【小説】バイクに乗ってどこまでも〜Ep.3姉の住む街へ〜
1.前回までのお話
『Ep.2 初めての長旅』
ブラックな環境で労働に耐えかね、ふっきれたヒロはバイクで旅にでる。
2.本編
『Ep.3 姉の住む街へ』
どこへ行こうか‥
ヒロは土日も休まず90日間連続で働きつづけていたため、今日が世間一般では、今がGWだと気がついた。
そうか‥GWか‥
ヒロは工業高校を卒業し、18歳で働きはじめ、盆と正月、そしてGWは休めたためしがなかった。
町工場での仕事は、世間の皆さまが休んでいる時に、納品先の工場も長期休暇で、生産も止まるため、その期間中に、機械を納品先の工場に搬入する場合が多く、いつもその時期は目が飛び出るくらい忙しかった。
「工場のみんなは、今日も働いてるんだろうな‥」
ヒロは罪悪感を感じながらも、自分が今、世間の皆さまと同じように、GW休み中ということに、なんとも言えない開放感を感じていた。
会社のカレンダー通りなら、今日が5/4だから、明後日まで3日も休める。
「よし!せっかくだから、二泊三日で旅に出ちゃおう‥」
なんだか、急にワクワクしてきて、どこに行こうかと、そわそわしながら考えた。
「でも、僕‥お金ないしなぁ」
町工場のお仕事は、手取りで月12万ちょっとだった。
一人暮らしがしたくて借りたワンルームのアパートは、田舎なので需要がないせいか、やたらに高く、月に7万だった。
残り5万から光熱費、水道代を引くと、月3万くらいのお小遣いじゃ、どこにも行けない。
「しょうがない‥姉ちゃんのところ行くか‥宿代いらないし」
ヒロはさっそく姉に電話する
アネキ‥寝てるかな
ぷるぷる‥
ガチャ!
びっくりするくらいすばやく姉がでる
「お!ヒロじゃん、ひさしぶり生きてた?」
「なんだよ、そう簡単にくたばるかよ‥」
「おー、さすが柔道部、見かけによらずタフだねぇ」
姉との軽口はひさしぶりで、ヒロは話ながら少しうれしくなった」
「ネエちゃん、急で悪いんだけど、静岡行ってもいいかな」
「おー!急だねぇ、まぁ‥、いいよ、いいよ、うち泊まる?」
「助かる‥、一泊だけいいかな?」
「いいよーぜんぜん、でもヒロがくるなんてめずらしいね、うちの子が生まれた時以来かな?」
「そうだね‥」
「どうした?なんかあった?」
「‥会社辞める」
「お!、ついに辞めるか、いいじゃん、いいじゃん、辞めちゃえばー、母さんから聞きたけど、ヤバいよヒロの会社」
「そうかな‥」
「だってヒロ、働きはじめて、ずっと休みなしじゃん、いいよ、いいよ、やめちゃえそんな会社、退職届なら、コンビニでも売ってるし」
「まあ、こまかい話しは、そっちいってから、とにかく昨日、上司に辞めるって言っちゃった」
「おー、めずらしく、ヒロがキレたかー、いいじゃん、いいじゃん、くわしい話しはこっちで聞くよ」
「ありがと」
「なーに、しおらしくなってての、とにかくおいで、なに?バイクでくる感じ?」
「ああ、バイクでいくよ」
「はーい、はい、じゃあ夕方くらになりそう?遅くなりそうなら、また電話ちょうだい」
「わかった、近くにいったら、また電話する」
「はいよー、じゃ気をつけて!」
ガチャン
「あいかわらず、パワフルな姉だなぁ‥」
ヒロは思わず笑ってしまった。
よし、そうと決まれば、さっそく準備、準備
ヒロは、一泊分の寝泊まりセットをリュックにつめて、紺色のヘリーリハンセンのウインドブレーカーを羽織って出かけた。

駐輪場にとめてあるバイクにまたがり、景気よくエンジンをふかす
どルン!
タコメーターがぐるんとまわる
よし、エンジンも絶好調
まだ、9時だから、下道走っても、夕方には姉が住んでる静岡まで行けるな
通勤に使ってるバイクだけど、遊びに行くとなると、ぜんぜんワクワク感が違う
なんだか、羽が生えたみたいで、うれしくなって、ゆっくりと風を感じながら田舎道を走った。
GWにもなると、春というより、初夏に近い強い日差しが、頬を照らした。
「ひゃーきもちいい」
バイクの加速したときのキュイーンというエンジン音に心から踊った。
(つづく)
EDテーマ
次回予告
『Ep.4 とつぜんの呼び出し』
姉の住む静岡へのバイク旅行を楽しむヒロだったが、上司からのとつぜんの呼び出しが‥
その時、ヒロは?
次回もお楽しみに!
【おわりに】
このエピソードは、筆者が実際に体験した経験をベースにしています。登場人物は架空の人物ですが、友人が読んだら、アレ?これってあの人だよね‥と、気がつかれるかも知れませんが、僕はまったく恨みはないので、どうか笑って見逃して頂けることを願います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
