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ロードバイクの変遷

ロードバイクというと今ならカーボンフレームで価格は50万円くらい・・・という事になってしまいますが、このロードバイクも時代によって随分と形や材質、思想などが変わってきています。今回はそんなロードバイクの変遷のお話をしてみようと思います。
ロードバイクと言われるにはやはり人よりも早く走る道具としての位置づけが必要ですね。現在でも有名なツール・ド・フランスは1903年に第一回目が開催されました。そして賞金総額20000フランが用意されており、その年に総合優勝した選手は6,075フランを獲得しました。これは当時の価値から行くと会社員の平均年収の3倍くらいだと言われています。

この当時はまだ変速機もなく、車重も16~18Kgといいますからママチャリよりも重いようなものですね。そしてツール・ド・フランスは山岳地帯を走るコースもありますが、この時代はまだ変速機もありません。後ろのホイールには両側にスプロケット(ギヤ)がつけられており、上り坂になるとホイールをひっくり返して大きなスプロケット側に付け替えて登ったそうです。

そのような時代からレースに勝つために様々な工夫や発明がされ、またそれが規格化されてきたのが1970年代です。
この頃になると見た目はもちろんちょっと見慣れた形になってきますね。
私が入手したビアンキのフレームも1970年代のものでしたが、この頃のフレームは規格化されているものの、現代の規格とは大きく違っていました。
明確に違いが出るのは、ブレーキの取り付け穴からブレーキシュー(ゴム)までの長さが長かった。つまりタイヤとブレーキ取り付け穴までの間隔が広かったということです。これは泥除けを付けるスペースを設けるためです。そして後輪取り付けのための間隔が狭かった。当時は120mmから126mmへの移行期間でした。この頃は変速機ができていましたが、ギヤは5段。126mmになると7段くらいまで増やすことができました。
フレームに関してはこのくらいが70年代の特色でしょう。
70年代のロードバイクは快適さよりもパワーを活かしてガンガン走るような感じでしたので、選手にとっては非常に過酷な状況だったと思います。山岳地帯を5速ギヤで走る、しかもスプロケットはワイドレシオではなく非常に接近したクローズドレシオでした。いまでは考えられないギヤ比で急坂を登っていたと思われます。
フレームに使われるチューブもダブルバテッドが常識で、チューブメーカーも様々な種類のチューブを販売していました。スチールパイプは今ではほとんどがクロモリ(クロームモリブデン)ですが、このころはまだそれ以外の材質のものが数種類ありました。レイノルズ531もマンガンモリブデンがその代表でしょう。


1970年代のBianchi

写真は70年代のBianchiフレームで組んだロードバイクです
70年代の特徴でブレーキアーチが長いというところでその事がわかります。このフレームはフリマで格安で売られていたジャンク品を買って手直しして仕上げたものです。その他はあまり違いが見いだせません。ということでクロモリフレームはこの頃からすでに完成されたものだとわかります。

さて、80年代に入ると、フレームリヤエンドのOLDに120mmのものは見られなくなります。126mmが主流となり6速や7速ギヤが出てきます。
またフレームの製法も、ラグを使って溶接するという方法がまだ一般的でした。
80年代に入ってもクロモリフレームは、まだ硬さを求めていました。早く走るにはパワーとそれを推進力にする硬いフレームというのが当時の流行りです。そのためにチューブの縦方向に凹みをいれて横方向の強度を上げるというギルコ加工というのがコルナゴやテクノトラットなどから出てきました。この頃のフレームに乗るとなるほど横方向のシナリが殆ど感じられないようなものがあります。リヤのOLDが126mmと言いましたが、クロモリのシナリでちょっと広げてやれば130mmのホイールもなんの問題もなく装着できるのですが、ギルコ加工をされたテクノトラットのフレームはチェーンステーも固く130mmでさえ広げるのは無理でした。


テクノトラット ギルコ加工パイプ

そして80年頃にはアルミ素材のフレームも多く出てきました。
この年代のアルミフレームは見た目はクロモリフレームと同じような細いパイプでトップチューブは地面と平行なホリゾンタルのものがスタンダードでした。しかしラグはクロモリのそれと違って全く装飾のないまっすぐに切られたラグです。
現代のアルミフレームはその形状に自由度が高く、非常に曲線を活かした滑らかなものが多くなっていますね。
アルミフレームがスチームフレームと違う部分はその軽さです。自転車全体で大体600g〜1Kgくらい軽量化できました。当時のクロモリフレームの自転車は9キロほどですから、1Kg軽量化できるというのは非常に大きなインパクトでした。
でも、この頃のアルミフレームはあまり人気が出ませんでした。材質レベルで鉄とアルミを比べると、アルミのほうが柔らかいわけですが、これがフレームになるとアルミのほうがとても硬く感じる。つまり突き上げが強く感じてとても乗り心地の悪い物となってしまいました。これはスチールフレームのしなりが非常に緩やかで路面の凹凸を和らげてくれるような感じなのに対し、アルミは路面の振動をそのまま伝えるような感じがして突き上げがキツイような感覚を覚えるようなものでした。
反面、レスポンスが非常に良く、グッと踏めばスッッと出るような俊敏さがありました。
またこの頃のアルミフレームによく似た作り方で、カーボンパイプを使ったものも出てきました。装飾性のないラグにカーボンパイプを取り付けるような感じで、今のようなオールカーボンではなく、あくまでも直線部分だけ取ってつけたようにカーボン化したものでした。金属とカーボンを合わせるので溶接ではなく接着剤で着けるというもので、いつ取れるかわからないという信頼性が?と思われていました。


