「内部統制を強化している」は本当かーー信頼は検証可能性から生まれる【第5回】
これまでの記事では、
内容や様式の異なる「いじめ対策委員会記録」が開示されていたこと
教育委員会が「両方とも正本です」と答弁したこと
修正履歴や作成者について「把握していない」と繰り返したこと
などを書いてきました。
そして今回、さらに重要な問題が明らかになりました。
それは、「保存期間」の問題です。
「内部統制を強化している」という説明
第2回の記事でも書いた通り、市側は、生活文教委員会の前日に行われた個別外部監査制度導入を求める請願に対し、
「内部統制を強化している」
ことなどを理由として「不要」と主張していました。
しかし翌日の総務委員会質疑では、その内部統制が本当に機能しているのか、改めて問われる事態となりました。
4月28日時点でも、保存期間は未整備だった
委員会で伊藤が確認したところ、教育委員会側は、
「教育長の定める文書保存期間を更新した」
と説明しました。
しかし、伊藤の手元にはある情報公開請求に対する「非公開決定通知」がありました。

4月28日に出されたこの非公開決定通知には、その理由として
「小平市教育委員会及び学校において、「学校いじめ対策委員会」に関しての保存期間を、公文書として個別に定めていないため、作成しておらず、存在しないため。」
と記載されています。
つまり、実際には、各学校長が個別に定めるべき保存期間について、4月28日時点で全ての学校において未整備だったという事実です。
つまり、
教育委員会は「更新した」と説明している
しかし実際の運用は各学校任せ
その結果、全校で未整備状態
だったということになります。
非公開決定通知書が出されたのは
二種類の公文書問題
第4回記録欠落問題
記録不存在問題
などが、安竹議員の一般質問によって既に議会で問題化した後の話です。
「学校ごとの運用」が生んだ混乱
伊藤は委員会で、
「学校ごとの個別運用ではなく、教育委員会として統一ルールを定めるべきではないか」
と提言しました。
今回問題となった、
保存期間
回数表記
文書管理
はいずれも、「学校ごとのバラバラ運用」が背景にあるように見えるからです。
実際、
回数表記がある資料と無い資料
ページ数が大きく異なる資料
一方には存在しない第4回記録
などが発生していました。
これでは、後から検証することが極めて困難になります。
教育長答弁との齟齬
請願資料では、学校ごとの記録作成状況一覧も示されていました。

そこでは、
「作成していない」
「確認できない」
「廃棄」
などが多数確認されています。
しかし一方で、教育長は過去の議会答弁で、
「平成29年度から令和6年度まで作成していなかった学校が1校あった」
と説明していました。
請願資料では、この教育長答弁と実際の状況に大きな齟齬があるのではないか、という問題提起も行われています。
「制度を作った」と「機能している」は違う
今回の問題で見えてきたのは、
「考え方を更新した」
ことと、
「実際に統制できている」
ことは、全く別だという現実です。
内部統制とは、本来、
誰が見ても同じ運用がされる
記録が追跡できる
後から検証できる
状態であって初めて意味を持ちます。
しかし今回、現実には、
正本管理
修正履歴管理
保存期間管理
そのいずれもが十分機能しているとは言い難い実態が、次々と明らかになっています。
信頼は「説明」だけでは生まれない
行政への信頼は、
「適切にやっています」
という説明だけでは生まれません。
何が記録され、
どのように保存され、
後から検証できるのか。
それが示されて初めて、市民は行政を信頼できます。
しかし今回の問題では、その「検証可能性」そのものが、極めて危うい状態にあることが次々と明らかになっています。
「信頼は検証可能性から生まれる」
伊藤は、改めてその意味を強く感じています。
