「ハコモノ」はいらない。私たちが本当にほしいのは、〇〇な場所。
今朝の新聞を開いて、ある記事に目が留まりました。
全国公立文化施設協会の岸正人事務局長が寄稿された「公共文化施設の役割」についてです。
そこで紹介されていた、福岡県筑後市の文化施設「サザンクス筑後」の取り組みが、とにかく素晴らしかったのです。
効率最悪。だけど、だからこそ人が育つ。
その施設では、約30年にわたり「こどものえんげきひろば」という活動が続けられています。
学区を越えて集まった子どもたちが、遊びや演劇を通じて交流し、自分を表現し、仲間とともに作品を創り上げていく。これまでなんと、900人を超える子どもたちが参加してきたそうです。
この記事を読んで、改めてハッとさせられました。
文化施設の価値は、建物の大きさや豪華さではない。
「そこでどんな人が育ち、どんな関係性が生まれるか」にあるのだと。
正直に言って、演劇や音楽、芸術活動は、効率だけで考えれば決して生産性の高いものではありません。
時間もかかる。
手間もかかる。
参加人数だってみんなが行き届くわけじゃない。
しかし、その泥臭い過程の中で、人は他者と向き合い、自分を知り、相手を理解しようとします。
その積み重ねによって育まれる「共感力」や「信頼関係」こそが、地域社会を支える目に見えない土台になるのではないでしょうか。
「薬」ではなく「つながり」を処方する街へ
私はこれまで議会の中で、「社会的処方」という考え方を繰り返し提案してきました。
孤独や孤立、生きづらさを抱える人に対して、医療や福祉だけで支えるのではなく、人とのつながりや地域活動への参加によって支えていこうというアプローチです。
「薬を処方するのではなく、地域とのつながりを処方する」
この視点こそ、高齢化や人口減少が進む地方都市に不可欠だと信じています。
その意味で、文化施設は「社会的処方」を実践する最高の舞台になり得ます。
演劇や音楽に参加する。ボランティア活動を行う。誰かと出会う。新しい役割を見つける。
そこから生まれるつながりは、めぐりめぐって、人の健康や生きがい(ウェルビーイング)に直結していくからです。
玉野市の新しい市民会館に、本当に詰め込みたいもの
いま、私たちの玉野市では、市民会館のあり方について検討委員会での議論が始まろうとしています。
市が選任した委員の皆さんによる議論となりますが、施設の規模や機能、建設費や運営費といった「ハード面」の議論はもちろん大切です。
しかし、それ以上に委員の皆さん、そして市民の皆さんと大切にしたい視点があります。
それは、「この施設を通じて、どんな地域を目指すのか」という問いです。
✖ 人が集まる場所をつくる ➡️ ⭕ 人がつながる場所をつくる
✖ イベントを開催する場所をつくる ➡️ ⭕ 人が育つ場所をつくる
人口が減る時代だからこそ、人と人との関係性の価値は、昔よりもはるかに高まっています。
今日の新聞記事を読みながら、新しい市民会館が単なる「ハコモノ」ではなく、子どもたちの挑戦を支え、高齢者の生きがいを生み、世代を超えたつながりを育む拠点となることを強く期待しました。
市民会館の議論は、建物の議論ではありません。
「これからの玉野市で、どんな人を育て、どんな地域をつくっていくのか」
そんなワクワクする未来を考える議論に、みんなでしていきたいですね。
