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「村から追放された少年は女神様の夢を見る」第五話

天界で、ワタクシファンティはグリーンの様子を眺めていた。

「大変!グリーンがこのままでは・・そうだわ。あの子に手伝ってもらいましょう」

神は地上に直接干渉できない為、ある人物を使ってグリーンを助けることにする。
あの子なら、ワタクシから近いから伝えやすい。きっと信じて動いてくれるはずだ。
ワタクシは遠隔であの教会に思念を飛ばすことにした。


ボタムの森に私はたどり着いていた。

「ここにグリーンがいるのかしら」

見えないものに導かれてやってきたものの、少し不安だ。

「「グリーン!いる?」」

私は大きい声で呼んでみた。返事は無い。しばらく森の中を進むと、人が倒れているのが見えた。

まさか!

私は、慌てて走り出した。
人が・・グリーンがうつ伏せで倒れていた。背中から血が流れている。このままでは死んでしまうかもしれない。

「どうしてこんな事に・・」

何で一緒に行かなかったのだろう。私はひどく後悔した。
気絶しているみたいで・・意識があれば自分で治療できるのだろうか?

私を包む空気が、グリーンに手を当ててと言っているようだった。
まさか私が魔法を使えるわけないのに。

体の奥から熱い物が流れてくる。これ、魔力?
私の体が無意識に動いて、両腕を大きく広げていた。
グリーンを包むように。


『ごめんなさいね。体を使わせてもらうわ』

ワタクシファンティはアリスの体に入る。
さすがにアリスでは魔法が使えないから。

『完全回復魔法』パーフェクトヒール

グリーンの体をまばゆい光が包む。背中の深い刺し傷は直ぐに塞がった。

『グリーン、助けるのは一回だけよ。次からは気を付けなさいね』

グリーンの頭を撫でて、ワタクシは頬にキスをした。

『貴方には、特別に加護を与えるわ。よっぽどじゃないかぎり死なないように』


「はっ!」

あ、あれ私どうしたんだろ。何だか記憶が飛んでいる気が・・。

「グリーン!生きてるの?」

目の前には倒れているグリーンがいて、私は必死に彼の肩を揺さぶった。
彼の優しい瞳が開いた。

「・・ん?アリスどうしたの。何で泣いてるの」

私は言われて気が付いた。あ、あれ?私泣いてる?

「生きてた・・よかった・・・」

私はグリーンに抱きついてしばらく泣いていた。

グリーンは少し混乱していたみたいだった。
森に入ったところから、記憶が少し抜けているらしい。
体調が悪いようなので、今日の午後の予約の人たちには謝って後日にしてもらう事にした。

教会に帰ってからグリーンは何か思い出したみたいで、怖い顔をして何か考え込んでいた。

一体何を思い出したのだろう。



昨日、ぼくはマントの青年に呼ばれて、治療に向かったが・・どうやらそれは嘘だったようでぼくを殺すためにおびき出されたらしかった。
結果的に生きていたから良かったものの・・。死んでいてもおかしくない状況だった。

ぼく何で生きているんだろう。不思議でしょうがない。
アリスはもちろん回復魔法とか使えないし、使えてたらとっくに教会で使っていたと思う。誰かが助けてくれたのか・・?

治療の仕事は休んで、ぼくは教会の部屋でのんびりしていた。畑仕事を手伝おうとしたら、アリスに止められた。

「あんな大怪我をしたんだから、しばらく休んでなさい」

半泣きで言われるものだから、困ったものだ。少し大げさなんだよな。怪我はもう治っているのに。
何故かぼくが殺されそうになったのは事実なんだけど・・気を付けないといけないな。念のため、出張はしばらくやらないことにしよう。

グリーン 15歳 回復魔法士
スキル 回復魔法 上級レベル1
    防御魔法 障壁 レベルS (女神の加護により消費0)
魔法 ヒール(5)
*女神の加護
HP480/500
MP500/500

「あれ、ステータスがだいぶ変わってるな。女神の加護って何だろう」

もしかして、あの時女神さまがぼくを助けてくれたのか・・・。確かに普通なら死んでもおかしくない状況だもんな。

「気まぐれで女神さまが助けてくれたのかもしれないな」

「そう!女神様だよ?普通そんな事無いと思うよ?」

お昼時、パンを食べながらぼくが呟いたら、アリスからそんな返事が返ってきた。

「何で女神様だって分かるの?」

「ん~?何となく。ここの教会はファンティ様を祭っているし、助けてあげてって空気に導かれたからね」

スプーンを持ちながら、熱弁するアリス。今日の昼食はパンとミルクスープだ。

「あの時、体がぶわって温かくなったんだよね~そしたら意識失ってたみたいで。それでグリーンの傷が治っていたの!」

ぼくの知らない所で何かあったらしい。意識を失っていた時に女神さまが来ていたのだろうか。こんな事はもう御免こうむりたい。
一体誰がぼくを殺そうとしたのだろう。

「ぼくが治療を始めたことで損をしている人は誰だろう」

「ん?そうねえ・・隣町の治療院かしら」

「隣町の治療院?」

そういえば、聞いたことがあるかも何だっけ?

「結構、高額で治療しているみたい。だから患者がこっちに流れてきているとか?」

それでぼくを殺しにとか?まさかね。まあ、気を付けるに越したことは無いけど。
外に行かなければ、危ない目には合わないと思う。多分。


#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門

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