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令和4年・春場所雑記

昨年(令和3年)は東京開催、その前年は無観客開催だった春場所が3年ぶりに大阪で有観客開催。それとともに、「荒れる春場所」のフレーズも帰ってきました。

まずは初場所終了後、力士や親方たちにコロナ感染が広がる非常事態。開催される予定だった大相撲トーナメントや福祉大相撲は中止に追いこまれ、最終的には関取の半数以上、役力士のほぼ全員が感染する事態になりました。

一時は春場所開催を危ぶむ向きもあったものの、幸いというべきか、初日まで間隔があったことで場所は開催。それでも大半の力士が10日から2週間も稽古を休む羽目になり、調整不足のまま場所に突入することになりました。

その影響をもっとも受けたのが、ただ一人の横綱・照ノ富士。ただでさえ、初場所終盤に暗雲をもたらした足の故障があったうえに、調整不足。そのせいか、序盤戦から大栄翔、玉鷲に金星を献上し、途中休場となりました。もちろん横綱昇進後は初めて。

今場所はこうした特殊事情があったとはいえ、かねてより懸念されていた体調面の不安が一気に出た感もあります。夏場所までの間にしっかりケアして復活してもらいたいものです。

横綱不在となれば大関の出番でしょう。今場所から御嶽海が加わった3大関に横綱の穴を埋める活躍が期待したいところです。

しかしカド番のセンパイ大関二人は序盤から四苦八苦。貴景勝は3日目まで1勝2敗、正代はなんと3連敗とお先真っ暗な出足。いやほんとに来場所は大関一人になっちゃうんじゃないかと心配しました。

それでも貴景勝はなんとか立て直して中日まで2敗を守り、なんとか11日目にカド番脱出に成功し、優勝争いの末端にも顔を出しました。しかし息切れしたのか終盤は4連敗で、終わってみれば8勝7敗と、カド番を脱出しただけの場所になってしまいました。

一方の正代は初日から4連敗、相撲内容も迫力がなく、正直いってもうダメだと思いましたね。ところがわからないもので、貴景勝と逆に中盤から終盤に大逆襲。7日目から6連勝して14日目にカド番脱出。おまけに優勝争いのトップを行く高安と若隆景を連破して存在感を見せました。まぁ9勝6敗では威張れませんが。

ということで、なんとか責任を果たしたのは11勝を挙げた御嶽海だけ。その御嶽海も優勝争いでは終盤に番付下位の力士に競り負けて、脱落したのですから、手放しで褒めたたえられる場所ではありませんでしたね。

そんなわけで上位陣が総崩れの場所でしたが、そのわりには盛り上がりましたね。

優勝争いが熾烈だったし、一番ごとの相撲内容も熱戦が多かったようです。このへんが大相撲の底が深いところ。不調の力士がいれば好調の力士がカバーする。こうしてエンタテインメントとしての本場所のクオリティは維持されているのです。

そういう意味で優勝した新関脇・若隆景は今場所いちばんの殊勲者でしょう。場所前の評判では、もう一方の新関脇だった阿炎のほうが期待されていたのですが、見事にひっくり返しましたね。

で、今場所もまた三賞への不満になりますが、その大活躍した若隆景がなぜか殊勲賞を受賞できませんでした。さっきも書いたように、場所を盛り上げた最大の殊勲者なのに。

三賞選考結果では「優勝したら」の条件付きで若隆景が殊勲賞とあったので、てっきり優勝と技能賞とあわせて3冠を手にしたと思っていたんですが、なぜか殊勲賞は「該当者なし」

なんでも「千秋楽の本割で負けたので殊勲賞なし」という判断だったとか。そりゃ変でしょうよ。毎場所のことですが、出し渋りもいいかげんにして欲しいもんです。

千秋楽まで優勝を競り、優勝決定戦で涙を呑んだ高安は本当に惜しかったですね。いままで何度も優勝争いにからみ、準優勝は今回がたぶん5回目。シルバーコレクターですねぇ。

大関経験者でもあり、1回くらい優勝してもおかしくない実力者だと、だれもが認める高安ですが、こうなってしまうと「優勝できない星の下に生まれた」としか言いようがありません。

でも今場所の相撲ぶりを見れば、近々にシルバーコレクターは返上できそうな気がします。期待しましょう。

もうひとり、千秋楽まで優勝を争った琴ノ若には驚かされました。先場所から自分の相撲に自信を持った感じはしていましたが、まさかここまでとは。

もし優勝を手にしていれば、祖父にあたる琴桜(53代横綱)と、祖父と孫が優勝という、たぶん大相撲史上初の快挙を達成できたのに。とはいえ琴ノ若にはまだまだこれからいくらでもチャンスがあるでしょう。ぜひとも達成していただきたいものです。

もっともこの記録に関していえば、来場所再入幕しそうな王鵬のほうが上を行きそうです。

もし王鵬が幕内優勝をはたせば、祖父の大横綱・大鵬(32回優勝)、父・貴闘力(平幕優勝1回)と、親子三代優勝を大記録を達成できるのですから。先場所は新入幕で負け越して撥ね返された王鵬ですが、今場所の相撲には力強さが感じられました。親子三代優勝、期待できそうですね。

若隆景もそうですが、近年の大相撲は二世、三世の力士が増えてきました。古くから見ているファンには、大相撲の歴史を感じ、懐かしくも感慨深いものがあります。

若い力が台頭し、どんどん番付を上げてくることで、土俵が活性化してきたようです。来場所以降も、熱のある戦いを見せてもらえそうで、今から楽しみになっています。今場所不調だったみなさんも、頑張ってくださいね。

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