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「このままでいいのかな」は悪いことじゃない、という話

「このままでいいのかな。」

私は、これまでの人生で、何度かこの言葉が頭に浮かんだことがあります。

周りから見れば、一見順調な人生を歩んでいるように見える。

なのに、ふとした瞬間に、

「このままでいいのかな。」

と思う。

この感覚って、なんなんでしょうね。


振り返ると、私はずっと「やりたいこと」を探してきた人間でした。

最初は、カップラーメンを作る仕事がしたいと思っていました。

なんとなく面白そうで、食べることも好きだったからです。

その夢に近づきたくて、理系の大学に進み、研究もしました。

でも、実際にやってみると、思っていたような楽しさはありませんでした。

実験は地道で、結果はすぐに出ない。

気づけば、「これがやりたかったことだっけ」と思うようになっていました。


そのあと、何がしたいのか分からないまま、飲食店でのアルバイト経験を思い出し、飲食業に就職しました。

現場は活気があって、人も多くて、最初は楽しかったです。

でも、働くうちにまた同じ感覚が出てきました。

「何か違う気がする。」

じゃあ自分は何がしたいのか。

その答えは、やっぱり見つかりませんでした。


結局、安定を求める気持ちもあって、公務員になりました。

真面目に働けば、生活は安定する。

そう思って選んだ道でした。

実際、仕事は安定していて、充実感もありました。

でも、35歳になった頃、ふとした瞬間に思ったのです。

「このままでいいのかな。」


以前の私は、この感覚があまり好きではありませんでした。

せっかく安定した場所にいるのに、何を考えているんだろう。

もっと今の環境に感謝すべきじゃないか。

そんなふうに、自分の中の違和感を押さえ込もうとしていました。

でも、押さえ込んでも、また出てくる。

「このままでいいのかな。」

しつこいくらいに、何度も。


今になって思うのは、

この言葉が出てくること自体は、そんなに悪いことではないのかもしれない、ということです。

むしろ、

これまでの自分が選んできた道と、今の自分の気持ちが少しずつズレてきている

そのサインだったのかもしれません。


人は変わります。

20代の自分と、30代、40代の自分では、見ている景色も大切にしたいものも違う。

あの頃は正しいと思っていた選択が、今の自分にはしっくりこないこともある。

それはおかしなことではなく、ごく自然なことです。


ただ厄介なのは、

「ここまで来たんだから、このまま続けるべきだ」

「周りも同じようにがまんしているじゃないか」

という気持ちです。

せっかく安定した仕事に就いたのだから。

周りから見れば恵まれているのだから。

そう思うほど、自分の違和感をなかったことにしてしまう。

でも、その違和感は消えたわけではなくて、ただ静かに残り続けているだけなのかもしれません。


だからといって、すぐに何かを大きく変える必要はないかもしれません。

大事なのは、

「その違和感を急いで消そうとしないこと」

「いきなり答えを出そうとしないこと」

です。

多くの場合、この問いに正解はすぐには出ません。

だからこそ、いきなり大きく動くのではなく、

まずは小さく試してみることが大切だと思います。


たとえば、

いつも選ばない本を読んでみる。

行ったことのない場所に行ってみる。

少しだけ違う働き方や関わり方を試してみる。

誰かに話してみる。

副業や趣味レベルで、気になることを少しだけ触ってみる。

本当に小さなことで構いません。


大事なのは、

「これまでの自分と違う選択を、少しだけやってみること」

です。

いきなり人生を変える必要はありません。

ただ、同じパターンの外に一歩だけ出てみる。

それだけで、自分の中にある反応が少しずつ見えてきます。

「あ、これは意外と楽しいかもしれない」

「これは思ったよりしんどいな」

「これは何も感じないな」

そういう小さな感覚の積み重ねが、次の方向を教えてくれます。


「このままでいいのかな。」

そう思ったときに、違和感を無視せず、

「なんでそう思ったんだろう」

と少し立ち止まってみる。

そしてそのうえで、

これまでと違う小さな行動を少しずつ試してみる。

どんなときに心が重くなるのか。

逆に、少しだけ楽になる瞬間はあるのか。

そうやって見ていくと、自分の中の輪郭が少しずつ見えてきます。


私は今、「迷うこと」は悪いことではないと思うようになりました。

むしろ迷っているということは、

これまでの正解を、そのまま正解として受け取らなくなったということでもあります。

それはきっと、

自分の人生を、自分で考え始めたということ

なのかもしれません。


「このままでいいのかな。」

その言葉は、不安のようでいて、実はとても正直な問いです。

そしてその問いは、今の自分を否定するものではなく、

これからの自分に向けられた、小さなサインなのだと思います。

さて、

あなたの中の「このままでいいのかな」は、どこから来ているのでしょうか。

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