ミュージックビデオ版 「We Are The AI - 人とAIの交差点」 制作日誌 Part 2
同タイトルの自筆本を元に制作した音楽動画の制作日誌、Part2。 動画編集と有料プロモーション、地球規模の反省会。Part1はコチラ
iPadで動画編集
Part1で生成した楽曲と画像を使って動画を制作するという最終段階に突入した。例によって当初の予定よりも制作に時間がかかってたし、心身共に疲れていたのでUberの稼働時間を減らして制作にあたった。
いつも動画編集にはiOSアプリのCuteCutとVideoStarを使っている。今回はシンプルな動画で済ませようと思ったのでCuteCutだけでやることにした。ちなみに自分の創作品は全てiPhoneとiPadしか使わず、パソコンは一切使ってない。
元々は1曲だけ作る予定だったが、お気に入りが3曲あったので全部公開しようと思い、1本の動画に3曲入れて、同じ内容の動画を3曲分繰り返す長編動画にするつもりでいたが、それは少々野暮だし1曲だけのほうがクールだ、と思って1曲だけにし、他の2曲は1本の動画にまとめてあくまで没アイデアとして限定公開することにした。限定公開では収益化出来ないが、オリジナル曲のチャンネルの動画リストがAI生成曲で埋まるのが嫌だった。
曲のテンポがそれぞれ違うため、アニメーションのタイミング調整をするのが面倒だったので、正式採用したミステリアスなガールズラップ曲だけシンプルなアニメーション化し、他2曲はその動画の各シーンのスクショを撮ってそれをスライドさせるだけに留めた。
CuteCutを使ってちまちまとトランジションを追加していった。横断歩道を歩く人とロボを強調させるため、背景画の露出度を少し下げ、色調もわずかに青寄りのグレーにした。

元々、左右に映像フィルムを表現したフレームを加えて、各シーンを下から上へスライドさせる予定だったが、ただでさえ見づらい白黒動画がさらに見づらくなりそうだったので却下し、そのアイデアは後述する広告用のショート動画で採用することにし、結果的にうまいこと長尺版の映像をそのまま流用できた。
動画編集はチマチマ作業が面倒なこと以外には大した問題もなく進められた。動作が重くなることを懸念して、曲の1番と2番に分割して作り、最終的にそれをつなげた。
たった3分ちょっとのシンプルなフルHDの白黒動画のエクスポートも、4年間使い続けてきた伝説の名器・iPad Pro 10.5インチではかなり時間がかかり、さすがに買い替えを余儀なくされてきている。
出来れば参加したくないYouTube説明会
制作を終え、YouTubeにアップロードしたが、まだ字幕作成や説明文の記入を日本語だけでなく英語でもやらなくてはいけないことを思うと鬱状態になった。燃え尽き症候群にもなり、非公開のまましばらく放置していた。休日も外でギターを弾いたりボーッとして過ごした。果てしなくタヒにたい気分だった。
数日経ち、動画制作で一番面倒な作業を開始した。説明文を書くとき何を書くべきか分からなくてめんどくさくなるが、書きはじめると以外と筆が進む。今回も同様だった。
YouTubeは文字数制限があるし、このnoteや、これから書こうとしてるMediumと同じ内容になってGoogleにスパム認定されないように気をつける必要があった。 noteとMediumは「Google検索にかかるSNS」として使ってる。
例によってGoogle翻訳とCopilot氏の助けを借りながら説明文を英訳していった。説明文と字幕を他の主要言語に翻訳する作業もGoogle翻訳を使って手動でちまちまとコピペしていった。精度の高さから、英語を原文にして多言語化した。字幕に関しては自動翻訳機能があるから必然ではなかったが、独・伊・仏・中・スペ の5言語だけなので手動で作成した。
まず英語をYouTubeの字幕作成機能で一行ずつ手動入力し、その字幕データ(.sbvだか何だか)をダウンロードして、拡張子を.txtに変えてiOSのファイルアプリで開けるようにし、そのテキストをGoogle翻訳に貼り付けて翻訳し、メモ帳アプリにコピーしてテキストファイルとしてエクスポートし、そのファイルをYouTubeにアップする、という流れで行なった。日本語だけは手動で一行ずつ日本語歌詞に置き換えてエクスポートした。


