ダメダメ大統領列伝
ハデな逆転勝ちで、見事にアメリカ大統領になった閣下でしたが、早くもあちこちでボロが出始めているようです。
このままの流れで行くと、なんかデカいスキャンダル(下半身方面がやばそう)がドカンと出て、あっけなく辞任に追い込まれたり(あるいは自分から投げ出すかも)しそうで、怖いですねえ。
とはいえ、閣下の頭にある理想の大統領像は、先般私が「大統領最強説」で書いたようなカッコよくストロングな大統領なんでしょう。
その証拠に、大統領選挙での勝利宣言のとき、支持者の前に現われた彼のBGMは「エアフォース・ワン」(1997年)のテーマ曲でしたからね。だから、そう簡単にギブアップはしないと思いますが。
ちなみに、あの映画での大統領(ハリソン・フォード)は、じつはけっこうタカ派でした。外国に特殊部隊送りこんで、その国の独裁者を拉致したりするんですから。
ははあ、なるほど。閣下、さっそく真似しようとしてますね。
ハズしたっぽいけど
といっても、映画の世界では、もっと絵に描いたようなダメ大統領が続出していますので、耐性ができている私などは、閣下が多少踏み外しても、ちっとも驚きません。安心してください。
「大統領の陰謀」(1976年)で追いつめられるニクソン大統領(実在)は、スクリーンには姿を見せませんが、考えてみたたら映画史上もっとも情けない大統領像なのかもしれませんね。いや、リアルな歴史でもそうなのか。なにしろ、歴史上で唯一、大統領の座から任期途中で追い落とされたんですから。でも、この映画では、うまく影に隠れてるから、そう目立ちません。
映画のダメ大統領でもっとも印象が強烈なのは、ストロング大統領の典型を描いた「インデペンデンス・デイ」のちょうど裏返しの作品、「マーズ・アタック!」(1996年)の大統領。
演じるのが超大物のジャック・ニコルソンなのはともかく、人類史上初の異星人との接触(ファーストコンタクト)に舞い上がったあげく、火星人襲来という有事に、何ひとつできないままご退場という情けなさ。
まあ、いざこんな事態になったら、リアルの政治家連中も、こんなもんかもしれませんがね。総理、大丈夫ですか?
この「マーズ・アタック!」で見逃せないのは、火星人襲来で一儲けをたくらむラスベガスの大不動産王が登場していること。
しかも、演じているのが、こちらもジャック・ニコルソン。大統領との一人二役というのが、いま見るとなんか意味深でありますね。なんか、この映画、偉大なる予言映画だったんだろうか。
まさかね。
「博士の異常な愛情」(1963年)でピーター・セラーズが演じた大統領(セラーズは英国人なのに)も、未曾有の有事に泰然自若としているようで、考えてみたら会議をするばかり。何ひとつとして手を打っていない点で、ダメ大統領なんだな。
「合衆国最後の日」(1977年)にも、核ミサイル基地占拠の非常時に、オロオロしたあげく軍人たちに一方的に指図されているダメ大統領が登場していたっけ。そういえばこの大統領(チャールズ・ダーニング)は、なんとなく閣下に似ているぞ。最後はとても哀れなことになるんだけど。
こんな具合に、だいたいアメリカ映画で大統領をダメに描くときには、基本的に「無能」に描かれるんですね。
つまり、アメリカ人にとっては、何もできないでボーっとしている指導者がいちばんダメなやつってことになるんでしょう。
だから、どんな悪手をうっても、アクションを起こす大統領のほうが、何もしない大統領よりも、まだましってことなのかな。
そうかそれで、閣下のように毅然として次々と大統領令を発する(その中身とか実効性はともかくとして)のは、それはそれで許される大統領像なのかもしれないですねえ。
まあ無能でもいいけど、暴発するのだけは勘弁してくださいよ、閣下。
