春場所ニューカマー1年後
大相撲春場所は「けっきょくは白鵬」で幕。36回目の優勝、おめでとう。
さて、春場所は毎年大量の新弟子が誕生する「就職場所」 今年も46人の新弟子が大相撲の世界に身を投じました。みんな頑張ってくれ。
さて昨年の春場所では話題性豊富な新弟子が一気に誕生し、大いに話題になりました。本欄でも「春場所ニューカマー」と題して、期待の新弟子5人をピックアップしてみたのですが、あれから1年。彼らのその後をまとめてみましょう。
最初は、学生横綱とアマ横綱の2冠を獲得してプロ入りした大道久司。元幕内で同名の四股名をもつ「大道」がいたためもあって、本名ではなく出羽の海部屋伝統の四股名「御嶽海」をもらってのデビューとなりました(ちなみに先輩のほうの大道はこの1月場所で引退し小野川親方に)。幕下10枚目格付け出しでスタートを切ったのですが、その後の星取はこの通り(水色の場所は勝ち越し。黄色は各段優勝)

幕下10枚目格といえば、全勝すれば一気に十両昇進という位置ですが、初土俵場所は6勝1敗。番付運があれば十両昇進もあったのでしょうが、惜しくも成らず。しかし翌夏場所も6勝を挙げめでたく関取に。新十両の名古屋場所で十両優勝すると、2場所で十両を通過し、新入幕の九州場所も勝ち越しと順風満帆の出世ぶりでした。ところが今年初場所にインフルエンザに罹患し、無念の途中休場がたたり快進撃もストップ。しかし、春場所では盛り返して10勝5敗と二桁勝ち星を挙げ、ふたたび進撃を開始しています。
この星ならば三賞のひとつももらえるかと思ったんですが候補にも上がらず。このへん、彼はちょっと土俵運が悪いのかも。とはいえ実力だけでなく人気も上々で、初場所後の福祉大相撲ではステージで見事なパフォーマンスを披露するなど、土俵内外で角界を背負って立つ逸材であることは間違いありません。きたる夏場所には幕内中位へと昇進し、星が良ければ横綱・大関への挑戦もあるかもしれない位置まで上昇してくるはず。いまだ丁髷の頭がいつ大銀杏になるかとあわせて、目が離せません。
次いでその大道とは学生時代のライバルだった中村大輝。学生横綱獲得の時期が早すぎて卒業時には資格が期限切れとなり、付け出しではなく前相撲からのスタートとなりました。こちらは下の名前をとって、四股名は「大輝」

序ノ口で臨んだ夏場所では好敵手の宇良に破れて優勝を逸しましたが、名古屋場所では優勝決定戦で宇良にリベンジし、余勢をかって秋場所には三段目でも優勝。各段を1場所突破で幕下に昇進し、さらに連続して5勝し、着実に番付を上げてきました。春場所では幕下8枚目。しかし、1敗で迎えた七番相撲でまたしても宇良に苦杯をなめたのが痛恨。勝っていれば十両昇進の目もあっただけに、本人も悔しいでしょう。夏場所は十両チャレンジです。
こちらも学生相撲出身で、大相撲でもめずらしい「反り技」の使い手として話題になった宇良和輝。四股名は本名そのままで「宇良」

序ノ口でいきなり優勝し、つづく名古屋場所も序二段で全勝。小兵ゆえにプロでは苦戦するかと思われましたが、予想以上のハイペースで番付を駆けあがっています。反り技こそまだ出していませんが、動きの速い相撲は早くもファンを獲得しているとか。ただ、前記したように大輝に敗れた序二段をはじめ、幕下でも二度優勝決定戦に進出しながら負けているのは、ひょっとして大一番に弱いのか? でも、春場所では十両昇進がかかったライバル・大輝との七番相撲に見事勝利して、十両昇進を手にしました。関取デビューの夏場所が楽しみですが、四股名はどうするのかな?
次は、ボディビル出身で話題になった山端克忠。桁外れのパワーとゴツイ筋肉美は注目に値します。四股名は師匠の高砂親方(元・朝潮)の一字をもらって「朝山端」です。

初土俵の春場所では怪我のため前半を休場し、おかげで二番出世ではありましたが、無事に勝ち抜いて、夏場所で序ノ口デビュー。序ノ口を1場所、序二段を2場所で突破しましたが、三段目に昇進してから2場所連続負け越し。そして春場所では病気で全休と、やや上昇ストップ気味です。相撲経験ゼロで、入門時は四股すら知らなかったといいますから、まだまだ発展途上ということでしょう。
そして、あのジョン・テンタ以来30年ぶりというカナダ出身の新弟子ブロディク・ヘンダーソンは、就労ビザが下りずに前相撲は翌・夏場所になりました。四股名は「誉錦」下の名前も「八十吉」となかなか堂々たる名前ですね。

こちらも序二段までは快調でしたが、三段目では連続負け越しと壁にあたっています。生活環境も大きく違うカナダからの入門ですから、まだ慣れていないのかもしれません。日本の生活に慣れ、日本語と相撲をきっちり覚えていけば、身長196センチという恵まれた体躯が生かされるでしょう。
当たり前のことですが、学生相撲出身で入門前から相撲の技術をしっかりと身に着けていた3人に比べると、別のジャンルからやってきた2人が苦戦しているようですね。
この2人に限らずですが、ナチュラルなパワーやフィジカルの強さで勝てるのは序二段までのようです。三段目あたりからは、相撲の「技術」を習得しないと、そうおいそれとは勝てないということなのでしょう。
まあ、慌てる必要はありません。じっくりと相撲を覚え、着実に上がっていけるだけのポテンシャルは、朝山端、誉錦の2人とも持っているはずです。そのためにも、稽古に励んで、先行する同期の3人を追いかけてくださいね。
もちろん彼らの後ろからも、佐渡ヶ嶽親方の長男にして第53代横綱・琴桜の孫であるサラブレッドの琴鎌谷、そしてデビューの春場所に三段目付け出しでいきなり優勝をはたした学生相撲出身の小柳ら、続々と有望新人が登場しています。幕内の相撲だけでなく、彼らの出世争いにも注目していきたいと思います。