ようやく制作の全行程が終わった。いつもならお祝いに酒を飲みまくっていたが、今は不整脈とパニック発作がこわいので自粛した。とみせかけて性懲りも無くビール一本だけ飲んでしまい、タバコも3本続けて吸ってしまった。そしてまた不安とパニック症状が悪化した。
力尽きたゴールデン広告
気付くと世間はゴールデンウィークに達していた。自分にはそんなものはどうでもよかったが、みんな楽しそうにしてる中で自分だけひとりぼっちで恥ずかしいランドセルを背負ってジャンクフードを配達してることに絶望し、燃え尽き症候群も重なってこの世の全てがどうでもよくなっていた。次の作品作りにも心移りしていた。この作品の製作は全てデジタル作業なのでストレートネックが悪化し、精神にも甚大な被害をもたらした。もうiPhoneやiPadを使いたくなかった。
しかし公開しただけでは誰にも見られないので、広告を出す必要があった。SNSは完全にやめたのでGoogle広告の動画広告をいつも通り使用した。 最近は稼働を減らして稼ぎも少なかったが、公開して放置しておくと盗作される恐れがあったので、「すでにたくさんの人に知られている」動画であるとアピールするために再生数を稼ぐ必要があった。(パクられても自分の動画だと証明出来る仕込みを動画の随所に入れてるしSUNOやCanvaの履歴で証明出来るのでそんなに心配する必要もなかったが)
Googleの動画広告は最近一部改訂され、デマンドジェネレーションとかいう形式に変わってしまったが、それは目標をチャンネル登録(エンゲージメント)とかクリック数にする場合の形式で、目標が再生数の場合は従来通りのやつが使えた。今回の目標もとりあえずは見せかけの再生数だけでも増やしておきたい、あわよくばチャンネル登録や動画のシェアもしてほしい、というものだったのでそれを使用した。

自分は便宜上、広告キャンペーンを国内向けと海外向けに分け、それぞれ目標を再生数・チャンネル登録とした二つのキャンペーン、つまり国内×2、海外×2、計4つのキャンペーンを作り、その中に作品ごとの広告グループを作成している。
今回は英語の作品だったのでまずは英語圏に絞って広告を出すことにした。アメリカ、イギリス、アイルランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドに限定した。
夢を与えてくれたAIボットたち
1日の予算を1,000円にして平均視聴単価を2円にした。単純計算で1,000円で500再生される計算だ。それを数日間だけ実行し、2,000くらいは再生された。
しかし高評価もコメントも一切なかった。広告を再生されただけで実際の動画ページは誰も見なかったんだろうか。アナリティクスを見るとランディングページへのリンクのクリック数は少しあったのでそのページの(評価もコメントも出来ない)埋め込み動画で再生された可能性もある。
いつも動画を投稿・宣伝するとそれなりに高評価やチャンネル登録がされるが、今回は文字通りゼロだった。さらに、チャンネル登録者も減ってしまった。そこそこ自信作だっただけに世界に見捨てられた気分になり、傷つき、絶望的になった。
今までは南米やフィリピンなどのボットファームにも広告を出していたので今までの高評価とリアクションはすべてボットだったのか、というと確かに大部分はボットだが、今回のように英語圏(フィリピンは除く)に限定した時もそれなりのリアクションは得られていた。
しかし逆に言えば、今回はボットには遭遇せず、ちゃんと普通のユーザーにリーチ出来た、とも言える。
ターゲティングの難しさとAIへの失望
似たようなAI作品 "Jump Out of the Social Cage"の時もそうだったが、ターゲティング設定も難しいところがあった。今回の場合、音楽ファン、テクノロジーファン、SUNOに関心を持つ人々、SFファンなど、異なるターゲット層、理想的にはそれら全てにマッチする層にリーチする必要があった。そのため、適切なターゲティングが出来てなかったのも自分が時差津を考えながら毎日Uber Eatsを運ぶことになった原因であると言える。
作品の内容的にはマトリックスの世界から脱却し、世の中を疑わざるを得なくなった思慮深い現実主義者、言い換えれば究極の空想的リアリストとも呼べるような民主主義的博愛者や反出生主義者がターゲットなんだけど、Google広告のターゲティング用キーワードでは出生コントロールとか、人類の絶滅的なキーワードを設定出来ない、または出来ないと思い込んで設定しなかったため、楽観主義という名の、お花畑的で馬鹿で無責任な脳みそや、ゴキブリのように無神経な神経を持った、鼻くそ以下の人間にしかリーチしなかったという恐れがある。
関連動画として広告を表示させたい他者のチャンネルや動画を指定するプレースメント機能をめんどくさがって使わなかったのもダメだった。(しかしこの機能は指定してもエラーになることが多い)
また、音楽ファンには「何だAIかよ…」と失望された恐れもある。自分自身、Spotifyで見つけた曲がAIだった時は失望してる。
日本人AIが生み出したキャベツ
そしてやっぱり自分が日本を代表するオヤジであることもやはりキャベツ意識を招いてしまってダメだったんだろう。可愛いまたは美しい女性ならキャベツされずに済んだだろう。その不平等こそがこの作品の土台になってるというのも皮肉な話だ。
同様に、白と黒で描かれた世界、黒いシルエットで描いた人間という設定もあらぬ疑いを持たれてしまった可能性もある。自分は単に色をつけるのがめんどくさかったのと、サブタイトルの「交差点」を連想させる横断歩道にあやかって白黒のモノローグにしたにすぎないのに。
キャベツの対象にされやすい日本代表のオヤジが、白人女性の声を使ったAI曲を作る、というのもキモがられてしまったのかもしれない。
だが高評価は付かなかった代わりに、低評価も付いてないので、単に無関心でスルーされただけなのかもしれない。(一応ランディングページや別バージョン動画へのリンクは少しはクリックされていたが)
白黒つけがたいアメリカ横断
真相を突き止めるために、オレはPTSD用の笑気麻酔を注入して飛行機へ乗り込み、アメリカ合衆国を横断した。すると、意外なことに合衆国のエージェントたちは白と黒のシマシマ歩道を使わないではないか。
オレはてっきり、白黒の横断歩道は万国共通のキャリアウーマンだと思っていたのだが、Copilot伯爵に尋ねたところ、白黒歩道(いわゆるゼブラ・ウォーク)はアメリカでは一般的なものではないとのこと。アメリカのみならず、世界でも白と黒のSplit Viewを持ったiPad Proを持った境界性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害のような特徴を持った横断歩道を渡るのはザ・ビートルズとオノ・ヨーコだけである、とのことだった。

