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未発売映画劇場「ミル・マスカラス対アステカ・ミイラ」

まずは基礎知識として、こちらをご覧ください(いやべつにそう大したもんではないですが)

  未発売映画劇場「ミル・マスカラス/千の顔をもつ男」

  未発売映画劇場「アステカ・ミイラの恐怖」

ということで、メキシコ・ファンタスティック映画の二大巨頭が真正面から激突する「Mil Mascaras vs. the Aztec Mummy」2007年の作品です。

タイトルがすべてを語ってますね。

たとえば「エイリアンVS. プレデター」(2004)とか「バットマン vs スーパーマン」(2016)とか、類似商品にご注意くださいも含めて、この業界にはこうした「対決もの」がたくさんあるわけですが、今回のこの顔合わせ、いろんな意味で「時空を超えた対決」です。日本風にいえば「仮面ライダー対鞍馬天狗」みたいなもんか。これは見逃せません。

特筆すべきは、こんな怪しげな組み合わせながら、ミル・マスカラスはまぎれもないホンモノ。メキシコだけでなく日米欧のリングを沸かせた、あの仮面貴族が、堂々の登場です。

そして一方の、甦ったアステカ文明のミイラ男。ピラミッドの地下での、邪教集団の怪しげな儀式でのっそりと復活し、当然のような顔をして一味の首領の座にすわるこのミイラもまた、かの有名なアステカ・ミイラとうりふたつ

バチモン映画「エイリアンVSアバター 」のように、似ているとは思えないがうんと目を細めて見れば、まあそう見えないこともないエイリアンやアバターが登場するのを見慣れた私の目には、充分オリジナルに失礼のない出来ばえに見えました。

当たり前のことですが、この映画は1960年代くらいのメキシコ・ファンタ映画に、オマージュをささげたモノなんでしょう。だから、美術セットや特撮が古くさく見えるのは、たぶん「狙った」効果なんでしょう。たぶん。

とはいえ、途中で登場するロボット(マスカラスの仲間の教授が作るシロモノ)は、さすがにいただけません。ブリキのおもちゃを等身大にしただけのような肢体と言い、テレビ用リモコンそのままのコントローラーで動くシステムといい、そうはいってもあんまりでしょう。

いやいや前に見た「女子レスラーvs殺人ロボット」に出てきた奴に似ていたぞ。じゃあ、これもこれで「狙った」のか

ざっくり言えば、スーパーヒーロー(まあバットマンみたいなもの)であるミル・マスカラスと、邪教集団を率いるアステカ・ミイラ(途中で構成員がどんどん増える謎の集団)の対決というだけの、シンプルすぎるストーリーもまた、往時のファンタ映画を「狙った」のだとすれば、当然のことか。

それにしても、よく考えたもので、マスカラス本人を口説き落としさえすれば、アステカ時代のミイラそのものには著作権も何もないので、往時のヒット映画をパクッた企画でも、著作権料は発生しないんだな。うまいことやったじゃないか(笑)

そんな「うまくやった映画」に誤算があったとすれば、それはマスカラス御大その人だろう

映画冒頭で、いきなり恋人に結婚を断られたりするのはともかく、マスクの影から見えるその風貌、さすがに衰えは隠せない。そりゃそうだよ、いったい何歳なんだよ。

リングの上のファイトでは衰えを見せない仮面貴族も、アップになってのお芝居では、さすがによる年波を跳ね返せなかったようだ。

そういえば、最初のほうに出てくる試合でも、タッグパートナーのエル・サント・ジュニア(エル・イホ・デル・サント)とのコンディション差は歴然だったなぁ。

まあこのへんも、しょうがないんだよと、納得しましょう。

ところでこの映画、じつはメキシコ映画ではなくアメリカ映画。だからクレジットもセリフも全部英語。もはやメキシコではこの手の映画は作られていないらしいのに目をつけた現代アメリカのファンタ映画オタクが企画制作したものなのか。

その意気やよし

あの「美獣」ハーリー・レイスがちょこっとだが出演しているのをはじめ、クライマックスではマスカラスの実弟ドスカラス、ブルー・デモン・ジュニア、そして暴風仮面ウラカン・ラミレス・ジュニアなど、多くのルチャドール(プロレスラー)を動員することに成功している(必要だったかといわれるとそのへんはムニャムニャだが)のは、褒めてやってもいいだろう。

ただ、残念な点を挙げるとすれば、編中に何カ所か挿入される試合のシーン

カメラ、寄り過ぎなんだよ。おかげで、リング上の展開がよくわからないじゃないか! この点は、むかしのメキシコ映画のほうがずっと良く出来てたな。テレビのプロレス中継を見て、出直しておいで。

あと、さすがに唖然としたのが、ラストシーン。

おいおい、それって世界遺産じゃなかったか? いいのかよ、笑いながら爆破しちゃって。ユネスコに怒られるんじゃないか

まあ、底なし沼のようなメキシコ・ファンタスティック映画にオマージュをささげるという目的は果たしたので、つべこべ言わずに合格点を差し上げよう。日本での公開は……まあやめといたほうがいいだろうな(笑)

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