その腸活、実は逆効果かも。日本人の10〜15%が当てはまる不調のサインと見直すべき3習慣
私は今38歳で、妻と3人の子どもと暮らす5人家族の父親です。もともと船に乗る仕事をしていたのですが、独立してからは生活リズムも食事の内容も自分で決められるようになりました。だからこそ張り切って、体にいいと言われることには一通り手を出してきたつもりです。
納豆、ヨーグルト、キムチ、味噌汁。発酵食品はほぼ毎日欠かさず食べていますし、朝は白湯を飲んでから一日を始める。腸活系の本や動画で紹介されている「王道」はひと通りやってきました。
それなのに、お腹の調子はむしろ悪くなっている気がする。朝から張っている感じがして、ガスも出やすいし、外出前に限ってお腹がゴロゴロする。これだけ気を遣っているのに、なぜ良くならないんだろう。そう感じて、消化器の専門医の書籍を読み込んで分かったのは、「腸活=大腸ケア」という思い込みそのものが、実は不調の原因になっているケースがある、ということでした。
もし「これ、まさに自分のことだ」と思った方は、この記事を読み進めてみてください。
この記事で分かること
「腸活=大腸ケア」という思い込みが、実は不調の原因になっているケース
見落とされがちな「小腸」の役割と、小腸が弱ると起こる体のサイン
腸に負担をかけやすい発酵性の糖質「FODMAP(フォドマップ)」の基礎知識
今日からやめるべき、腸内環境を悪化させる3つの生活習慣
参考: 過敏性腸症候群(IBS)・SIBOに関する消化器専門医療機関の解説情報 FODMAP(発酵性糖質)に関する消化器内科クリニックの解説情報 腸内細菌・小腸と大腸の機能に関する消化器専門書籍の知見
腸活を頑張るほど不調になる、意外な理由
「腸」とひとくくりにしていませんか
腸活という言葉を聞くと、多くの人がイメージするのは大腸です。乳酸菌や発酵食品を摂る、食物繊維を摂る、といったアドバイスの多くは、大腸の腸内細菌のバランスを整えることを目的としています。
実際、大腸には非常に多くの腸内細菌が棲みついています。腸内細菌の数はよく「数十兆個、種類にして1,000種類以上」と言われ、その大半が大腸に集中しているとされています。一方で小腸には、腸内細菌自体があまり存在していません。腸の内側には免疫細胞の半数以上が集まっているとも言われており、小腸は「消化・吸収」だけでなく、体を守る免疫の最前線としても働いています。
つまり、腸には「腸内細菌が主役の大腸」と「消化吸収と免疫が主役の小腸」という、役割の異なる2つのエリアがあるのです。大腸は長さにして1.5メートルほどですが、小腸はその4倍前後、6〜7メートルにも及びます。表面積で見ても、小腸は大腸よりはるかに広いとされ、体にとって非常に重要な器官であることが分かります。
それにもかかわらず、健康情報の多くは「大腸をどう整えるか」に偏りがちです。その結果、知らないうちに小腸へ負担をかける食生活を続けてしまい、体調不良につながっている可能性がある、というのが専門医の指摘するポイントです。
小腸が弱っているサインとは
自分の小腸が弱っているかどうかは、次のようなサインである程度推測できるとされています。
頻繁にお腹がゴロゴロしたり、下痢をしやすい
お腹が張りやすく、ガスやゲップがよく出る
食後にお腹がぽっこりと膨らんで苦しくなる
便秘と下痢を繰り返しやすい
こうした症状に心当たりがある場合、小腸の働きが低下している可能性があるといわれています。日本人の約10〜15%が発症するとされる過敏性腸症候群(IBS)は、20〜40歳代に多く見られる非常にありふれた不調です。そしてこのIBSの人は、小腸内で細菌が異常に増えてしまう「SIBO(シーボ、小腸内細菌異常増殖症)」を併発しているケースが少なくないとされています。
SIBOになると、本来は細菌が少ないはずの小腸で細菌が過剰に増殖し、消化しきれなかった食べ物を発酵させてガスを大量発生させてしまいます。これが、お腹の張りやゴロゴロ感、ゲップ、下痢や便秘といった症状の原因になっていると考えられています。
「体質だから仕方ない」とあきらめていたお腹の不調が、実は小腸のコンディションに関係しているとしたら。見直すべきポイントは、思っているよりシンプルなのかもしれません。
腸に負担をかける「フォドマップ」という考え方
FODMAPとは何か
小腸に負担をかけやすい栄養素として近年注目されているのが「FODMAP(フォドマップ)」という考え方です。これは、発酵性のある特定の糖質の頭文字を取った総称で、次の4つに分類されます。
オリゴ糖:大豆などの豆類、小麦、玉ねぎなど
二糖類(乳糖):牛乳、ヨーグルトなど乳製品
単糖類:はちみつ、果糖の多い果物など
ポリオール:マッシュルームなどのきのこ類、キシリトールなどの人工甘味料
これらは一見、体によいとされる食材ばかりです。豆類も乳製品も、一般的には積極的に摂りたい食品として紹介されることが多いはずです。ところが専門医によれば、これらの糖質は小腸で消化・吸収されにくい性質を持っており、消化しきれないまま大腸まで運ばれると、そこで急激に発酵が進みガスが大量発生してしまうといいます。
