ジャッキー・チェンと勝負する(29)
今回は「香港発活劇エクスプレス/大福星」(1985年)
なんかいろいろくっついている邦題だが、要するに1983年の「五福星」の続編「大福星」である。とはいえ、設定やキャラクターは「五福星」とは別モノになっている。
「五福星」の時にも書いたが、このシリーズはやっぱりサモ・ハンの映画。日本ではこの「大福星」も、ジャッキーとサモ・ハン、ユン・ピョウのゴールデントリオ主演映画として売られたが、ジャッキーとユン・ピョウはあくまでゲスト出演にすぎない(ユン・ピョウなんか最初と最後の10分ずつくらいしか出ていない)。
いきなり都営地下鉄新宿駅なんかが出てきてギョッとするが、そう舞台の大半が日本なので日本で長期ロケが行なわれているのだ。日本ロケは1984年末だというから、新宿駅前などそれなりに懐かしい風景が見られる。新宿から車で数分で富士山麓の富士急ハイランドまで行ってしまうのは、さすがはジャッキー・チェン。
富士急ハイランドでジャッキーとユン・ピョウの刑事コンビがドジを踏み、ユン・ピョウはヤクザの捕虜に。困ったジャッキーは香港のボスに連絡して「日本の警察は頼りにならない」と聞き捨てならないセリフを吐いて、けっきょくムショにいた昔の仲間サモ・ハンが率いる「五福星」が美人刑事(シベール・フー)とともに日本へ乗りこんでくるというお話し。
例によって脚本は破綻している。そもそも香港警察は何を追って日本まで乗りこんできたかがサッパリわからない。おまけに、「五福星」は前作同様、ドリフ以下のレベルのコントを延々とやっているだけで、いっこうに話が進まないのだから、前半は正直イライラする。
後半になって、やっとやる気を出した「五福星」+シベール・フーとジャッキーたちが、なぜかヤクザの本拠地になっている富士急ハイランドで大暴れ。脱出したユン・ピョウも加えての大立ち回りが始まってからは、なかなか見せてくれる。ことに、いかにも日本っぽいお化け屋敷内でのジャッキーアクションは一見の価値ありだ。この映画が香港デビューで、ヤクザのボスの愛人役だった西脇美智子(ボディビルの百恵ちゃんと呼ばれてたっけ)とシベール・フーのカンフー(っぽい)アクションなど、見せ場は満載。
キャストもにぎやかで、笑いながらもちょっぴり手に汗握って楽しめるこうした娯楽大作は香港映画のお家芸。ツッコミどころも含めて、こういうのが当時の香港映画のメジャーだったわけです。事実この映画も大ヒットして、さらなる続編が作られたわけだし。
そんな中でジャッキーの出番は意外に少ない(ユン・ピョウよりは多いが)。というのも、この年のジャッキーは「プロテクター」「ファースト・ミッション」「ポリス・ストーリー」と自分の映画が目白押し。そのうえこれの続編である「七福星」もあり、さらには翌年公開の「サンダーアーム」まであったんだから、そりゃ忙しくて、そうそうサモ兄貴につきあってもいらんねぇってことだったんだろうな。ま、仕方ない。
しかし、1985年の段階で、この映画の日本描写はどうだったんだろうか。公開当時は、まあこんなものと思ってみていた記憶があるが、東京のど真ん中の普通の家で囲炉裏があったり(しかも火がぼうぼう燃えてる。あれじゃ火事になるぞ)、ホテルのカフェで日本のウェイターに広東語で注文する(ぜんぜん通じないでジェスチャーでわからせようとする)ギャグなどを見ると、このころはまだ日本と香港の間の距離はけっこう遠かったんだな、とか思わされるわけですよ。
公開当時、西脇美智子がこの映画に出てることはかなり宣伝でも使われていたように思うが、そうだったかな? ずっと和服で決めている(ツボ振り姿も凛々しかった)彼女が、はらりと帯を解いて着物を脱ぎ捨てると、筋肉隆々のレオタード姿に変身ってところは、当時かなりツボに来たもんである(もちろん今回も、なかなか見ごたえあるシーンでした)
気楽に肩の力を抜いて楽しむこうした映画、最近は香港でもなかなか作られなくなっているのかな。
