海外サプライヤーとのやりとりや、グローバルSCMの調整は、英語ができるだけで担当者が限られるので希少価値が出る。

SCMをもっと知りたい人へ

SCMは知名度が低い割に、企業の利益に直結する重要な仕事だ。

「モノが届く」という、当たり前に見えることの裏側には、膨大な調整と判断がある。その全体を見渡せるのがSCMのポジションで、だからこそ面白い。

もしSCMのキャリアや実務について「もっと具体的に聞いてみたい」という方がいれば、スポットコンサルやキャリア相談も受け付けているので、気軽に声をかけてください。

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