変わらない癖
高校時代からの友人と飲みに行った。
洋食、和食、タイ料理と、いろいろな店を渡り歩く。
おいしい料理に、おいしいお酒。
楽しい。
こんな時間久しぶりだ。
その日は雨上がりの汗ばむ夜だった。
そんなじめっとした夜でさえ、「暑いなー」と言いながら笑い合う。
彼とは高校時代からの友人で、もう25年以上の付き合いになる。
ふとしたときに、「元気?」と僕から連絡したんだっけ。
なんだかんだいろんなことを経験し、気づけば、お互いの人生の大半を知っている僕ら。
でも、会ってしまえば高校時代と変わらない。
「化学の赤点三人組が文系に行ったんだよな!」と思い出話に花が咲いたり、
「あいつ今何してるんだろーねー」と、同級生たちの近況を気にしたり。
「そっかー」と僕は何度もうなずく。
みんなそれなりに変わっていったようだ。
心地いい酔いが回ったころ、カラオケに行った。
彼とのカラオケも何十年ぶり。
「声でねー」「昔は歌えたのにー」と嘆く僕ら。
呂律があやしくなってきたけれど、とにかく歌いたいものを歌う。
室内に流れた2000年代の曲は、あの頃の記憶も連れてくる。
友人を見ると、サビで高音を歌うときに右の掌をパタパタさせていた。
高校時代、何度も見ていた彼の癖だった。
本人はきっと覚えていない。
僕も忘れていた。
その瞬間、高校時代のカラオケルームが目の前にあった。
なんだかその癖が懐かしくて、懐かしくて。
ずっと見ていたいなと思った。

