スペースシャトル(まとめ)
アメリカで旅行中の「スペースシャトル」見学の足跡など。6機製造されたうち、現存する4機は全て見学した。その際に調べた関連展示などをまとめておく。
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OV-101 Enterprise エンタープライズ
★2020.2.16 ニューヨークで見学
ロケットエンジンを搭載しない滑空実験機なので、大気圏外に任務で飛ぶことは無かった機体。主にボーイング747を改造した専用輸送機の背中に乗せられ、大気圏内での滑空および着陸テストに用いられた。ネーミングに関して、多くのスタートレック・ファンからのエンタープライズ号の名称を希望する声が届き、命名された経緯あり。
1985年からワシントンDCのスミソニアン航空宇宙博物館(別館)で展示されていたが、2012年にNASAから払い下げられ移送されて来た「ディスカバリー」と入れ替えとなり、その輸送機でニューヨークへ移送。ハドソン川に浮かぶ退役空母を利用したイントレピッド海上航空宇宙博物館での展示となった。
OV-102 Columbia コロンビア
シャトル計画は、コロンビア号による1981年4月の初飛行での最初のミッションからスタートした。27回の成功ミッションの後、2003年28回目のミッションの帰路の際、大気圏再突入中に空中分解した。チャレンジャー号の事故の際に改善されなかったNASAの体質に本質的な原因があったとされている。
OV-099 Challenger チャレンジャー
地上実験機としてエンタープライズと同時に製造されたSTA-099を改造して宇宙まで行けるようにした機体(エンタープライズは宇宙機動化(?)は行われなかった)。1986年10回目のフライトにおいて、打ち上げ73秒後に空中爆発した。後年「君は技術者の帽子を脱いで、経営者の帽子をかぶりたまえ」という台詞と共に「技術者倫理」を学習する際のポピュラーな事例となった。
倫理的判断を求められる問題を解決する際に役立つ事例
OV-103 Discovery ディスカバリー
★2018.2.22 ワシントンDCで見学
39回のミッションをこなし2011年に退役。その後、ワシントンDCのスミソニアン航空宇宙博物館(別館)「スティーブン F. ユードバー=ハジー・センター」に展示されている。
OV-104 Atlantis アトランティス
★2024.7.30 フロリダ州ケネディ宇宙センターで見学。このラストピースでコンプリートした。
2011年7月、33回目のミッション帰投後に退役。スペースシャトルとしての最終ミッションをこなした機体。2013年からフロリダ州ケネディ宇宙センターで展示されている。現時点では貨物室の上部ハッチが開いた状態での展示はコレだけ。NASA自身が展示しているから超充実な展示内容と演出。
OV-105 Endeavour エンデバー
★2015/3/30 ロスで見学。 (現時点ではClosed)
25回のミッションをこなし2011年に退役。翌年、展示先のカリフォルニアまで例の改造747に背負われてフロリダから大陸横断空輸された(フェリーフライトと呼ばれる)。Space Shuttle Era: Ferry Flights(YouTube) 後半のルートは以下の通り。西海岸で直接ロスには向かわず、色々表敬飛行をしてからLAXに降りた模様。唯一、西海岸にある現存する機体。
※本体ともいえるオービーターは、そもそもカリフォルニア州パームデールで製造されているので、HomeComming(里帰り)とも呼ばれた。
日の出とともにヒューストンを離陸。エルパソで給油。ホワイトサンズミサイル演習場を低空でフライオーバー。モハーヴェ砂漠のエドワーズ空軍基地に着陸。
翌朝エドワーズを離陸。低空で州都サクラメントをフライオーバー。引き続き、ヘイワード、オークランド、リッチモンド、サウサリートとサンフランシスコ湾(ベイ)を反時計回りに飛行。GGB(ゴールデンゲートブリッジ)で1周旋回して南下、サンブルーノ、サンマテオ、レッドウッドシティ、モフェット(NASAのエイムズ研究センターがある)。ここから太平洋側へ抜けてロス方面へ。
Watch Endeavour Fly Over The Bay Area Live
Space Shuttle Endeavour over Golden Gate Bridge(YouTube)ロス近郊で再び低空で表敬飛行でぐーるぐる。LAXに着陸。
Endeavour follows flight path of deflating party balloon
ココまでが空路。このあとの陸路でロスの街中をLAX(ロサンゼルス空港)から展示場所であるCalifornia Science Center(カリフォルニア科学センター)を目指すストーリーがちょいアツ。通称Mission26。沢山の街路樹、信号機、電柱を撤去して交通封鎖して開始された。
