第1章 夏休みの秘密基地 (ひずみ)

私と長男の別宅住まいもはや10日を過ぎるが、最近の悩みの一つに別宅に長女を同行するか否かで兄妹喧嘩になることだ。
ここで誤解のないように説明しておくが、別居といっても本宅から歩いて1分のマンションかつ、私が仕事をしている間に息子は本宅に戻って妻と過ごしているので言うなれば半別居という状態であろう。
妻と子の折り合いがつかず、このままでは事が起こりかねない状態を危惧した末の苦肉の策という次第だ。
ひとまず物理的に距離を置き、お互いが冷静になってから公を交えて状況を整理・改善する。そのプロセスの為のいわば時間稼ぎとして始めた別居だったが、ここにきて後手にしていた課題が次々と露見していった。
その一つが長女の処遇のことだ。
長女は本当に優しくて思いやりのある子だ。4歳児とは思えないくらい大人びて気遣いができる子なので、ついつい後回しになり不遇な思いをさせてきた。長男との別居暮らしを始めてからはなおのことだ。
だからこそ兄妹が対立したとき、彼女の言い分にも耳を傾けたいし叶えてあげたいのだけれど、決まって長男の暴言・癇癪・奇行に根負けし結果彼が我を通す。
本当は今日も別宅に行きたかっただろうに。
今夜は寂しい夜になった。
ひずみが広がっていく。それでも明日はくる。
