【読むだけで整う】人の言葉を真に受けすぎてしまうあなたへ。言葉との距離を取り戻す物語
こんにちは、ひさねなです。
何げない日常に神秘と豊かさが満ちていること、生きてることは素晴らしいということを思い出せるような、小さな物語を綴っています。
◇
誰かに言われた何気ない一言がずっと心から離れないこと、ありませんか?
発言した相手が忘れているような言葉を、何度も思い返してしまうことはありませんか?
今日は、そんなあなたに贈る物語です。
風が通り抜けるように
「さっきの言い方はちょっとね・・・。そういうところ、直したほうがいいよ。」
朝イチの会議が終わった時に、先輩から言われた言葉。あれから何度も頭の中でリピートされている。
「そういうところ、直したほうがいいよ」
「そういうところ、直したほうがいいよ」
私は仕事の手を止めて、トイレの個室に入った。
誰もいない空間で、ため息をつく。
なぜこんなに引っかかるんだろう。
先輩は悪気があって言ったわけじゃない。それはわかってる。
でも、胸の奥が痛い。
鏡の前で手を洗いながら、自分の顔を見た。
目が、少し疲れている。
◇
「直したほうがいい」
その言葉を口の中で小さく繰り返してみる。
すると、不思議なことに気づいた。
この痛みは、今日初めて感じたものじゃない。
これは、ずっと前から私の中にあった痛み。
子供の頃から母に言われてきた「もっとしっかりしなさい」。
中学生のとき友達に言われた「空気読めないよね」。
先輩の言葉は、その古傷に触れただけだったのかも。
言葉そのものが痛いというより、
私の中にある「私はダメだ」という思い込みが疼いてるんだ。
そう思うと、少し楽になった。
◇
デスクに戻って、パソコンの画面を見つめる。
また先輩の言葉が頭に浮かぶ。
でも今度は、違う見方ができた。
あの言葉は、先輩の世界から出てきたもの。
先輩の価値観、先輩の育ってきた環境、先輩の今日の気分。
それは「真実」じゃない。
「先輩から見た、一つの見方」に過ぎない。
だから。
私はその見方を、受け取ってもいいし、
そうしなくてもいい。
◇
窓の外を見ると、街路樹が風に揺れていた。
風は、木々の間を通り抜けていく。
枝は揺れるけれど、風は留まらない。
言葉もそういうものかもしれない。
私に触れて、通り抜けていくもの。
また、先輩の言葉が頭に浮かんだ。
でも。
「ああ、また再生されてる」
そう思った瞬間、私は思考の外に立っていた。
繰り返す思考を止めようとしなくていい。
ただ、「また繰り返してるな」と気づくだけでいい。
気づいた私は、もう思考そのものじゃない。
思考を見ている、少し離れたところにいる。
肩の力が抜けた。
呼吸が深くなる。
先輩の言葉は、まだ時々浮かんでくるかもしれない。
でも、それでいい。
風が何度も吹くように、思考も何度も通り過ぎる。
私はただ、ここにいればいい。
揺れても、倒れない木のように。
読んでいただき、ありがとうございます。
私も真に受けて引きずってしまうタイプなので・・・(笑)
これは自分に向けたショートストーリーでもあります。
もちろん、指摘されたことで必要な対処があればそれはやりますが、いつまでも言われたことを引きずってしまうのは、その言葉が「引き金」になって古傷が疼いている可能性があるんですよね。
冷静な自分でいるときは、ストーリーの主人公のように
「私はその見方を、受け取ってもいいし、
そうしなくてもいい。」
が分かるのですが、渦中にいるとそれを見失いがちなのでね(汗)
備忘録として、ここに残しておこうと思います
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