(タイムラプス動画1)Endeavour’s Homecoming(YoutTube)
(タイムラプス動画2)Space shuttle Endeavour's trek across LA: Timelapse(YouTube)
0:57~1:11の渡橋の約250m区間は、橋の耐荷重が専用台車だとアカンので、軽量台車に乗せ替えてトヨタのピックアップトラック「TUNDRA」1台で牽引している。百数十トンは牽引能力の30倍だったという。⇒トヨタ タンドラ、スペースシャトルの牽引に成功
ちなみに同館は暫定展示用に敷地の西の端っこにSamuel Oschin Space Shuttle Endeavour Display Pavilionを建設して用意していた。パビリオンといっても事実上の倉庫だね。2015年はここの中で見学できたが、現在は最終移設準備の為Closedっぽい。⇒The Samuel Oschin Pavilion is now closed, while we finish building Endeavour's permanent home 最終移設時にシャトルは外部タンク、固体ロケットと結合されて直立展示となり発射直前の状態となる計画。詳細は以下の近況参照。
最近の進捗:
2016年 外部タンクの輸送 from ルイジアナ州
Shuttle-used rockets roll into California to stand up Endeavour exhibit2023年 固体ロケットの輸送 from モハーヴェ
Rocket motors arrive at California Science Center for Space Shuttle Endeavour exhibit2024年 固体ロケットの組み立て
Space shuttle Endeavour gets new out-of-this-world display
建物の進捗も見れる。
Countdown to Space Shuttle Endeavour's final journey
California Science Center // Forward Assembly Installation2024.1.13 外部タンクも取り付け
External tank lifted into place for space shuttle Endeavour exhibit
2024.1.29 宇宙船本体(エンデバー)がいよいよ合体。Live配信された。4時間以上の動画。ニュース番組の動画の方がまとまっていて見やすい。
【番外】OV-098 Pathfinder パスファインダー
☆見学するか微妙だが、数奇な運命は面白い。
大気圏での飛行すら目的とされていないモックアップ。飛行制御系を一切持たない。というかコクピットすらないハリボテ。1977年の初代はクレーンや搬送機器の確認試験用途であり、寸法・重量・形状こそ実機に合せて製造されたが、原寸大の原寸大の治具(or文鎮)って感じ。当然、翼の剛性は無くワイヤーで張っている。治具にも号機番号を採番するNASAの中の人、好き。
2代目:1983~84年に日本において開催される「大スペースシャトル展」のために貸与すべく大改装が行われた(NASAとしては一度処分しているとの言説もある)。結果、各種金属やグラスファイバーによって、外観は極めて近づけられたが、耐熱タイル貼りは施されていない。と同時に、日本向けに輸送しやすいように分割できる構造となっている。「日本に来たスペースシャトル」的なオブジェという意味ではレアな存在と言える。改装費は100万ドルだが、米国製のハリボテであることには変わらない。このスキームを考案した奴がスゲぇ。
3代目:日本から返却後、アラバマ州の米国宇宙ロケットセンターで展示されていたが、1988年NASAから外部タンクと固体ロケットの提供を受け、これらも展示に追加。外観だけで言うと、スペースシャトル本体(オービター)と外部タンク、固体ロケットが組み合わさった形で展示されているのは(現時点では)ココだけ。⇒もうすぐ「エンデバー」が全部本物由来で組み上がるケドね。
現在:エンタープライズを含む実機は専用倉庫を設けた屋内展示だったの対し、保管状態が雨ざらしであるこのモックアップは風雨による腐食等の経年劣化の進行が早く、修繕が必要に至ったため2021年に30年ぶりにオービターが地上の降ろされた(2020年に助成金を得たことにもよる)。現在修繕中らしい。
U.S. Space & Rocket Center (オフィシャル)
