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takanoyama
【小説】バイクに乗ってどこまでも〜Ep.1旅立ち〜
″ブラック企業″という言葉が生まれる前、
僕らは無限に残業をしていた。
しがない田舎町の町工場、納期は厳守じゃねぇ、″死守″だ、死んでも守れと先輩に叩き込まれて生きてきた。
会社のセキュリティが朝の3時から6時まで、自動的にかかるため、暗黙の了解で勤務時間は21時間だった。
前半10h、昼休み1h、後半10h
は?ワークバランス?なんだそりゃ?
二交代どころか、一人時間差攻撃のAクイック、完全にイカれてる。
さらに土日も休み無し、3ヶ月ぶっ続けで働いた後、自分の中で何が″プツっ″と切れた。
「辞めます」
は?、何言ってんだテメェ、このクソ忙しい時に寝言言ってんじゃねぇ‥、163cmと小柄のヒロは、かつてラグビー選手だった180cmの先輩に、胸ぐらを掴まれて宙に浮いた。
興奮してまくしたてる、先輩の吐く息が臭い、タバコのニオイと、安っぽいジョージアのエメラルドブレンドが、ぐちゃぐちゃに混ざったヘンなニオイだ。
「辞めます!」
ヒロはもうどうにでもなれと、半ばヤケクソになって吠えた。
腰抜けが、辞めちまえと、先輩が食堂を出て行った。
ヒロは胸元が乱れたまま、ロッカーに行き、ハーリーハンセンの紺色のジャンバーを乱暴につかみ、ノースフェイスの黒のリュックサックをすばやく背負い、駐輪場にふらふらと歩いていった。
とにかく寝たい‥
バイクで15分ほどの、安いワンルームのアパートに向かい本能だけで運転し、着くとバタッと倒れるようにベッドにダイブした。
もう何も考えたくない。
1999年世紀末、ヒロは生まれ変わる。
(つづく)
