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シカゴで人食いを見た

「ゴースト&ダークネス」という映画がある。1996年のアメリカ映画で、翌年日本でも公開された。19世紀末、東アフリカの鉄道建設現場に人食いライオンが出現し、二人のハンターがこれと対決する。不気味な迫力と不穏なサスペンスに満ちた映画で、私は「ジョーズ」とならぶ、動物怪獣映画の傑作だと思っている。

この「ゴースト&ダークネス」は、実話をもとにしている。ツァボ川の鉄道建設工事現場で、じつに135人を殺したという(犠牲者数には異説がある)ライオンの襲撃事件を、当事者の記録などをもとに、ウィリアム・ゴールドマンが脚本に執筆した。そこまでは知識として、頭にインプットされていた。そのライオンを「ツァボの人食い」と呼んだとかいう雑知識も。

さて、「ゴースト&ダークネス」を見てから数年後、シカゴを訪れた。当時1歳の息子を連れての親子旅なので、そんなにあちこち見物はできないのだが、なかなか楽しい旅で、時差ボケにならない1歳児(日本時間を押し通す)につきあって深夜3時ごろにホテルのテレビでご当地映画「ブルース・ブラザース」を見るなど、いい思い出ができたもんだ。

そのときに訪れたのが、シカゴのフィールド自然史博物館(Field Museum of Natural History)。お目当てはティラノサウルスの全身骨格「スー(SUE)」の標本で、大した迫力だった。当然ながら「ジュラシック・パーク」を思い出したりして。〔余談だが、スーちゃんは数年後に来日して、上野の博物館で展示され、妻と息子はそこで彼女に再会した。もっとも息子はシカゴのことはまったく記憶に残っていなかったらしいが〕

スーちゃんの他にもなかなか面白い展示が多かった。私のツボにきたのはアリゾナにある隕石孔の展示で、めちゃくちゃ感動したのだが、その話はまた別の機会に。

で、その展示スペースの一角に、なぜかしょぼくれた感じのライオンの剥製が展示してあった。あんまり保存状態がいいようにも見えないし、ライオンの剥製ならば日本の博物館や動物園にあるよなと思って表示を見たら……

   The Tsavo Man-Eater

おおお、これ、「ツァボの人食い」なのか! あの「人食い」か! ホンモノだよ、これ!

映画ではフサフサのたてがみを誇示していた「人食い」だが、剥製は毛皮の保存が悪かったのか、もともとそうだったのか、たてがみはほとんど見られなかったが、そんなことはどうでもいい。

オレは今、あの「人食い」を見てるんだという興奮が全身に鳥肌を生じさせたものだ。

映画の舞台になった場所を実際に訪れたり、撮影に使われた物品を目にしたり手にしたりする機会はそんなにはないが、その映画が好きな映画であればあるほど、やはり独特の感情が呼び起こされるもの。

私にとって「ツァボの人食い」との対面は不意打ちだっただけに(そこにそんなものがあるとは知らなかった)、感慨もひとしおだったわけだ。

もっとも、同行した家族、1歳児はもとより、「ゴースト&ダークネス」を見ていなかった妻も、まったく無感動だったことは、言うまでもない。

【画像のリンク先はamazon.co.jp】

  映画つれづれ 目次

追記(2016/5/23) なんか最近、ここを見に来られる方が急に増えたようなのですが、なぜでしょうか? いや、ご覧いただけるのは大変ありがたいのですが、なんか気になってます(笑)




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