現在の展示場所:アラバマ州 米国宇宙ロケットセンターPathfinder Documentary(YouTube)
パスファインダーの歴史(英語)Mock shuttle Pathfinder lowered to ground for first time in 30 years
30年ぶりに補修のため地上に降ろされたニュース(英文)Mock space shuttle Pathfinder lowered to ground for first time in 30 years
30年ぶりに補修のため地上に降ろされたニュース(英文)
【番外】OV-100 Independence インディペンデンス
コイツもハリボテだが、シャトル計画が有効だった時代(1993年)にフロリダ州ケネディ宇宙センターの見学者の教育用として「忠実なレプリカ」としてフロリダで製作された。(いわゆる実機の6機は南カリフォルニアで生産)。この時はエクスプローラー(Explorer)と呼んでいた。ケネディ宇宙センターに退役後のアトランティスが展示のために届けられると、2011年にテキサス州のヒューストン宇宙センターに移設され、2013年に公募によりインディペンデンスと改名された。
やがてヒューストン宇宙センターは、改造ボーイング747のシャトル輸送機(SCA:Shuttle Carrier Aircraft)の1機(N905NA)を手に入れ、おんぶさせる形での展示とした。この展示は、(使われていた実機の)輸送機の内部と(忠実なレプリカの)シャトルの内部が見学できる。
余談だけど、映画「アルマゲドン」で小惑星に向かう2機のシャトルは、インディペンデンス号とフリーダム号。映画「グラヴィティ」でハッブル宇宙望遠鏡のメンテナンス中に、アレしちゃうシャトルがエクスプローラー号と呼ばれている。
【番外】展示用の模型 インスピレーション
【番外】展示用の模型 アドベンチャー
インディペンデンスが来るまで、かつてヒューストン宇宙センターにあった機首部分の実物大模型。内部の見学が可能だった。インディペンデンスに一部が移植されたのち撤去された。
【番外】訓練設備
スペースシャトルには訓練設備が何タイプが存在した。ある意味これらもモックアップではある。シャトル計画が終了後は、NASAから払い下げられ(or寄贈)、一般に展示されている。
Full Fuselage Trainer (FFT)
(現在は閉鎖中?)
フル機体トレーナー(?)。後述のCCTとは異なり、NASAが訓練用にコクピット部だけで無く格納庫部を含めた全体を製作した設備。元来は輸送できるように設計されていなかったが、分割梱包されボーイングのお膝元であるシアトルへ移送された。ヒューストンからシアトルへの輸送にはスーパーグッピーが用いられたとのこと。Crew Compartment Trainer-1 (CCT-1)
乗務員訓練室トレーナー。いわゆるコクピット部(機首部分)だけの設備。発射時を想定した垂直置きにも対応しているらしい。1つはオハイオ州の国立アメリカ空軍博物館に移設された。展示の際に格納庫部や後部エンジン部のモックも追加され、見た目は全体を構成しているように見える。でもNASAが設備として製作したのは、機首部だけである。Crew Compartment Trainer-2 (CCT-2)
CCTの2台目。2022年、ジョンソン宇宙センターから同じテキサス州ヒューストンのローンスター航空宇宙博物館へ移設。CCT-1とは違ってこっちは機首部のみで展示だが、後述のシミュレータも展示しているのでコクピット部としての密度は濃い。Shuttle Mission Simulator-Motion Base (SMS-MB)
コイツはハリボテというよりはフライトシミュレータ。6軸の油圧式でコクピットの操作系が機能する。なので外観は何コレ感があるが、内部は最もガチでホンモノ。これもローンスターにて展示。
【番外】スペースワールド
パスファインダーは米国製のハリボテだったが、日本製のハリボテも存在した。北九州市にあったスペースワールドのアレである。1990年、新日本製鐵の八幡製鐵所の遊休地にOpenしたテーマパークのシンボル。100%日本製の原寸大の建造物(模型)。2017年末に閉園し、年明けにはオービター部の解体となった。日本製ではあるけれど、そこはソレ、結構こだわったレプリカ(?)だったようだ。⇒ゆっくり解説参照。
その他、参照サイト。スペースシャトル見学の沼。
Delivering and Displaying Space Shuttles
スペースシャトルの移送や展示でかなり詳しいサイト。<雑感>
やっぱ実際に宇宙空間との往復をこなした機体表面の質感の持つ「リアル感」は違う。地上での「劣化」とは別物。我々がアニメで観るモビルスーツの表面は本来こんな感じに「痛んで」いるハズなのだと実感できる。
