ジャパンモビリティショー2025が寂しく見えてしまった
「来年買えるみんなのクルマ賞」は間違いなくBYDの軽BEV ラッコでしょう
日本の軽をしっかりと研究し、作りも使い勝手もよさそうです
床下バッテリーによる低重心で走りも安定
噂されるスペックで予定通り2026年8月に発売されれば大ブームになることでしょう
開発着手が一年前と言っていたので開発期間は22ヶ月となります
新規プラットフォームからはじめて22ヶ月というのは記録的で、モジュール化とSDVの威力を遺憾無く発揮しているといえます
日産サクラの開発責任者を引き抜いてそのノウハウを注いでいることも見逃せません
優秀なチーフエンジニアに活躍の場とそれにふさわしい処遇ができないのが今の国産メーカーなのでしょう
ラッコの発売予定は2026年5月なので、国産の軽メーカーもラッコの開発状況やスペックを見ながらそれに応じて改善したり値下げしたりしたいところですが、SDV化していない国産メーカーにそのスピードは出せないのです
「技術賞」はマツダに進呈したいです
マツダデザインの美しさは今回もダントツだったと思いますが、何よりCO2を直接回収することをねらう「MAZDA direct capture」が素晴らしい
エネルギー効率など難しい点があると思いますが、実現すれば、走るほどにCO2を減らすことが可能になり、HEVやPHEVを長期のソリューションにできる夢の技術といえます
トヨタは「お金かかったで賞」でしょうか
ダイハツと南展示棟の全フロアを使った展示は圧巻でした
ただ、過去のショーと比べても未来への提案要素が少ないのは残念でした
わずかに「4本足で歩くイス」が人目を引く程度で、今回は水素も、大幅改良でやっと世界のBEVに追いついたbZ4Xも、e-Paletteや自動運転に関する展示もなく、マルチパスウェイもCASEも忘れてしまった様です
暴走や逆走による悲しい交通事故を減らす提案も、エネルギーや安全のインフラに対するコミットもありませんでした
トヨタの i-Road を進化させた Lean 3(パーソナルモビリティ)やSkyDriveの空とぶクルマは推さないのでしょうか
もし、エンジン車の展示で「エンジンの気持ちいい音を聞けますのでアクセルをふかしてみてください」等と言ったら排出ガスで周囲は危険な状態になります
BEVであればいくら閉空間でアクセルをふかしても空気を汚すことはありません(面白いことに、エンジンの気持ちいい音を運転席に向けて合成するEVもあるのです)
カーボンニュートラルなクルマばかりになるのにはまだ時間がかかるでしょうが、クルマを操る楽しみとカーボンニュートラルや安全性とを両立させるのが、100年に一度のチャレンジであり、モビリティカンパニーへのフルモデルチェンジではないのでしょうか
[センチュリークーペ]
前回のセンチュリーSUVまではアメリカ風のショーファーとして「あり」かなと思いましたが、今回の3人乗りのクーペは全くユーザー像が浮かびません
想像するに、ユーザー像のことを考えるはずのチーフエンジニアが不在なのが問題なのではないでしょうか
センチュリーは豊田佐吉翁の生誕100年(=明治100年でもありました)を記念して発売された御料車であり、群衆の中を静かにゆっくり走り、長距離を走ることもほぼありません
毎日満タン(フル充電)でスタンバイでき、広く静かで空気を一切汚さないBEVほど御料車にふさわしいものはないでしょう
次の100年に向けたセンチュリーはまずBEV化するのが良いと思うのですがどうでしょうか
[レクサスLSコンセプト]
レクサスのフラッグシップLSが6輪のバンに生まれ変わる様です
後軸の小径4輪は、乗り心地も操縦安定性も非常に厳しいシャシー技術者泣かせでしょう
タイヤを見せないテスラのロボバンのデザインの影響を受けているのでしょうか
現行のLSは、走行性能のために後席のレッグルームを縮め、足回りを固めすぎで長年の顧客からのクレームを受けて、緊急の設計変更を余儀なくされたといいます
落ち着いたサルーンのショーファーを求める顧客層は消えてしまったのでしょうか
[カローラコンセプト]
かっこよさ第一はプリウスと同じ狙いに見えますが、本来カローラに期待される乗降性や広さ、視界、使いやすさは担保されているのでしょうか
サイドウィンドウ前端を下げて視界を改善したとのことですが、極端に寝かせたフロントウインドウや後方視界の悪さはプリウス譲りで、それらを補うはずのADASの知能化や暴走や逆走防止などの提案も無いようです
ICE(エンジン)、HEV、PHEV、BEV全てに対応するそうですが、それぞれに最適設計されたライバルに勝てるのでしょうか
[ダイハツ]
「あなたにダイハツメイ」のキャッチフレーズがイカすダイハツですが、トヨタの一ブランドに格下げされてしまいました
トヨタ車の含軽市場シェアの数字を上げるためでしょうか
ダイハツ社員のみなさんの士気に影響がないことを祈ります
「稲村ジェーン」や「三丁目の夕日」でおなじみのクルマをBEVとして蘇らせたミゼットXはエモいですね
FRに生まれ変わるコペンはテスラロードスターの様なBEVでもよかったのではないでしょうか
エンジン車やHEVが減った未来、きれいな空気の中をオープンで走るのはさぞや爽快でしょうに
さて、ここでちょっとタイムスリップしてみましょう
私が初めて東京モーターショーに行ったのは1971年、会場は晴海(2021東京オリンピック選手村跡=今の晴海フラッグ)でした
見返してみると、トヨタの展示だけでもすごかった!
- SV-1(高性能スポーツクーペ、セリカLB)
- RV-1(レクレーショナルビークル、スポーティワゴン)
- CVS(Computer-controlled Vehicle System:新交通システム:「ゆりかもめ」に近いもの)石井威望、井口雅一、越正毅の各先生と自動車/重工/電機メーカーが協力
- MAC(Multi-Functional Communication System:車載電話、交差点情報、走行情報受信、緊急情報受信のユニットからなる多機能通信システム:元祖コネクティッドカー)
社会人2年目、1985年のモーターショーのトヨタのテーマはずばり「Fun to Drive」
- AXV(超低燃費追求ファミリーカー)当時考え得た究極のエコカー
- FXV(アドバンスドスポーティ4WDサルーン)ミドシップ+4WS
- WINDY CRUISER(オープンエア、マルチ4WD)
- MAN-BOW(つくば万博出展 3WDのEV)
実はこの時、ショーモデルのひとつ AXV のブレーキ設計を担当してました
設計といっても、極薄パーキングブレーキレバーの意匠図を描いたり、スターレットのブレーキをメッキしてそのまま搭載したり程度ですが、自腹で晴海に行った時は、観客の腕を掴んで「あのクルマ俺が設計したんですよ!」と叫びたくなったのを記憶してます
東京モーターショー(1954年-2017年)には「未来を見せたる!」という気概があった様に思います
ジャパンモビリティショー2025がいささか寂しいと思ってしまうのは私だけでしょうか
