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【企画】風まかせ文芸部〜炎光院烈心浄炎大姉〜

とらねこ村のiさんが企画している
第7回 風まかせ文芸部への参加作品です。

1.企画

お題:「蝋燭(ろうそく)」

お題:「蝋燭(ろうそく)」から始まる
ショートショート、小説、詩、エッセイ――
ジャンルもスタイルも自由。

2.本編

『炎光院烈心浄炎大姉』

蝋燭(ろうそく)に火をつけ
ろうそく立てに突き刺す。

ぼんやりと火をながめながら、
僕はアネゴの訃報を受けた朝を思い出す。

炎がたよりなく、ゆれながら
燃えている。

ああ、アネゴ‥
ほんとに死んじまったのかな‥

ゆらゆらとゆれる炎を眺めながら、
訃報を受けた朝がフラッシュバックした。

【訃報】のメールを受けた衝撃が、
あらためてよみがえ、うっと吐き気がした。

あのアネゴが死んだ?
ありえない。あのアネゴだぞ?
いまだに信じられない。

ふいに目の前の炎がバタバタと
風を受けてはげしくゆれている。

あのアネゴが死ぬなんて‥

その日、いつものようにOutlookを起動し、
一瞬だけメール受信のバーがビュッとのびて
受信箱が青文字で(1)と表示された。

あれ?総務からの社内メール?

【訃報】

あれから、死んだように生きた。

一ヵ月後、ようやく
こうして墓の前に立っている。

再び炎がバタバタと
強い風を受けてはげしくゆれた。

僕はハッとして、
両手で炎を囲む。

炎が消え、芯から煙がたちのぼる。

炎を消した喪失感で
思わずその場でひざまづく。

「おそくなりましたアネゴ」

なんだか、ヤクザの子分みたいだな、
思わず頬がゆるみ、少し気分が落ち着いた。

気を取り直し、ロウソクに再び火を灯す。

ガサゴソとコンビニのビニールから
線香の束をつかみ、豪快に炙っていく。

黒く焦げた後、灰色にかわり、
ボワっ!とオレンジ色に輝いた。

手のひらでハタハタして炎を消すと
ふわっと香りがただよう。

アネゴはすごい人だった。

海外の出張先でも、
交渉ごとにはいっさい負けず
「装甲車」の異名をもっていたアネゴ

しばらく、お墓をながめる。

それから、汲んできた水を
ぴしゃぴしゃと、黒い鏡面の
墓石にかけて、きれいに
ホコリを洗い流した。

ふと墓石の右側面に目をやると
先輩が亡くなった日付けと戒名が
彫ってあった。

炎光院烈心浄炎大姉

ははっ‥アネゴらしいな

たしかに炎のように燃え尽きた
その人生にふさわしい戒名だと思った。

炎光院烈心浄炎大姉と彫られた
文字をゆっくりと指でなぞってみる

墓石がほんのりあたたかい

そうか、やっぱり
死んじゃったんだ、
本当に、死んじゃったんだ

ようやく、本当なんだと、
本当にアネゴは亡くなったんだと
あらためて、納得し
ぶわーと、涙があふれる

「早いよ‥、アネゴ、早すぎるよ・・」

かなしいはずなのに、
どんどん涙が出るたびに、
ホッとしている自分に気がつく

なんで、涙が
止まらないんだコレ‥

ははっ、なんだこりゃ
止まらん、ヤバい・・

かなしいはずなのに、
どんどこ涙が流れ出るたびに、
ホッとしている自分に気がつく

悪いことしたみたいな気分になり、
あわてて手を合わせた

その瞬間

確かに、何かが変わったと思う

僕にとって、あの日
あの瞬間、まったく、違う
生き物になったような気がする

アネゴの分も、ちゃんと生きなきゃ‥

心の中で、そう誓った。

(おわり)

3.お別れの一曲

『HELLO,NEW WORLD!』

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