どうして1+1=2なのか?その答えは徒然草の最終話にあった!【理系雑学第1話】
「なんで1+1=2なの?」
幼少期のエジソンが先生にぶつけたと言う、究極の疑問。
学校で6年以上数学を勉強したのに、1+1=2の理由すら説明できないなんて、悲しいですよね。
この記事は鎌倉時代の名作エッセイ『徒然草』の最終話から始めて、1+1=2の本質的理由を解説します!
これで幼少期エジソンに質問されても大丈夫!

徒然草の最終話は、どんな話か?
ところで皆さんは、鎌倉時代の名作エッセイであり国語の教科書にも載っている『徒然草』が、どのようなエピソードで締められるかご存じだろうか?
それは、作者の吉田兼好の幼少期のエピソードであり、まとめると以下のような話である。
8歳の私は父に、「どうやって人は仏になるんですか?」と聞いた。父は、「仏の教えを学んでなるんだ」と答えた。その答えを聞いてさらに疑問に思った私は、「その仏に教えた仏も、仏の教えを学んだんですか」と聞いた。父は、「そうだよ。前の仏の教えを学んで仏になったのだよ」と答えた。私は「仏に教えた仏に教えた仏、と遡っていった時、最初の仏はどこから出てきたのですか?」と質問した。
さすが名作のラストだけあって、しっかり面白い。そして徒然草を書くような人は子どもの頃から鋭い着眼点と論理的思考を持っているのだなぁと感心する。
それだけじゃない。
このエピソードを理解すると、数学の本質的な限界が見えてくるのだ。
徒然草最終話は数学のスタート地点につながる
徒然草最終話で、吉田兼好の父親はどうして困ったのかと言えば「仏Aの出現する原因は、別の仏A´にある」という論理構造にしてしまったからだ。
その仏A´を説明するために仏A´´を持ちださねばならず、これは無限に続いてしまう。
この現象は哲学の領域で無限退行と呼ばれており、無限退行というナンセンスを防ぐためには「どうして?」はどこかで打ち切らなければならない、ということがわかる。
だからこのエピソードで徒然草は終わるのだ。「どうして?」を無限に続けていくことはできないから。
そして数学にも同じことが起こってしまう。
1+1=2は「A」だからです。
と説明できたとしよう。
すると今度は「どうしてAが正しいと言えるのですか?」という疑問が湧いてくるだろう。
そうなると、終わらない。
しかし数学は徒然草とは逆の方法を採用した。
それは、いくつかの数式には理由がありません、と開き直ってそこから数学を始めるという作戦だ。
理由がない数式を公理と呼ぶ。
公理だけは理由がないと認めることで、公理以外の全ての主張をそこから導く。
数学はそういったシステムで成立しているのだ。
「1+1=2なのは、そう決まっているからです」は、間違い
さっきの公理の説明をきいた人の中には「じゃあ1+1=2も公理なんでしょ」と思った人もいるかもしれない。
そんな人のために、数学の公理を実際に見てみよう。

難しい、と思っただろう。
しかし大事なのは理解できるかじゃない。上の公理のリストの中に1+1=2という文字列があるかどうか、が大事なのだ。
見ると、無いことがわかるだろう。
ということは1+1=2は公理じゃない。
上図の公理を使って説明可能ということになり、それこそが1+1=2の証明なのである。
ただ、安心してほしい。上図の公理の全てを理解する必要はない。この記事の目的は1+1=2の証明なのだから、それに使う公理だけ見ればいいのだ。
そして今回注目すべきなのは以下の2つだけ。上図でいうところの3と4の式だ。
$${ \forall n [n+0=n] }$$
$${ \forall n \forall m [n+S(m)=S(n+m)] }$$
事項ではこの2式の意味を解説する。
1+1=2の理由を説明するには、2つの式を理解すればいい。
まず
$${ \forall n \forall m [n+S(m)=S(n+m)] }$$
の頭についている$${ \forall }$$は「任意の」を意味しており、「どんなものでも」という意味である。
つまり
$${ \forall n \forall m [n+S(m)=S(n+m)] }$$
の意味は「あなたの好きな自然数をn、mと決めたとしてもn+S(m)=S(n+m)が成り立ちますよ」というルールである。(注意して欲しいのは法則ではなくルールという点だ。この式は徒然草最終話を避けるための公理なので、この式に根拠はなく、ルールという表現が正しい)
もう1つ注釈をつけるとS(m)とはmの次の数と言う意味だ。
記号の意味を説明されてもピンとこない、と思うかもしれない。
心配無用。この式が「あなたの好きな数入れていい」と言ってくれているのだから、試しにnとmに好きな数を入れてみればいいのだ。
例えばnが2でmが3だったとしてみよう。すると
$${ 2+S(3)=S(2+3) }$$
という式になる。これを日本語にすると「2に、3の次の数を足すと、2+3の次の数になる」という意味だ。
3の次の数は4であり、2+3の次の数は6なので、確かに「2に、3の次の数を足すと、2+3の次の数になる」は成立している。
今回はnが2でmが3の時を見たが、nとmが何であってもこの式が成立するというのが
$${ \forall n \forall m [n+S(m)=S(n+m)] }$$
の意味である。
ここまでわかったら、もう1つの式も大丈夫だ。
$${ \forall n [n+0=n] }$$
は「どんなnでも、n+0=n」という意味だ、とわかるだろう。
さあ、これで準備は整った。
いよいよ次から1+1=2の証明を始めよう。
なぜ、1+1=2なのか
まず今回使う公理のうち長い方の$${ \forall n \forall m [n+S(m)=S(n+m)] }$$のmだけを0に決めてしまおう
(さっきも確認したように $${ \forall }$$ がついている文字は好きな数字にしてよい)
すると$${ \forall n [n+S(0)=S(n+0)] }$$が得られる。
この式の右側のn+0は、もう1つの公理$${ \forall n [n+0=n] }$$よりnであると言って良い。
それを踏まえると$${ \forall n [n+S(0)=S(n)] }$$という式が手に入る。
この式のnにも$${ \forall }$$がついているので、好きな数字を入れて良いので、ここではnを1にしよう。
すると最終的に1+S(0)=S(1)が得られた。
ここでそもそもS()がどういう意味だったかを思い出そう。
S(n)はnの次の数を表す記号なのだった。
そうするとS(0)は0の次の数であり、それは1だ。
※これは公理とかじゃなく名前(定義)だ。0の次の数を1と呼んでいるだけで「いち」でも「one」でも数学的には何の影響もない。
同様に考えるとS(1)は2とわかる。
さっきの1+S(0)=S(1)にあてはめると、1+1=2が導けた!
以上、証明完了。
お疲れさまでした!
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