さらに、小腸で吸収しにくい糖質が大量に入ってくると、小腸内の浸透圧を下げるために血管から水分が引き込まれ、小腸内が「水浸し」のような状態になることもあるとされています。この状態が、お腹がゴロゴロしたり下痢をしたりする一因になっていると考えられています。
高FODMAP食材・低FODMAP食材の一例
もちろん、これらの食材をすべて避けなければいけないというわけではありません。体質や体調、季節によって合う・合わないは変わるとされており、あくまで「自分の腸の反応を見ながら調整する」ことが大切だといわれています。参考として、比較的お腹に負担をかけにくいとされる低FODMAP食材の一例を挙げます。
穀物:玄米、白米、十割そばなど
野菜:ブロッコリー、ピーマン、にんじん、白菜、ほうれん草など
豆類・大豆製品:豆乳、木綿豆腐など
果物:バナナ、みかん、ブルーベリー、いちごなど
乳製品:バター、モッツァレラチーズ、カマンベールチーズなど
お腹の不調が続いている場合は、まず高FODMAP食材を3週間ほど控えめにし、その後1週間に1種類ずつ再開しながら、自分の体に合うもの・合わないものを見極めていく方法も紹介されています。時間はかかりますが、自己流で我慢するよりも再現性のあるやり方だと感じています。
今日からやめたい、腸に負担をかける3つの習慣
習慣1:体にいいものを「同じものばかり」食べ続ける
発酵食品や食物繊維が体にいいのは事実です。しかし、体にいいからといって同じ食品ばかりを大量に摂り続けると、かえって腸に負担をかけてしまうことがあるとされています。特にすでにお腹の不調を抱えている人が、納豆やヨーグルトを「体にいいから」と大量に食べ続けるのは注意が必要だといわれています。
私自身、納豆をほぼ毎食のように食べていた時期がありましたが、振り返ってみるとその頃が一番お腹の張りを感じていたように思います。体にいいとされる食品でも、量や頻度が過剰になれば負担になり得る、という視点は持っておきたいところです。
習慣2:こまめな間食
食後2時間ほどは、腸は消化吸収のために働いていますが、その後は「MMC(伝播性消化管収縮運動)」と呼ばれる、腸内をきれいに掃除するような収縮運動が起こるとされています。ここで間食をしてしまうと、このお掃除タイムが中断され、消化しきれなかった食べかすが腸内に残りやすくなるといわれています。
専門医は、食事と食事の間を最低でも3時間ほど空けることを勧めています。仕事の合間についお菓子に手が伸びてしまう人は、まずこの「3時間ルール」を意識してみるだけでも変化があるかもしれません。
習慣3:睡眠不足・夜遅い食事
先ほどのMMC(腸のお掃除運動)は、睡眠中に最も活発に働くとされています。つまり睡眠不足になると、腸内の掃除が不十分なまま食べかすが残り、腸内で腐敗が進みやすくなってしまうということです。
また、睡眠時間が確保できていても、夜遅い時間に食事をしたり、消化に時間のかかる脂っこい食事を摂ったりすると、同様にMMCが十分に働けず、腸内環境が乱れやすくなるといわれています。夜更かしや遅い夕食は、睡眠の質や体重だけでなく、腸内環境にも影響してしまうというわけです。
完璧を目指すより、自分の腸の反応を記録する
ここまで紹介してきた内容は、あくまで一つの考え方であり、すべての人に当てはまるわけではありません。腸内細菌の状態は一人ひとり異なり、同じ食材を食べても平気な人もいれば、不調を感じる人もいます。だからこそ、大切なのは「この食品が絶対にいい・悪い」と決めつけることではなく、自分の腸の声を聞きながら調整していくことだと感じています。
専門医も勧めているように、まずは2〜3週間ほど、何を・いつ食べたか、睡眠はどのくらい取れたかを簡単に記録してみるのがおすすめです。記録を振り返ることで、自分にとって負担になりやすい食品やタイミングが見えてくるはずです。私自身、記録を始めてから「夜21時以降に食べると翌朝お腹が張りやすい」といった、自分だけの傾向に気づくことができました。
腸活は、特定の食品を頑張って摂ることがゴールではありません。小腸と大腸、それぞれの役割を理解した上で、食べ方・タイミング・睡眠まで含めて整えていくことが、遠回りに見えて一番の近道なのだと思います。
健康情報は日々更新されていくものであり、腸内環境についても、まだ解明されていない部分がたくさんあるといわれています。今回紹介した内容も、数ある考え方のひとつとして受け止めていただき、最終的には自分の体の反応を一番の判断材料にしていただければと思います。何かを完璧にやり遂げようとするより、うまくいかなかったときに「なぜだろう」と振り返れる余裕を持っておくことの方が、長く続けるうえでは大切なのかもしれません。
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