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世界初のプログラマー、エイダ・ラブレスの唯一の写真が英国の博物館コレクションに

2026年1月、歴史的な出来事が発表されました。19世紀の数学者であり、世界初のコンピュータープログラマーとして知られるエイダ・ラブレス(1815-1852)の唯一現存する写真が、ロンドンの国立肖像画美術館(National Portrait Gallery)に収蔵されることになったのです。

https://www.thehistoryblog.com/archives/75048

ダゲレオタイプが捉えた科学史の重要人物

収蔵されたのは3枚の写真です。そのうち2枚は、著名な写真家アントワーヌ・クローデによって1843年に撮影されたダゲレオタイプ(銀板写真)です。クローデは、ダゲレオタイプの発明者であるルイ・ダゲール本人から直接その技術を学んだ人物で、1830年代後半にこの革新的な写真技術を習得しました。

1841年にロンドンで最初のダゲレオタイプスタジオを開設したクローデは、大成功を収め、年間1800枚以上の肖像写真を制作していました。彼は多くの文学者や科学者を撮影しており、ラブレスが協力していたチャールズ・バベッジも彼の被写体の一人でした。

https://news.artnet.com/art-world/ada-lovelace-daguerreotypes-uk-national-portrait-gallery-2735593

2枚のクローデによる写真は、どちらも同じ風景画の背景の前で撮影されています。1枚では、ラブレスは髪に花を飾り、レースのVネック襟を着用しています。もう1枚では、ベールのついたボンネットと高い襟の胴着を身につけています。

3枚目の写真は、作者不詳のダゲレオタイプで、ヘンリー・ウィンダム・フィリップスによるラブレスの肖像画を撮影したものです。この肖像画は、彼女が子宮がんで亡くなる3か月前に描かれた最後の肖像でした。

世界初のコンピュータープログラマーとしての業績

エイダ・ラブレスは、1843年に発表した論文で世界初のコンピュータープログラマーとして認識されています。この論文では、チャールズ・バベッジの解析機関(Analytical Engine)で計算を行うための、パンチカードによる最初のアルゴリズムを記述しました。

ラブレスの先見性は、単に計算手順を記述したことだけにとどまりません。彼女は、この機械が純粋な計算を超えた応用の可能性を持つことを認識した最初の人物でもありました。彼女は将来、機械が音楽を作り、絵を描き、人類の科学研究を支援する可能性があることまで予測していたのです。

この業績は、実際のコンピューターが構築される約1世紀前のことでした。彼女の「Note G」として知られるベルヌーイ数を計算するアルゴリズムは、コンピューター用に特別に設計された最初のアルゴリズムとして広く認められています。

19世紀の写真技術とその歴史的価値

ダゲレオタイプは、1839年に公表された最初の実用的な写真プロセスです。高度に研磨された銀メッキの銅板上に画像を定着させるこの技術は、当時としては革命的でした。

クローデは、ダゲレオタイプの露光時間を大幅に短縮する実験に成功した最初の実践者の一人として知られています。この技術革新により、より自然な肖像写真の撮影が可能になりました。1850年代には、彼はカロタイプやウェットコロディオンプロセスにも移行し、後年はステレオグラフ画像を専門としました。

オークションから博物館へ

これらの3枚の写真は、2025年6月にボナムズ・オークションハウスで、8万〜12万ポンドの落札予想価格で出品される予定でした。しかし、オークション直前に出品が取り下げられました。2025年12月、国立肖像画美術館が私的売買によってこれらを取得したことが発表されたのです。

ボナムズの評価部門の税務・遺産コンサルタントであるルイーズ・ウィリアムソン氏は、「国立肖像画美術館による、エイダ・ラブレスの唯一現存する写真のこの重要な取得に関わることができて素晴らしかった」とコメントしています。

私的売買条約により、資格のある博物館は、売主と取得機関の間で共有される税制優遇措置を反映した「特別価格」で、私的所有者から卓越した芸術作品やその他の物品を取得することができます。この方法は、博物館がコレクションを拡大するための重要な手段となっています。

写真保存の意義

これらの写真は、単なる歴史的な肖像以上の意味を持ちます。科学史における最も重要な人物の一人の唯一の視覚的記録であり、19世紀の写真技術の最高水準を示す作品でもあります。

写真はすべて、オリジナルのマルーン色のモロッコ革ケースに収められており、保存状態も良好です。国立肖像画美術館のコレクションに加わることで、これらの貴重な写真は適切に保存され、研究者や一般の人々がアクセスできるようになります。

エイダ・ラブレスは、詩人バイロン卿の娘として生まれ、母親から厳格な数学教育を受けました。彼女の数学的才能と想像力は、コンピューター科学という新しい分野の基礎を築きました。わずか36歳で亡くなりましたが、彼女の遺産は現代のデジタル時代にも生き続けています。

今回の収蔵は、科学史における女性の貢献を認識し、保存するための重要な一歩です。ラブレスの唯一の写真が国民のコレクションとして永久に保存されることで、未来の世代もこの先駆的な科学者の姿を目にすることができるでしょう。


参考記事

〇National Portrait Gallery acquires only known photographs of Ada Lovelace(2026年1月5日)

https://www.thehistoryblog.com/archives/75048

〇Only Known Photos of Computing Pioneer Ada Lovelace Join U.K. National Collection(2026年1月8日)

https://news.artnet.com/art-world/ada-lovelace-daguerreotypes-uk-national-portrait-gallery-2735593

〇National Portrait Gallery buys rare photographs of Ada Lovelace for the nation(2025年12月22日)

〇Ada Lovelace: The World’s First Computer Programmer Who Predicted Artificial Intelligence(2023年)


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