見出し画像

🕊️フォーレのレクイエムーー17歳、夏|エッセイ⑨




レクイエムーー日本語では「鎮魂曲」と訳されます。



亡くなった人の魂を慰め、安らかな眠りを祈る音楽のこと。カトリック教会の「死者のためのミサ」の文言「Requiem aeternam(永遠の安息を)」に由来する言葉です。残された人の心を慰め、死者の平安を願う役割を担っています。


三大レクイエムのひとつとして知られる、モーツァルトやヴェルディの作品は、壮大で劇的な響きで人々を魅了してきました。
フォーレのレクイエムは少し趣が異なります。柔らかな光に導かれ、静けさの中に安らぎを与えられる音楽。クラシックファンの中には、人生の最期にこの作品を「旅立ちの優しき導き手」として迷いなく選ぶ人も少なくありません。

私自身も、そのひとりです。



――高校三年の夏。十七歳。
父を亡くした後に迎えた大学受験の年。続く深い喪失感と虚脱感の中、私はベッドに手足を投げ出し、ただ窓の外に広がる空を眺めながら、フォーレのレクイエムのレコードを繰り返し聴いていました。





慈愛に満ちた弦の響き、祈りをささげる人々の声、透明感あふれる柔らかなハーモニー。疲れ果てた心を包み込み、静かに悲しみに寄り添い、天国へとやさしく導いてくれるーー。その静謐な流れに身をゆだねることで、私は少しずつ慰めを与えられていきました。



あの夏の記憶とともに、繰り返し聴いたレコードは今も手元に残っています。アンドレ・クリュイタンス指揮、パリ音楽院管弦楽団による演奏。たしかソリストには名歌手フィッシャー・ディスカウも加わっていたはずです。

もし人生の最期にひとつだけ音楽を選べるとしたら――
私は、フォーレのレクイエムを選ぶでしょう。






🍃最後までお読みいただき、ありがとうございました。
心に届くものがありましたら、スキやフォロー、コメントで応援しただけると嬉しいです。


♬📚
礒山久理/プロフィール
音楽好きな父の影響でクラシックを始め様々なジャンルのレコードを聞いて育つ。音楽教室講師を経て礒山久理ピアノ教室を主宰。生徒の心に寄り添い、楽しみながら上達するピアノレッスンを実践し多くの生徒を育てている。
30代よりバレエピアニストとしてのキャリアを重ね、「バレエとピアノの素敵な関係」「ブルクミュラーフェスティバル(2014年音楽之友社主催)」NHK「ららら♪クラシック」へ出演。又「ティータイムコンサート」等ソロピアニストとしても活動を継続。
「クロワゼ」等バレエ雑誌のほかメディアでの紹介多数。
ピアノを黒河好子、霧生トシ子、田中まり子、アキレス・デッレ・ヴューニュの各氏に師事。北海道教育大学、幼児教育専攻。メンタルヘルス協会心理カウンセラー資格保持。

💁‍♀️レッスンのお問い合わせはこちらから

📍こちらもおススメです


いいなと思ったら応援しよう!