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日本のピラミッド

日本にも、ピラミッドがある。「古事記」や「日本書紀」の時代よりも先行する超古代、日本には非常に発達した文明があり、世界各地の古代文明に影響を与えた。あのキリストもモーゼも釈迦も、日本に教えを乞いに来て、その墓が今でも日本にあるくらいだ。そうした日本超古代文明の遺跡として、現在はただの山に見えるが、日本各地に超巨大ピラミッドが残っているのである。

という話題が突然流行したのは、1980年ごろだっただろうか。たしか「サンデー毎日」が特集を組み、あちこちの「ピラミッド」を紹介したのがきっかけだったと記憶している。その後、「竹内文書」などの古史古伝と結びついて、超古代ブームが巻き起こった。

「ピラミッド」に擬せられた山には、長野県の皆神山、広島県の葦嶽山、青森県の黒又山などがあり、当時はテレビの特番なども組まれたので、ご記憶のかたも多かろう。とくに葦嶽山は、多くの奇岩が点在することから絵になりやすかったのか、テレビ番組も多く組まれ、私もずいぶん熱心に見たものだ。もちろんそれらが人工物であったり、太古2万年以上前の遺跡であることが証明されることは、まったくなかった。

じつをいうと私も当時は半ば信じかけていて、はじめて四国に行った際には、本四架橋を渡って讃岐平野に入った途端に視野に入ってきた、あまりにも見事な三角錐の山を目撃して、「これこそ日本のピラミッドだ!」などと思ったのは内緒だ(笑)

ここでいう「ピラミッド」とは、エジプトなどの墳墓とは違い、オカルト研究家の酒井勝軍が昭和9年に提唱した、太陽神をまつる神殿を山頂に建設した遺跡のこと。山頂には必ず方位石とか太陽石とかがあり……などと非常にもっともらしい説明がされていた。そのうちに、山自体が人工のもので、という話にもなったらしい。

これが言い出しっぺの本

まあどこの山でも大きな岩はゴロゴロしてるものだし、自然の造形術は、時に人工物かと思わせる見事な形を作り出す。なにも超古代文明でなくっても、あれくらいのものは自然にもできるだろう。記録に残っている歴史よりもはるか以前から、超古代文明があったってのは、たしかに夢がある話なんだが。

それに、日本には太陽神を祀った施設ならいくらでもある。アマテラスって太陽神だよね。はい、天照大神を主神とした神明神社なら、日本中にある。それ、別にピラミッドじゃないぞ。

そして、巨大な墳墓なら、ピラミッドなど探さずとも、それこそ日本中に、世界的に見ても巨大な古墳がたくさんあるじゃないか。その方が、よっぽど魅力あると思うよ。もっとも、宮内庁の厚い壁を突破して天皇陵(とされる)古墳を調べる方が、よっぽどハードルが高いか。

「日本のピラミッド」は、確かにロマンがあるし魅力的な「お話」なのは間違いない。そして日本中の山が発掘調査されたわけではないので、絶対にないとは言い切れない。だが、「絶対にないとは言えない」と「実際にある」の間には途方もない距離がある。やはり今のところ、ピラミッドも超古代文明も、フィクションとして楽しむ方が無難でしょうね。

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