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【人事歴約10年が伝えたい】井上尚弥VS中谷潤人選手の世紀の日本人対決【PPVにより実現した30億円のファイトマネーの話】

大学生の頃、東京でボクシングジムに通っていた。

プロを目指していたわけではない。
ただ、あの距離で殴り合う競技に惹かれていた。

ジムで知り合った友人がプロのリングに上がるようになってから、後楽園ホールに通うようになった。
当時付き合っていた彼女と、客席からリングを見上げていたのを覚えている。

あの会場は独特だ。
天井が低くて、客席とリングの距離が近い。
パンチの音も、セコンドの声も、生々しく届く。

そして、4回戦(4ラウンド闘うデビューしたばかりのプロボクサーのランク付け的なもの)ファイトマネーは5万円だった。

決して高い金額ではない。
それでも、自分はバイト代を削ってチケットを買っていた。
勝っても負けても、その一戦に懸けているものの重さを、間近で見ていたからだ。

今回の
井上尚弥と中谷潤人の試合は、その延長線上にある“頂点”の戦いだった。

ファイトマネーは、中谷が約5億円、井上が約30億円。

数字だけ見れば、別世界だ。

ただ、構造としては変わっていない。

命をかけてリングに上がり、目の前の相手に勝つ。
その価値に対して、お金が動く。

あの頃、5万円で戦っていた選手と、いま数十億円が動くリングに立つ選手。
やっていることは同じだ。

今回の試合で印象的だったのは、バッティングのシーンだった。

目に血が入った瞬間、試合の質が変わる。

視界が崩れる。距離感が狂う。
ボクシングにおいて、それは致命的だ。

特に距離管理と見切りを武器にする選手にとっては、なおさら厳しい。

ただ、それも含めて試合だと思う。

運も含めて、世界王者だ。

ただし、それは“ただの運”ではない。

流れが来たときに取り切る力。
不利な状況でも崩れない耐性。
そして、どんな偶然も勝ちに変えてしまう完成度。

それがあるから、頂点に立てる。

(まぁといっても序盤の手数的にノックアウトしない限り中谷選手が勝つのは難しかったなぁとも思う)

そして今回、もうひとつ強く感じたのがPPVの存在だ。

テレビ放送が主流だった頃、どうしてもノイズが多かった。
ラウンドガールの話や、競技と関係のない話題。

ボクシングそのものから意識が逸れる瞬間が、正直あまり好きではなかった。

PPVは違う。

お金を払って見る人しかいない。
だからこそ、試合に集中する。

そして何より、選手に価値が直接届く。

あの頃は知らなかった。

自分がバイト代から出していたチケット代が、
リングに上がる選手のファイトマネーの一部になっていることを。

そう考えると、今回のPPVも同じ構造だ。

違うのは規模だけで、やっていることは変わらない。

本当に見たい人が対価を払い、
その価値がそのまま選手に届く。

命をかけてリングに上がっている選手が、
誹謗中傷の中で消費される必要はない。

そう考えると、この仕組みは健全だと思う。

個人的には、世界戦はもうテレビでなくてもいいとさえ思っている。

本当に見たい人が、対価を払って見る。
そのシンプルな構造の方が、この競技に対して誠実だと感じるからだ。

あの頃、5万円で戦っていた選手を見ていた。

そして今、30億円が動く試合を見ている。

この変化を、同じ競技の中で見られたこと自体、
運が良かったのかもしれない。

そして今回の試合を、家族がたまたまドコモのプレミアムなプランに入っていたことで無料で見られたのも、
どこか不思議な感覚だった。

本来であれば、対価を払って見るはずの一戦だったからだ。


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たぬまる@人事歴約10年・面接1万人以上・記事単価11万円ライター 人事歴約10年。働く人を支援するため、労働組合活動や団体交渉、労働委員会、裁判対応にも取り組んでいます。いただいたチップは活動継続のために大切に使わせていただきます。