『自分の小さな「箱」から脱出する方法』
人間関係を「箱」という表現を使ってわかりやすいストーリーで説明している本です。
人間関係の本というと『人を動かす』が有名ですが、こちらを実践するのはなかなか大変ではないでしょうか?
その意味では、本書はイメージしやすく実践しやすいと思うため、おすすめです。勢いあまってnote内のコメントで紹介したら、記事内でとりあげてもらいました。(ケツアゴさん、ありがとうございます!)
要点
①自分への裏切り(自己欺瞞)が、自分を箱の中へ入れてしまう
②箱の中にいると人を物として見る
③箱の外にいると人を人として見る
わたしが実践すること(◉済み、○今後)
◉箱を意識する
○箱の外にいる!(箱に入らない)と意識する
「箱」とは何か
赤ちゃんを育てたことがある人にはすごくわかりやすい例(寝ているときに赤ちゃんが泣きだした場合)で表現されています。本の中にも登場する図(を書き直したもの)が以下です。

私にも同じ状況で、「おいおい、赤ちゃん泣いているのになんですぐに起きないんだ?怠け者だ!」と妻に対して思ってしまったことはたびたびありました。自分のことは棚にあげて、です。
「箱」に入ってしまっていたんですね。
「箱」に入ってしまうタイミングに注目してください。
もう少し説明するとこういうことです。
自分の感情に背いたとき、私は「箱」に入り、自己欺瞞をする。
↓ (すると)
①他人の欠点を大げさにあげつらう。
②自分の長所を過大に評価する。
③自分を正当化し、ものの価値を過大に評価する。
④相手に非があると考える。
ちなみに、自己欺瞞とは、
自分で自分の心をあざむくこと。
自分の良心や本心に反しているのを知りながら、それを自分に対して無理に正当化すること。
「箱」に入ってしまうと、自分を正当化しているので自分に問題があることが見えなくなっています。
「箱」に入っていると何が起こるか?
先の例は家庭内での話でしたが、仕事のうえでも同じことが起こります。
自分の感情に背き、自己欺瞞をして「箱」に入っていると以下になってしまいます。

おや?
これって普段よく起こっていることですね。
そう、このような日常よく起こっている問題の原因や状態を、
「自分の感情に背く」「自己欺瞞」「箱に入る」
というわかりやすい表現で表しているのが本書なのです。
「いやいや、私はオープンなんだ。相手の方が悪いんだよ」
と思われる方もいらっしゃるでしょう。
これも、全然オープンになっていないのです。
「相手が悪い」と思った時点で自分を正当化しているため、「箱」に入ってしまっています。
仮に本当にオープンだった場合でも、以下のことが起こります。

