鷹の台駅前広場工事を検証する――夜間工事はなぜ「なかったこと」にされたのか【第2回】
「協議していない」は本当に成立するのか――夜間工事をめぐる議会答弁の検証
前回の記事では、鷹の台駅前広場整備工事において、路床改良工事の一部が夜間に行われていたことを市自身が認識していたという事実を確認しました。
この点について、市は令和7年3月の環境建設委員会において、次のように明確に答弁しています。
市の職員も現場で夜間に立会い等を行ってございますし、
路床改良工事を夜間に行ったことについても承知しているところでございます。
つまり、
夜間工事は実際に行われており、市職員もそれを認識し、現場に立ち会っていた。
この点について、事実関係に争いはありません。
それでも「協議していないから支払えない」という説明
一方で市は、夜間施工分の費用が支払われていない理由について、次のように説明しています。
本来、設計変更におきましては、事前にどこからどこまでの範囲が夜間になるというようなところをお示ししていただかないといけないというルールがございます。
そうしたところで、協議しないまま夜間工事を行ったというところはございます。
(令和7年3月 環境建設委員会)
さらに市は、
具体的な施工範囲や面積など、支払いの根拠となる資料が、
設計変更の手続を行う時期までに示されなかったため、
昼間施工との差額分を支払うことができなかった
とも説明しています。
市の説明を整理すると、こうなります。
夜間工事は行われていた
市はそれを認識し、職員も立ち会っていた
しかし「協議」がなかったため、支払いはできない
果たして、この説明は本当に成り立つのでしょうか。
市が作成した「夜間工事のお知らせ」
その後、新たな文書を確認しました。
令和7年9月定例会における伊藤の一般質問で提示した、夜間工事に関する近隣住民向けのお知らせ文書です。

※施工業者名と道路課職員名はこちらでマスキング

この文書には、
夜間工事の実施期間
工事内容
道路規制や迂回の案内
が明記されており、さらに「工事発注者」として市道路課担当者の氏名と連絡先が記載されています。
重要なのは、
この文書が市側で作成され、担当職員から受注業者にメールで送付されていたという点です。

このメールに上記のお知らせ文書が添付されていた
同様の内容のメールは複数確認されており、いずれも夜間工事の実施を前提としたものとなっています。
少なくとも市は、
「夜間に工事が行われ、通行止めや迂回が発生する」
という前提のもとで、文書作成と調整に関与していたことになります。
PR文書は、本当に「工事と無関係」なのか
この点について、伊藤は令和7年9月定例会の一般質問で、市の認識を質しました。
(夜間工事の)PR文書は、市が作成した、もしくは受注業者と市が協議の上で作成したものと考えざるを得ません。
協議していないのであれば、そもそも、こうした文書は作れないのではありませんか。
これに対し、小林洋子市長は次のように答弁しています。
市は受注業者と、当該工事に伴う通行止め及び迂回のPR文書についての調整は行っておりますが、これらは夜間路床改良工事に関する具体的な施工範囲や面積などの協議に当たるものではございません。
当該夜間路床改良工事については、受注業者が必要な協議を経ずに施工をしたものであり、市では設計変更に反映できなかったため、差額分の支払いができなかったものでございます。
つまり市は
PR文書の調整は行った
しかし、それは「工事の協議」ではない
という整理をしています。
本当に、切り分けは可能なのか
夜間工事のお知らせを作成するためには、
夜間に工事を行うこと
その期間や時間帯
周辺住民への影響や道路規制
といった事項を、事前に把握・整理する必要があります。
これらを市が把握し、文書を作成し、受注業者と調整していた以上、
夜間工事の実施を前提とした判断や調整が行われていたことは否定できません。
それをすべて
「PR文書の協議にすぎない」
「工事の協議ではない」
と切り分けてしまう説明が、どこまで妥当なのか。
慎重な検証が必要だと考えます。
問われているのは「協議の定義」と説明責任
この問題で問われているのは、
夜間工事が行われたかどうかではありません。
問われているのは、
市が言う「協議」とは何を指すのか
どの段階で、誰が、何を確認すべきだったのか
市が関与した行為のどこまでを「協議ではない」と整理するのか
という、行政としての説明責任そのものです。
夜間工事を認識し、職員が立ち会い、周知文書まで作成していながら、
「協議していないから支払えない」
という結論だけが維持されている。
この説明は、本当に市民にとって納得のいくものなのでしょうか。
次回は、この「協議していない」という説明が、
なぜ修正されることなく維持されてきたのか。
その構造的な背景について掘り下げていきます。
