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オオカミ少年と整形外科

30分でも動画で見たい方がいらっしゃればこちら👇 

🌕🐺✨ オオカミ少年と「痛み」のはなし ✨🐺🌕


「オオカミ少年」という名前で親しまれていますが、原作はイソップ寓話の『羊飼いと狼』というお話です。
ある村の羊飼いの少年が、仕事に飽きて退屈しのぎに「狼が出たぞ!」と大声で叫びました。📣🐺

村人たちは武器を持って助けに駆けつけますが狼などどこにもいません⚔️
少年は、必死に助けに来た大人たちの姿を見て面白がります。😏

後日、少年はまた同じ嘘をつき、村人たちは再び騙されました。
村人たちは少年に呆れ、不信感を抱くようになります。😮‍💨

ある日、本当に本物の狼が現れました🐺‼️
少年はパニックになり「狼が出た!本当に狼だ!」と必死に叫びますが😱
村人たちは「またいつもの嘘だろう」と思い、誰も助けに行きませんでした。結果として、羊は、あるいは少年も?、狼に食べられてしまいました。
という話ですよね、確か。☠️


さて、「痛み」とは。🤔

体に危険が迫っていますよ、ということを知らせるアラート(警告)🚨
それが痛みでした。

このイソップ童話でいうと、「狼が出たぞ!」というか、たぶん、
「狼がいるぞ、対処して!」という羊飼いの少年の声📢ですか?

オオカミが侵害刺激、つまり、体に対して悪影響を及ぼし得る何かですよね。で、これを察知したセンサー【侵害受容器(しんがいじゅようき)】が脳へ、その情報を伝達し、脳の中で痛みが作られ、体が反応する🧠⚡
つまり、村人たちは武器を持って助けに駆けつけました⚔️🏃‍♂️🏃‍♀️


たとえば、体で言えば強い刺激を受けると「緊急事態(ストレス)」と判断し、自律神経やホルモンに影響を与えます。🚨

交感神経が活性化し、心拍数の上昇、血圧の上昇、呼吸が速くなる、冷や汗が出るとか、💓💦アドレナリンやコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌され、戦うか逃げるかの準備を整えます。🥊🏃‍♂️


さらに、侵害刺激によって組織がダメージを受けると、自律神経の反応と並行して、あるいはその直後から「炎症(えんしょう)」というプロセスが始まります。🔥

炎症は、傷ついた部位を修復し、侵入した異物を排除するための「体の工事(修復作業)」のようなものです。🚧🛠️


侵害刺激によって細胞が壊れると、そこから「SOSサイン」となる化学物質
ケミカルメディエーターが、ダメージを受けた細胞や、近くにいる免疫細胞(マスト細胞など)から、放出されます。🧪

放出された化学物質の働きで、その部位の細い血管が太くなります。
これは、修復に必要な「兵隊(白血球)」や「材料(栄養)」を大量に送り込むためではないかと考えられています。🪖🥗

結果、赤くなり(発赤)🔴、触ると熱く(熱感)なります。🔥

さらに、血管の壁に「隙間」ができ、血液中の水分(血漿)が血管の外へ染み出しやすくなります。これも必要なものが血管の外(ダメージ現場)へ出やすくするため、また有害物質を薄めるためではないかと考えられています。それにより、組織に水が溜まり、腫れ(腫脹)が生じます💧🎈

ここで再び「痛み」に関係します⚠️
放出されたケミカルメディエーターのうちブラジキニンは強力な発痛物質ですが、さらに同じくケミカルメディエーターのプロスタグランジンが加わると、神経の感度が極端に高まります。📈

普段なら痛くないような軽い接触でも「痛み」として感じるようになっちゃいます(痛覚過敏)😖


これが、村人たちが武器を持って助けに駆けつけた状態ですね⚔️
これでオオカミも退治できました🐺💥
一件落着、痛くなくなりました!!
(羊飼いも「狼がいるぞ、対処して!」とは言わなくなりました😊)


ほとんどの場合それで済む、これが急性疼痛の正体ですね。
しかも通常の羊飼いの少年【侵害受容器(しんがいじゅようき)】は仕事に飽きて退屈しのぎに「狼が出たぞ!」と叫びませんから。👍


ですが。。。😶‍🌫️


もっと有能な羊飼いの少年だったらどうでしょう。🧠✨
いつもオオカミはこのような天気のこのような気温の日には夕暮れに現れる、毎回毎回そうだ!
だったらもっと早く対処するには、あるいはオオカミが来る前に武器を持った村人を配置しておけば、オオカミが来ること自体を防げる!と思いますよね⚔️🚫🐺


だから人間はかつて痛い思いをしたことは再度やろうとは通常は思いません。痛みを感じない無痛症の人はそれがないので体がどんどん壊れてしまいます。「痛みは不快で嫌なもの」ですが、生物学的に見れば「最強の学習装置」であり、個体を守るための「絶対的な警告システム」なんですよね🚨


では🌀


うまくオオカミをやっつけられなかった場合はどうなりますか🐺❓
羊飼いの少年【侵害受容器】は「狼がいるぞ、対処して!」とずーッと言い続けます📣📣
その警告を伝える伝令役(末梢神経)がそれを脳(村の司令部?)に伝え続けます🧠📨脳では痛みを提示し続けます。じゃないと危険なので!

