アニマル力士あらわる

稀勢の里の横綱昇進に続いて、高安が新大関の座を射止めた。こうして番付に新風が吹き込まれると、また盛り上がるってもんだ。

で、その高安の大関昇進と同時に決まったのが、きたる名古屋場所での新十両昇進力士。

夏場所、西幕下2枚目で6勝1敗の好成績をあげた岩崎(追手風部屋)が、めでたく関取の座を射止めたのだ。おめでとう。

岩崎は、わが後輩の日本大学相撲部出身であり、十両の英乃海(木瀬部屋)の実弟という、まことに話題豊富なのだが、さらにダメ押しとして大きな話題を引っ提げてきた。

十両昇進を機に、四股名を翔猿(とびざる)に改めるというのだ。

翔猿とはまた思い切った四股名だな。なんでも本人の考案だそうで、サル年生まれで、すばしっこい相撲を取りたいからだという。ちなみに「翔」のほうは、師匠・追手風親方の現役名・大翔山から1字を頂戴したのだろう。

それにしても、四股名に「猿」がつくのはめずらしい。

ちょっとざくっと調べてみたが、その限りでは、過去に「猿」をつけた力士はたった一人だけのようなのだ。

その四股名は「猿渡(さるわたり)」 昭和18年5月の初土俵で、最高位は三段目15枚目。本名なのかどうかは、わからない。

うーん、「猿飛佐助」とか「大猿」とかいそうな気がしたんだが、確認できなかった。

動物の名を四股名に組みこむのはけっこうポピュラーなことで、現にいまの4横綱のうちじつに3人が動物四股名なのだ。白が「おおとり」、日富士が「うま」、そして鶴竜にいたっては「つる」と「りゅう」のダブル動物四股名だ(まあ竜は実在の動物ではないが)

さらに夏場所の番付で関取の面々のうちにも、11人もが動物四股名を名乗っている。全員わかるかな?

前記の3横綱のほかに、玉、千代翔、松山、妙義、荒、千代大、旭秀、東、青、千代電。

やはり「強そう」だったり「豪華絢爛」的なのが多いようだ。なるほど「猿」は少ないわけだ。

で、「猿」とくれば「犬」でしょう、と調べてみたが、これも意外に稀少種だった。

見つかったのは「犬養」ただひとり。しかも本名だ。昭和17年5月初土俵で、のちに櫻國に改名し、前頭11枚目まで出世した。

高知県出身で「土佐犬」とかいそうな気がするが、いないんだよね。「犬」は「居ぬ」に通じるとかで商売では嫌われるともいう(「猿」も「去る」でダメだそうだ)し、身近な動物とはいえ四股名には向かないんだろうか。

じゃあ「猫」はどうかというと、これはちゃんといる。

明治24年5月に初土俵、その後に錦戸を名乗り最高位・前頭15枚目まで進んだ「招猫」。なんかめでたい四股名だね。

さらにこれは予想できた、「猫又(ねこまた)」が二人いる。初代は明治時代に最高位・十両3枚目まで進んでいるし、2代目はぐっと新しく、平成14年3月場所に初土俵を踏んでいる。最高位は序二段の52枚目で、 平成23年5月場所で引退した。もちろん本名ではない。ちなみにフルネームでは「猫又虎右衛門」とダブル動物四股名だった。

ふんふん意外と少ないんだな。じゃあ他の動物で多そうなのは?

強そうという部分では、たぶん日本の陸上動物で最強のはずの「熊」は文句なしだろう。そのせいか、これは動物四股名ではけっこう多数派だ。

もちろん「熊」がつく名字も多いので本名そのままの者も多いのだが、それでも、熊嵐、熊翁、熊王、熊風、熊錦、熊昇、熊光、熊山、荒熊(13人もいるぞ)、黒熊、陣熊、玉熊、錦熊、若熊、旭熊天、三熊山などなどとバリエーションも豊富。佐渡ヶ嶽部屋からは琴熊、琴熊添、琴熊野と「琴の系譜」との合体版も出ている。

やはり強そうなイメージが大切ってことか。

「鹿」もけっこう多い。

荒鹿、鈴鹿、鹿島、鹿島岩、鹿島海、鹿島潟、鹿島崎、鹿島嶽、鹿島立、鹿島剣、鹿島灘、鹿島洋、鹿島山、鹿島龍、鹿角山、鹿ノ里、鹿久保、鹿間津、鹿ヶ谷などなど。

「鹿島」がらみが多いのは当然だが、皆がみな茨城県出身ではないし、アントラーズサポでもなさそうだ。

で、調べていたら、クマ四股名に「大熊」、シカ四股名に「小鹿」を発見。

オールドなプロレスファンならばピンとくるだろうが、全日本プロレスで長くアジアタッグ王者として君臨した「極道コンビ」こと、大熊元司グレート小鹿の顔が思い浮かんで、にやりとしてしまった。

っていうか、これ、プロレス入りする前のその2人なのだけど。

2人とも相撲では関取の地位に届かず(大熊は幕下、小鹿は三段目止まり)、プロレス転向後には大成し、前記したようにアジアタッグ王座を4度獲得するなど長く活躍したわけだ。大熊は1992年に51歳で死去したが、小鹿は75歳のいまも現役!

まこと人生の有為転変は面白いものだ。

ちょっと話がそれたが、動物四股名はまだまだあるので、この話題は次回につづく(笑)

  大相撲/丸いジャングル 目次

プロレス・ワンダーランドへようこそ 目次

スポーツ雑記帳 目次

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?