世界的に見ると日本やイギリスの左側通行やシマシマ横断歩道はむしろ異端らしい。
オレは白と黒の横断ラインを使わない国家や民族に対して失望してしまった。それと同時に、日本やイギリスの国土の美しさ、島国に住むことに対する誇りを再認識した。そして何より世界中の横断歩道が白黒だと思っていたことが恥ずかしくてたまらなかった。
そんなわけで、日本とイギリス以外の国ではこの作品は理解できないなと判断し、広告の対象国をイギリスに限定することにした。金が無く、仕事を増やす気にもなれないので2日間だけイギリス限定広告を出したところ、1,000〜1,500ほどの再生数を得たものの、やはり高評価もコメントもチャンネル登録も何もなく、イギリスという国もまた、オレのように事なかれ主義の国なんだなあ。と感心した次第であった。
感情の是非を問いかけるコメントを投稿したが、それもスルーされて世界から見捨てられてしまった。
敗北の原因は他でも無くこの作品の、人間否定や出生否定的な思想自体が敗北者の戯言にすぎないということなんだろう。
ブレードランナーのように再評価される1980年代の氷河期

多くのサイバーパンク作品が人気なのは、それらが結局は人間中心の世界観で描かれていること、最後は人間が勝利するからだろう。AIを悪役的に描いた映画「ブレードランナー」は、テクノロジーを希望や夢として扱うのが主流だった1980年代(ネット以前の時代)には評価は芳しくなかったが、現代では再評価されてる。特に役者のアドリブによるラストシーンによってAIは悪にも善にもなりうること、AIが感情を持つことの是非を問いかけた功績はでかいし、今回のオレの作品にも通じるものがある。ブレードランナーの撮影中に産まれた氷河期世代の自分が情熱的な全球凍結のような世界観を持ったのも無理からぬ話だった。
作品の中でオレは人間の絶滅と同時に、AI化した人間の永続的な繁栄も描いてて、「AI vs 人間」ではなくて人間とAIを同一視してるんだけどそのニュアンスがどうも上手く伝わってないように思える。元々、「言葉で表現するのが苦手だから音楽家になった」という、美化された後付け設定を抱いていたにも関わらず、言葉で表現したほうが分かりやすかったという皮肉な結果になってしまった。
作者感想文
YouTubeの説明書には詳しい解説を書き連ねてはいるが、説明欄をちゃんと読むような人間はほとんどいないし、まさにそのことが原因で自分は悲観的な世界観を持つようになり、本作のような作品を作ったわけで、色んな意味で皮肉に満ちた英国人のような作品ではあるなと改めて思う。
AIコンテンツの投稿によってフォロワーを失い、AIには失望させられたが、AI無くして本作は生み出せなかったので複雑な気持ちだ。
結果的に、生前は理解されずに数十年後に再評価される作品になってしまったが、「破壊と創造」を楽しみ、そして憧れ続けてきた身としては破壊と創造の極地、生と死の統合と言える作品を作れたことに満足している。
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