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最高のミステリ映画じゃない「シャレード」

ミステリ映画の名作「シャレード」について書くんで調べていたら、なんとこの映画が2002年にリメイクされていることを初めて知った。いやあ、知らなかったぞ。

日本では劇場未公開で、いきなりDVD発売したわけですね。お、監督はミステリ映画の名作「羊たちの沈黙」のジョナサン・デミではないですか。これは期待を……

というわけで、さっそくリメイク版「シャレード」を見てみた。

あれ、原題は「CHARADE」じゃなくて「THE TRUTH ABOUT CHARLIE」なんだ。それじゃリメイクの意味がないんじゃ……まあいいか。主役がヘプバーンじゃないとか、ジェームズ・コバーンもジョージ・ケネディも出てないとか、そんな難癖はつけませんぜ。

あらすじも、謎の立て方も、ほとんどオリジナルを踏襲しています。だから、オリジナルの「シャレード」と同じくらい面白くなるはず、だよね。

そうならないのが、映画ってやつの面白いところなんだが。

最大の欠点は、「シャレード」を最高のミステリ映画たらしめていた、「すべての謎の解決を映像で説明する」ところが、ほぼ完全に失われていた点。ラストで主人公と犯人が、雨の中で拳銃かまえて対峙して、長々と意見交換しちゃうんだもの。それ、違うだろ。

さらにまずいのは、これが「シャレード」のリメイクだったこと。

つまり、見ているこちらがすでにオリジナルの「シャレード」を見ていた場合は、ほとんどあらすじも謎も解決も、わかって見ちゃってる。

なのに、ほとんどヒネリも加えないで進むから、「ああ、このあとこうなるんだな」と予想したとおりに展開するばかりで、ほとんど驚きもサスペンスもない。これじゃ、ダメだろ。

いくらかはオリジナルにない要素を加えていて、たとえばオリジナルではピエロでしかなかったパリ市警の刑事にそれなりのドラマを加えた点などは、けっこうよかった感じだが、やはり中途半端だったね。

もちろん、オリジナルを見ていない人々(そのほうが多いんだろう)を観客に想定しているんだろうけど。

だとしたら、なんでリメイクする必要があったんだ? というところに行き着くわけです。だって、いまの世の中、いくら半世紀近く前の作品とはいっても、TVやソフト発売やネット配信で、いくらでも見る機会があるんだからね。

しかし、そう気を落としたもんじゃない。世の中には、さらにアレな「シャレード」も存在するのだ。

はい、ある世代の人はピンときたかね。「シャレード’79」だよ。

こちらは、本家「シャレード」とはまったく無関係の作品。

原題は「SOMEBODY KILLED HER HUSBAND」。まあ、夫を殺された若妻が危機一髪になる「おしゃれサスペンス」ってところが共通項なのかね。そこに目をつけた配給の日本ヘラルドが、勝手に「シャレード」の続編を名乗らせたわけだ。1978年のお正月映画。そんなショボイ映画が、なぜに映画公開の檜舞台ともいうべき正月第1弾映画に選ばれたか?

それは、1にも2にも、主演をつとめた金髪美女、ファラ・フォーセットの人気ゆえだろう。

テレビの「チャーリーズ・エンジェル」で爆発的人気を得たファラ・フォーセット(当時は結婚していて、ファラ・フォーセット=メジャースと名乗っていた)の映画主演第1作。当時のファラ人気はちょっとしたもので、この作品や次の「サンバーン」(原作はミステリ作家スタンリイ・エリンの『空白との契約』)の水着ポスターは、盗難騒動まで起きた。いや、たしかに当時の彼女の輝きは、すばらしいものだった。このままいけば、マリリン・モンロー級のセックス・シンボルになるか、なんて言われていたもんだ。

映画を見るまでは。

そう、映画そのものの出来がやっぱりしょぼく、おかげで、爆発したファラ人気も急速に消滅。その後は「スペース・サタン」とか「キャノンボール」なんていうB級臭ただよう映画に出たくらいで、けっきょくはテレビ界に逆戻り。それなりに長くキャリアを保ったので、それはそれでよかったのかもしれないが。2009年に癌で死去した。彼女にとって、良き人生だったのだろうか?

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