本当はそんなつもりじゃないのに、「箱」の中にいることによって相手を意図しない方向に「しむける」のです。
つまり、相手も「箱」に入れてしまうのです。
(先に相手が「箱」に入っていれば、自分を「箱」に入れようとしてくる)
自分への裏切りのまとめ
①自分が他の人のためにすべきだと感じたことに背く行動を、自分への裏切りと呼ぶ。
②いったん自分の感情に背くと、周りの世界を自分への裏切りを正当化する視点から見るようになる。
③すると、現実を見る目がゆがめられる。
④従って、人は自分の感情に背いたときに、「箱」に入る。
⑤ときが経つにつれ、いくつかの「箱」を自分の性格と見なすようになり、「箱」を持ち歩くようになる。
⑥自分が「箱」の中にいることによって、他の人たちをも「箱」の中に入れてしまう。
⑦「箱」の中にいると、お互いに相手を手ひどく扱い、互いに自分を正当化する。共謀して、互いに「箱」の中にいる口実を与えあう。
「箱」を持ち歩くことや共謀のことは本投稿では説明しませんが、本書を読むとより理解が進むと思います。
さらに、
「この理論によると、実に多種多様な問題、いわゆる人間関係の問題すべてが、実は同じ根っこから派生している」
とされています。
たしかに自分のことを思い返してみると、
「人間関係のいろいろな問題が自分への裏切りから発生しているような感覚(そう言われるとそうかも)」
が感じられるのではないでしょうか?
「箱」から出る
これまでの説明で、「箱」に入ることについてご理解いただけたでしょうか?
これだと「箱」に入ってしまうのは日常茶飯事ですね。
ここで、「箱」の中にいるときに、やっても無駄なことを紹介します。これらをやっても状況を悪化させるだけです。
「箱」の中にいるときに、やっても無駄なこと
①相手を変えようとする。
②相手と全力で張り合う。
③その状況から離れる。(距離をとってもムダ)
④コミュニケーションを取ろうとする。
⑤人間関係の新しいテクニックを使う。
⑥自分の「行動」を変えようとする。
「おいおい、これって何をやっても箱の外に出られないってこと?」と思ってしまいますね。
「箱」の中にいると現実を見る目がゆがめられている、と説明しました。
「言葉と気持ちのズレ、本心からの行動かどうか、相手は感じとっている」のです。
で、
超じらしまくったのですが、「箱」から出る方法は、
誰かに対して箱の外に出ていたいと思ったその瞬間(他の人々に抵抗するのをやめたとき)、もう箱の外に出ている。
です。
え?そんなこと?って思いますよね。
でもこれ、簡単なようで、実践するのはなかなかに難しいことだと思います。
どんな人についていきたいか
本書は、とある架空の会社での話で展開されています。
その中でリーダーのことについて書かれているので紹介します。
・みんなが進んで従いたいと思うのは、「箱」の外に出ているリーダーなんだ。
・リーダーとしての成功は、自分への裏切りからどれだけ自由でいられるかにかかっている。
みなさんのリーダー像と比較して、どう感じましたか?
「壁」という表現について
これは高橋自身の考えですが、
よく言われる、「部門間の壁」「部署間の壁」「グループ間の壁」というものをこの「箱」で表現するとすれば、
ある組織単位で「箱」に入っている

と考えることができると思います。
壁というのは、実は箱の側面ですね。しかも、自組織の「箱」の側面と、相手組織の「箱」の側面の2重になっているわけですから、なかなか壁を壊すことができないのは当然ですね。
本書に従えば、壁を壊そうとする行為そのものがムダなわけです。
だからと言って、そのままでいいわけもありません。
自分自身を「箱」から出して、周りの人も「箱」から出して、組織として「箱」から出していく努力をしていこうと思うのでした。
まとめ
最後に、本書の主人公が「箱」について教えてくれた上司から渡されたカードの内容をまとめとします。
知っておくべきこと
①自分への裏切りは、自己欺瞞へ、さらには「箱」へとつながっていく。
②「箱」の中にいると、業績向上に気持ちを集中することができなくなる。
③自分が人にどのような影響を及ぼすか、成功できるかどうかは、すべて「箱」の外に出ているか否かにかかっている。
④他の人々に抵抗するのをやめたとき、「箱」の外に出ることができる。
知ったことに即して生きること
①完璧であろうと思うな。よりよくなろうと思え。
②すでに「箱」のことを知っている人以外には、「箱」などの言葉を使うな。
③他の人々の「箱」を見つけようとするのではなく、自分の「箱」を探せ。
④「箱」の中に入っている他人を責めるな。自分自身が「箱」の外に留まるようにしろ。
⑤自分が「箱」の中にいることがわかっても、あきらめるな。努力を続けろ。
⑥自分が「箱」の中にいた場合、「箱」の中にいたということを否定するな。謝ったうえで、更に前に進め。これから先、もっと他の人の役に立つように努力をしろ。
⑦他の人の間違った行為に注目するのではなく、どのような正しいことをすればその人に手を貸せるかを、よく考えろ。
⑧他の人々が手を貸してくれるかどうかを気に病むのはやめろ。自分が他の人に力を貸せているかどうかに気をつけろ。
読書期間 2020/11/26-2020/12/12
初版発行 2006/11/05
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