が、たいていは、少し時間がかかっても、武器を持って駆け付けた村人が、やがてオオカミを倒すかお腹がいっぱいになったオオカミが去ります🐺🍖

でも「狼がいるぞ、対処して!」とずーッと言い続けた「オオカミ少年」は
もはやオオカミがいるのかいないのかを確かめる余裕もなく、オオカミがいなくなったのに「狼がいるぞ、対処して!」とずーッと言い続けてしまう🔁📣

あるいは伝令役(末梢神経)も、もうそれが癖でオオカミ警報を伝え続けてしまいます。これが 末梢感作 Peripheral Sensitization


こうなっちゃうとオオカミがいないことにやっと気づいた少年がオオカミ警報を出すのをやめても、オオカミが超怖くなっちゃってるから、物陰でごそごそって気配がしただけでも、オオカミ警報を出しちゃうようになる😱
ちょっと触っただけなのに激痛を感じちゃうあれです。
痛覚過敏やアロディニアの状態です。


さらに、それが進むと、もう脳(村の司令部?)自体が、超警戒態勢を解かない状態になる🧠🚨
羊飼いの少年やその言葉を伝える伝令が何も言ってなくても警報を出しっぱなしでいつも警戒中。

そう、これが 中枢感作 Central Sensitization ですよね⚡🧠


もっと有能な村の司令部だったらどうでしょう。
いつもオオカミはこのような天気のこのような気温の日には夕暮れに現れる、毎回毎回そうだ!!
だったらもっと早く対処するには、あるいはオオカミが来る前に武器を持った村人を配置しておけば、オオカミが来ること自体を防げる!と思いますよね。

こういう動きをしたら痛い、いや、もう動くと痛いんだ、動くということは体を壊すことなんだ、だから動かない、うごけない。
痛くて動けない。オオカミなんてもういないのに🐺🚫

そう、これが 慢性疼痛(持続痛)の最たる状況ですよね、きっと。


なんでこんな過保護なシステムを我々は持っているのか🤔
きっと太古の昔、メタファーではない本物のオオカミがいつ出てきてもおかしくない草原地帯で生き残るため。
あるいは、いつどこからクマが出てきてもおかしくない秋田で生き残るためには、これくらいの用心が必要だからでしょう🐺🐻🌾


では、痛みを何とかしたい患者さんや我々医療者はどうすべきか
ここまで読んでくださった方には分かりますよね🙏

まずはオオカミが出たら羊飼いがビビって警報出し続けるようになっちゃうまえにできるだけ早く!オオカミをしっかりやっつける(追い払う?)のがベストです⚔️🐺

急性痛を急性痛のうちに(慢性痛になる前に)!!
薬だろうがプラセボだろうが、使えるものは何でも使って
痛みをできるだけ速やかに軽減させることです💊✨

慢性疼痛になる前に!です‼️

薬漬けと批判されてもそのためならガンガン薬は使うべきだと思っていますし、適応があるなら合併症のリスクを相談しながら手術も考慮しましょう🏥🔪

そして、このレベルでの戦いで威力を発揮するのが
ハイレベルなエビデンスに基づいた「標準治療」です📚✨


あるいは、このレベルなのか、それとももうオオカミはいないのに警報装置だけが超過敏になってしまって鳴り続けている状態なのかを判断するための検査(画像検査や血液などの試料に基づいた検査)を使って診断するのが得意なのもハイレベルなエビデンスに基づいた「現代西洋医学」です🧠🔍


だけど、もうオオカミはいないのに、警報装置だけが超過敏になってしまって鳴り続けている状態だということがエビデンスに基づいて診断(判断)されたとしたら、この後どうすればいいのでしょうか、この痛みを。

ここから先のエビデンスがまだ充分ではないので、

IMPT(Interdisciplinary Multimodal Pain Treatment)
多職種連携による集約的多角的痛み治療

今のところ、これといったものは、これしかないかもしれません。IMPT自体のエビデンスは少しずつ出て来ています。これは、多角的だし多職種連携なので代替医療と呼ばれるものでも何でもいいから、害がないなら効果ありそうなものを何でも使って🧩🤝いきましょう、という姿勢です。

村の司令部、そうです、脳に対して、
「大丈夫です、もうオオカミはいません、安心してください!」
ときちんと伝える方法をみんなで考えて、🧠💬✨ あらたなエビデンスにしていきたいですね。🌱📖

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