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【2026年4月版】豆腐の次は何が値上がる?スーパーの「白いトレー」が教える、次の値上げリスト

いつもの豆腐売り場に、小さな張り紙が貼られていた。「誠に申し訳ございません、値上げさせていただきます」。4月14日、ある老舗豆腐店は3年ぶりの値上げを発表した。中身の大豆じゃない。容器のせいだ。

この話、豆腐屋さんだけの問題じゃない。スーパーの棚のほぼ全部に、静かに忍び寄っている。

豆腐が3年ぶりに値上げした、本当の理由

「物価の優等生」と呼ばれてきた豆腐が、3年ぶりに値上げに踏み切った。老舗豆腐店の「大打撃」というコメントを伝えた4月14日の報道によると、原因は中東情勢の緊迫化を受けた原油高だ。

大豆の値段ではない。豆腐を入れるあの透明なプラスチックパック、そのコストが跳ね上がった。

帝国データバンクの「食品主要195社」価格改定動向調査によれば、2026年4月の値上げ要因で「包装・資材」を挙げた企業は81.3%にのぼる。段ボール、緩衝材、プラスチックフィルム──全部、原油由来の樹脂だ。

値上げの主役が、中身から容器に移り始めている。

原油→トレー→食品、という見えにくい道筋

なぜこんなことが起きているか。筋道はシンプルだ。

2026年2月末、イスラエルと米国がイランを攻撃した。そこからドバイ原油は前月比82%上昇、ホルムズ海峡封鎖リスクが現実味を帯びている。日本は原油輸入の約95%を中東に依存している。

原油が高くなる → エチレン・ナフサが高くなる → プラスチック樹脂が高くなる → 包装資材が高くなる → 食品の値段が上がる。

この連鎖で、2026年4月下旬出荷分から、食品トレーの主原料である発泡ポリスチレンシートが1kgあたり120円値上げされる。スーパーで見かける、あの白い発泡スチロールのトレー全般だ。

日銀も4月14日、この流れを受けて物価見通しの大幅引き上げを検討に入ったと報じられた。「一時的な原油高」では済まない空気が、すでに政策の中枢にも広がっている。

スーパーで次に値上がりする「トレー予備軍」

豆腐の値上げは、単なる一店舗のニュースではない。「容器が原因で値上がる食品」は、スーパーの棚のあちこちに控えている。

まずは惣菜コーナー。弁当や揚げ物が乗っているあの黒や白のトレー、ほぼ全てが発泡ポリスチレン系だ。

刺身と切り身。パックの受け皿は発泡トレー。吸水シートや保冷剤も石油由来。精肉売り場の豚肉・牛肉・鶏肉のパックも同じ仕組み。ラップフィルムもプラスチック。鮮魚の1尾売り、発泡スチロールの容器に氷を入れて陳列するあの箱も同じ原料。

カップ麺。中身のスープの素や具材だけでなく、カップ本体・フタ・外装フィルムも全部プラ。

具体的な値上げはもう始まっている。日清食品は即席袋麺・カップ麺・カップスープを4月1日出荷分から5〜11%値上げした。チキンラーメンは146円になった。理由は公式リリースに明記されている──「主要原材料、包装資材、物流費」。

容器は、目立たない。値札には書かれない。だが、原価の2〜3割を占めることもある。そこが一気に上がれば、中身の値段が据え置きでも、レジの数字は上がる。

一方で、米は余っている。なのに安くならない

この値上げ話と同時に、もう一つ奇妙な現象が進んでいる。米だ。

農水省のデータでは、令和7年12月末の民間在庫は338万トン。1月末時点でも321万トンで、前年比+4割。6月末には270万トン規模の過剰見込み。つまり「余っている」どころか近年で最も高い水準にある。

政府は「備蓄米を放出した、アメリカからも輸入を増やした、需給は改善する」と発信している。2025年2月だけで民間企業の米輸入量は523トン、前年度の年間輸入量368トンをたった1か月で超えた。

なのに店頭は5kgあたり4,500円前後で高止まりしている。卸の相対取引価格は60kgあたり36,075円、前年同月+46%。

なぜか。キヤノングローバル戦略研究所は「JAが新米を囲い込み、備蓄米放出の影響を新米価格に波及させない構造」を指摘している。流通現場は値崩れに戦々恐々で、高値で仕入れた在庫を抱えている。だから「余っている」のに「安くしない」。

「備蓄バカバカしい」に答える

「スーパーの値段が変わらないのに、政府は備蓄だ備蓄だと言ってる。バカバカしい」。近所でそう言われる気持ちは、よくわかる。

でも、正確に言えばこうだ。

備蓄米は機能している。米は本当に余っている。ただし値段を決めているのは需給ではなく、高値で買った在庫を抱えた流通の都合。国が米を出しても、流通が価格を守っている。

そしてもう一つ。今の値上げラッシュの主犯は、米ではない。原油だ。備蓄米を10倍出しても、豆腐の容器代は下がらない。カップ麺も、刺身のトレーも、弁当箱も、下がらない。

問題の軸が、「中身が足りない」から「入れ物と燃料が高い」に変わった。だからこれまでの対策は効きづらい。

次に消えるのは中身じゃなく、入れ物だ

まとめる。豆腐の値上げは大豆ではなく容器が原因。4月下旬から発泡ポリスチレンシートが+120円/kg値上げ。弁当、惣菜、刺身、精肉、鮮魚、カップ麺が次の値上げ予備軍。日清食品は4月1日に即席麺を5〜11%値上げ済み。米は在庫338万トンと余剰なのに店頭は4,500円/5kgで高止まり。「備蓄バカバカしい」の正体は、需給ではなく流通の値下げ回避。

次にスーパーで買い物するとき、トレーを少し見てほしい。パックを少し見てほしい。中身の値札と同じくらい、容器も値段を決めている。

「また上がった」と感じる食品があれば、原因は原産地や天候じゃなく、1万キロ離れたペルシャ湾にあるかもしれない。次に近所の棚から消えるのは、米や卵や豆腐の中身じゃなく、それを包むトレーそのもの、という日が来るかもしれない。

容器を見る目を、持っておいて損はない。


【関連マガジン】
物価・備蓄シリーズ: https://note.com/hisasi_yazima/m/m92f9f33c13b2
戦争・エネルギー: https://note.com/hisasi_yazima/m/m6c5923848fcc

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