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市役所職員のひとりごと(あいだに立つ仕事編)①

GX Creation Meetingで考えたことー居住支援と、都市と環境の「あいだ」に立つ仕事

先日、国土交通省都市環境課が主催する
「GX Creation Meeting 2025 ~都市と環境のいい関係を考える~」の第5回に参加しました。

オランダ・アムステルダムの事例を中心に、都市と環境をどう統合し、実装していくのかについて、講演とグループディスカッションが行われました。

話を聞きながら、そして議論を重ねる中で、私はずっと、ある既視感を抱いていました。

それは、「これは居住支援と、まったく同じ構造の話だ」という感覚でした。

◾️環境と都市のあいだにある「見えない壁」

ディスカッションでは、次のような声が何度も出てきました。
• 環境と都市で部局が分かれている
• 横断的な取組が必要なのに、所管が不明
• 結局、誰が責任を持つのかが曖昧になる

これは、居住支援の現場で、私自身が何度も耳にしてきた話と、驚くほど重なっていました。

環境の問題も、都市の問題も、住まいの問題も、
本来は単独の部署では解けません。

しかし行政の仕組みの中では、いつの間にか「単独で扱える問題」として整理され、部局ごとに分断されてしまっています。

◾️足りないのは人ではなく、「つながり」

どこの自治体にも、個々の部局を見れば、それぞれに豊富な経験や知見をもった職員がいます。

都市計画には都市計画の蓄積があり、環境には環境の専門性があり、福祉や住宅にも、現場で積み重ねてきた判断と経験があります。

問題は、それらが不足していることではありません。むしろ、十分にあるにもかかわらず、活かしきれていないことにあるのではないでしょうか?

担当部署が違う、部局が異なる。
それだけで、同じ地域、同じ対象を扱っていても、それらの経験や知見は共有されず、連携は偶発的になり、結果としてリソースが分断されたままになっています。

そして今後、自治体職員の数は確実に減っていきます。
一人ひとりに求められる役割は広がり、すべてを個人の頑張りで補うことは、もはや現実的ではありません。すでに対応できない課題も多くなっています。

だからこそ、ノウハウや経験を個人に属させたままにしないこと、そのリソースを部局を越えて共有し、連携できる体制を整えることは、「余裕があればやること」ではなく、自治体運営そのものに関わる急務の課題ではないと感じています。

◾️アムステルダムが示していた、もう一つの姿

オランダ・アムステルダムの事例で、特に印象に残ったのは、「中間支援組織」の存在でした。

そこでは、
• 行政職員が外から関与するのではなく、   
   当事者として中に入っていること
• 環境、都市、経済、暮らしを、
   一つの明確なコンセプトで束ねていること
• 小さな実験が、都市全体の構想へと
   つながっていること
が当たり前のように行われていました。

中間支援組織といっても、単なる「委託先」ではありません。

行政、市民、専門家が、同じ現場に立ち続け、関係性を積み重ねています。

この姿を見たとき、日本との決定的な違いを感じました。

◾️日本の「委託」と、海外の「伴走」

日本では、「中間支援」という言葉が出てくると、どうしても「委託」という形をとりがちです。
• 仕様書を作り
• 事業を切り出し
• 成果物を受け取る

その結果、行政は少し距離を取り、担当者が替われば、知見や関係性も途切れてしまいます。

一方、アムステルダムでは、行政が関わり続けます。

成果物よりも、プロセスそのものが都市の資産として蓄積されているように感じました。

◾️居住支援は、例外的に「壁を越えようとしている分野」

そうした中で改めて思ったのは、居住支援は、日本の中では珍しく、制度として縦割りを越えようとしている分野ではないかということです。

住宅セーフティネット法、
居住支援協議会、
居住支援法人、
そして伴走支援。

これらはすべて、「一つの部局では完結しない」ことを前提に設計されています。

さらに象徴的なのは、住宅セーフティネット法が、2024年10月から国土交通省と厚生労働省の共管となったことです。

それ以前からも、法制度を見直す過程で、両省の幹部職員の人事交流が行われてきました。

これは、単に「連携が必要だ」と言っているのではなく、制度を所管する側の組織そのものを動かして、縦割りを越えようとしてきたということを意味していると思います。

その国の本気度は、自治体の現場にも確実に伝わっています。

居住支援は、「住宅の問題なのか」「福祉の問題なのか」といった問いを、もはや前提にしていません。

最初から、「どちらか一方では解けない問題」として、制度が組み立てられているのです。

◾️「あいだ」に立つ仕事を、仕組みにしていくために

GXも、都市政策も、居住支援も、問われているのは新しいアイデア以前に、すでにある知と人を、どうつなぎ直すのか、という点だと感じています。

環境と都市。
住宅と福祉。

その「あいだ」に立つ仕事は、これまで個人の熱意や偶然に委ねられがちでした。

しかしこれからは、その役割を制度として位置づけ、継続できる形にすることが自治体にも、国にも、静かに、しかし確実に求められているのではないでしょうか。

GX Creation Meetingでの議論は、私にとって、居住支援をあらためて見つめ直す機会であり、同時に、GXの課題を「他人事ではない」と実感する場でもありました。

この思考は、まだ整理の途中です。
それでもまずは、外に出してみたいと思い、書き留めました。

また、機会があればこの話題にも触れていければと思います。

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