ナカガワ工業 DURAALL アルミフレーム

さて、90年代に入るとクロモリ以外の材質が増えてきます。
アルミも色々な素材が出現しました。そのため、各素材メーカーも生き残ろをかけて様々な特性を持った材質を出してきます。
もちろん、自転車を活かすのは軽量化というところがクローズアップされ、この頃から軽量に重点を置くようになったことは確かですね。
それにつれて、クロモリも今までのハードな感じではなく、鉄のシナリを全面に出すようになってきいました。クロモリフレームは疲れにくいとか言われ出したのもこの時期です。またしなりが推進力を生むなんてことを言われ出したのもこの時期だと思います。確かにペダルを踏み込むとフレームが歪みます(これをシナリと言ってます)そしてその歪みが戻るときにバネとなり推進力に変わる・・・という話ですが、まあ、物理的に考えてもそんな都合の良い仕組みににはなっていません。このシナリが推進力を生むというのは都市伝説と思っていいでしょう。しかし、加速をしているときにそのシナリが本当に「あっ!フレームが後押ししてくれている!」という感じがするのは確かです。そのプラシボ効果でちょっと早く走れるのかもしれませんね。
アルミの材質も多くなり非常に軽量な物が出だしました。
もちろんカーボンもますます開発が進み、カーボンだけで構成するものも出始め、段々とその優位性を確立していきました。


コロンバスALTECを使ったカレラ ポディウム

さあ、クロモリ・アルミ・カーボンの3つ巴の戦いとなって来ました。カーボンフレームの製法も段々と効率化・システム化されその販売数を着実に藻場しています。またアルミも初心者・入門版としての地位を確立しその売上も伸ばしています。
だた、スチールは【古い】というようなレッテルを貼られその数は段々と縮小されるようになりました。

さて、2000年代に入るとまた一つ新たなブレイクスルーが出てきました。
それはヘッドの大型化です。
それまでの自転車のヘッドは弱点とされており、その調整も気難しいとされていたのですが、従来のフォークコラムのネジを締め込む方式から、アヘッドと呼ばれる方式になり、その調整やメンテナンスも格段に楽になり、信頼性も強度も大幅に向上しました。
今までのスレッド方式は乗っているとそんなに気にはならないのですが、ひとたびアヘッド方式のバイクに乗るとその安定性の高さに驚かされます。

これはクロモリ・アルミ・カーボンすべての自転車に適応されあっという間に普及しました。ただ1点の弱点は、カッコ悪いことですw
そしてBBもかなり長い間スクエアテーパーという方式が使われていましたが、ベアリング位置がそれよりももっと外側にあるホローテックやウルトラトルク方式が出てきました。ベアリング位置は支点となるのでそれが外側に位置されるとトルクの伝わり方が大きくなったように思います。前述のクロモリのシナリもこのBBによって明確に感じるようになりました。もちろんカーボンにはそのシナリがありませんから、推進力が一段と高くなったように思えます。


Cinelli Gazzetta 2014

さて、上の写真はチネリのガゼッタというクロモリピストバイクフレームです。これは2014年のプロダクトです。ちょっとクラッシクなデザインですが、このフレームは以前のクロモリフレームとは違い、ラグによるチューブ溶接ではなく、ラグを使わずにチューブ同士をTIG溶接で繋いたものです。またヘッドはアヘッド方式となっています(私の好みでアヘッドからスレッドに改造しています)ずっと40〜50年前のフレームに乗ってきて、この新しいクロモリに乗って一番の違いは、とてもしっかりしているということです。しっかりしているし、しっとり走る、そして速いということです。さすがに歴史のあるチネリがこの時代にクロモリフレームを出してきた意味というのを感じずにはいられません。チネリの中でも最安値のフレームですが、とてもいいと思います。

さて、現代 2020年以降は、カーボン全盛の時代となりました。
その価格も円安と相まってものすごい上昇率です。ちょっと前まで100万円を超えると言われてきたハイエンドバイクですが、今や200万円を超えるところまで出ています。
この10年で自転車に作りはまるで変わってしまいました。
まず、変速機が電動で動く!F1でいうフライバイワイヤーです!
そしてブレーキのワイヤーも完全内臓で外からは見えません。またブレーキはディスクブレーキ化され従来のリムブレーキは「え?リムブレーキなの?」と言われるほどに。そしてハブはスルーアクセルとなり、的確に踏力をタイヤに伝えます。そしてタイヤは30cなどの太いタイヤが一般的になりました。80年代なら「それってランドナーじゃね?」と言われそうな太さです。そして何もかもがエアロ化され近未来的なフォルムになっています。
スプロケットも大型化され、とてもワイドなレシオになっています。

ざっとまとめると

最新の乗用車もそうですが、素人がさわれないようになっていますね。昔は自分でいじることが楽しいような時代でしたが、自転車も同じ様になっています。そのことが途中でやめてしまう原因となっていることも確かだと思いますが、自転車も車も命に関わることなので、できれば素人がいじるようなことは避けたほうがいいかと思うのですが・・・
車も古い車が非常に高い値段で取引される時代で、やはり昔の面倒くさいものを求める人というのはそれなりにいるということですね。
時代ごとにロードバイクを追ってみましたが、最新のバイクはやはり速いししっかりしていますが、速さを求めるのを辞めたときに、古いロードバイクに乗ると、それはそれで新しい発見があるし、こんな楽しみ方があるというのを知るきっかけになるので、そういう時期になったらクロモリバイクにのってみるのをオススメします^^

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