すべては好き嫌い
今日のおすすめの一冊は、楠木健氏の『すべては好き嫌いから始まる』(文藝春秋)です。その中から「なぜ努力は続かないのか」という題でブログを書きました。
本書の中に「すべては好き嫌い」という心に響く文章がありました。
人から好き嫌いをなくすことはできない。多様な好き嫌いを良し悪しに一本化するのは不可能だ。氷山を無理やり全部海中から引き上げるようなもので、とんでもないコストがかかるどころか全体主義になってしまう。
好き嫌い族は総じて平和主義者である。歴史を振り返れば、戦争を起こすのは決まって良し悪し族だった。好き嫌いには定義からして争いがない。大げさに聞こえるかもしれないが、好き嫌いは世界平和への王道である。
世の中のほとんどは詰まるところ好き嫌い。「良し悪し」「コレクトネス」では割り切れな い。しょせん「蕎麦か饂飩か」という話なのである。好き嫌いは人それぞれ。他人と自分が違うのは当たり前だし、人のことを気にする必要はない。
ただし、他者の好き嫌いを尊重する。尊重しないまでも、筋違いの批判や余計な介入や無駄な説得をせず、気持ちよく放置する。そういう社会が成熟した良い社会であると僕は思う。
◆「好き嫌い」の対極にあるものは「良し悪し」。それは別の言い方をすると「正しいか正しくないか」。
小林正観さんはそれをこう語っている。
「正しいことを言えば、わかってもらえる」とか「これは常識的なことだから」と考えるのですが、人はいつも《正しい》ことを受け入れるのではなくて、《温かいもの》を受け入れるのです。
人間関係が、柔らかく温かいものであれば、問題は必ずクリアされていきますが、その人との関係がうまく形成されていなければ、いくら正しいことを主張しても、相手は聞き入れてはくれません。まず先に、基本的な人間関係を築くことが大切です。親子でさえも。
《温かいもの》とは、つまり、好きなもの。
「すべては好き嫌い」、という言葉を胸に刻みたい。
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